異世界冒険少女

柊 亮

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自然洞窟ディルローブ

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第33話 自然洞窟ディルローブ

深き森の奥地…そこには、幾つもの樹木によってトンネルのようになった洞窟の入り口が聳え立っていた。

シェルピー『私でも…奥まで見渡せません…』

パメラ『むむ~』

ニイ『そうですね…もうすぐ日が暮れるみたいです…』

ゼイル『何故?分かるんだ?』
ゼイル『周りは、まだまだ明るいぜ…』

レクサム『それは、姉貴だけの魔法だからな…』

ニイ『自身の魔力が時間を示してくれる…言わば時計…「日暮れの指針」です。』

レクサム『因みにこれ…羅針盤にも使えるからな…』
レクサム『方向音痴の姉貴にピッタリの魔法だぜ…』

「姉弟で!?」

レクサム『お前らには、暗く見えるのか?よく見てみろ…』

彼の言う通り…辺りをよく見渡すと、何やら周りの植物が点滅しているようだ。

パメラ『光が点々と…綺麗…』

レクサム『どうだ?気に入ったか?これは…「シクシク草」だ。』
レクサム『夜が近づくと…まるで泣いているように見えることから…この名が付いたみたいだな…』

レクサム『それに…この大陸を訪れた。ある冒険家が、迷った時に…この植物を辿って助かった話もあるな…』

ゼイル『お前でも…案外そんな事まで知ってんだな…』

レクサム『アイツにも聴かせてやってたんだ…』

ゼイル『…』
ゼイル『そうか…』

シェルピー『これで…夜道も歩けますね…お庭にも欲しいです。』

ニイ『そうですね…こんな素敵な植物がお庭に…きっと、ご自慢のお庭になることでしょう…』

レクサム『王族なら…許諾を受けられるかもな…』

シェルピー『?』

レクサム『さっき…「世界の宝庫」と言っただろう?あれは…ただの評価ではない…』
レクサム『この精霊界にある…すべての動植物は、妖精族の長である皇帝の所有物となる…』

レクサム『安易に侵し…持ち出す者は中央国会議の審議に出されるぞ…』

ゼイル『まじか…』

リンフェル『妖精族の長は、代々…四大精霊によって選ばれ…この地の富を譲り受けます。』
リンフェル『この地は、祖先が受け継いで来た遺産…これも「世界の宝庫」と呼ばれる由縁の1つです。』

レクサム『この地にとって皇帝とは、すべての富を四大精霊より任され…それらを護ることを誓った者だ。』
レクサム『それは、自然だけでは無い…その自然の下で生きる…すべての同胞も含まれているんだ。』

ゼイル『ご先祖様の遺して来た宝か…それは…安易に盗めないな…』

シェルピー『「国王とは、国を守るだけでは無く…すべての民の幸福と信頼を守る者だ」と…お祖父様から教えられました。』
シェルピー『もしかしたら…お祖父様は、かつて…この地をお知りになり…このお考えに至ったのかも知れません…』

レクサム『ああ…あの人は、俺の小さな活躍すらも…公の場で評していた。実に寛大な人だ。』

シェルピー『はい…』
シェルピー『正直…今ので、レクサムさんの印象が変わりました。』

シェルピー『無礼者から…召使いまで…』

レクサム「あんま…変わらねぇ…」

ゼイル『ハハッ…こいつが召使いとか…笑えるな…』
ゼイル「よく考えたら…全然…笑えなかったわ…」

ザザザザ…

パメラ『!』
パメラ『この音って…』

レクサム『ん?どうした?パメラ…』

ゼイル『そうか…嬢ちゃんも気付いたか…』

パメラ『ちょっと…音が聞こえてきて…この音は滝?それもかなりの大きさの様です。』

レクサム『あっ…俺としたことが…忘れてたぜ…』
レクサム『別名「虹の滝」…』

レクサム『「シュレンゲールの滝」だ。』

そこには、大きな音を立てて水が流れ落ちる…七色に輝く滝の光景が広がっていた。

ゼイル『俺たちがさっきまで居た場所は、巨大な滝の丁度真上だったのか…』
ゼイル『でも…何故?さっきまで音が聞こえなかったんだ?』

ニイ『それは…この滝に流れる水の一つ一つには、自然から溢れた「マナ」が宿ります。この「マナ」こそが…七色に輝かせ…音を遅らせるのです。』

ゼイル『なるほどな…』

ゼイル『でもさ!此処って洞窟の中だよな?てかっ…さっきまで自然が生み出した樹林の中に居なかったか?』

レクサム『ああ…此処が…その「自然洞窟ディルローブ」の内部だ。』
レクサム『分類は「洞窟種」に指定されている…世界が誇り護られている場所だ。』

ニイ『それはそうですが…この木って此処に立ってましたか?』

ニイさんが、言う通り…
さっきまで無かった筈の1本の樹木が立っていた。

レクサム『そうだな…無かったな…でも…安心してくれ…これは「ウゴゴの木」だ。』

パメラ『ウゴゴ?それは、動くってことですか?』

レクサム『いや…少し違う…動くって言っても…着いて来たりする木だ。』
レクサム『自分で蠢くこともあるぞ…俺たちが見ている間は、決して微動だにしない…』

ゼイル『なんか怖ぇ…』

レクサム『その内、飽きてどっか行くさ…この木は…』

ゼイル「飽きるのかよ…」

彼が、私たちの方へ戻って来る時…確かにその樹木は蠢いた。
でも…その様子は違った。

ゼイル『なあ…本当に俺たちが見ている間は決して微動だにしない…だったよな?』

レクサム『ああ…たくっ…心配性だな…怖く無いって…これも自然のほんの一つだ。』

ゼイル『でもさ…蠢いてるぞ…』

レクサム「!?」
レクサム『マズい…逃げるぞ…』

リンフェル『これって…マズい感じですか?』

ニイ『本当の意味でマズいです。』

レクサム『「ウゴゴの木」に擬態し獲物を丸呑みにする。』

レクサム『「ガブブの木」だ。』

ゼイル「名前!!可愛い!!」

ダッダッダッダッダ!!

ゼイル『駄目だ!何処までも追って来る!!』
ゼイル(俺のは、この状況では役に立たない…)

レクサム『予想以上に早い!姉貴!またコイツらを頼む!』

ニイ『はい!』

ズザザザザ!!!

リンフェル『待ってください!』

レクサム『どうした!リンフェル!』

リンフェル『私に考えがあります!私の力を使う時です!』

レクサム『ちから?まさかお前にも…』

リンフェル『弓矢は、得意ですから…』
リンフェル『弓法!「ラブリールーレット」!』










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