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○~第1章~○ 精子:テツオ
4射精目! 金城たけし
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その後、キース先生は教頭の脇男先生に連れて行かれてしまい、1時間目の授業は自習になった。
その日の放課後は、SランクDNAの話題で持ちきりだった。噂を聞きつけ、隣のクラスの生徒もチラホラやってきているようだ。
「ねえねえ聞いた? SランクDNAの秘密」
「キース先生が――」
「世界を変える力が手に入るらしいよ」
トモハルとムーもSランクDNAに興味津々だった。
「でもさ、SランクDNAをGETして、世界を変える力が手に入っても、俺、ちゃんと使いこなせるかなー?」
トモハルは、まるで自分に付与してもらえるかのように話すものだから、僕とムーはクスクスと笑った。
もちろん僕たちのような一般精子に、SランクのDNAなんて与えられる訳がないと、皆共通認識を持っているようであったが、“世界を変える力が手に入る”と聞かされれば、誰でも夢を見たいという気持ちになってしまうのは、なんとなく理解できた。
「あ、だからその先は“禁じられている”のか」
「ん? どうしたのテッちゃん」
「いや、なんでもない……」
SランクDNAを巡ってクーデターを起こされたら厄介なんだろう。そう感づいてしまった。
「そうだっ! 今日の夜7時の付与式さ、3人で見ようよ♪」
ムーの提案で、僕たち3人はキンタマーニ王国のゴールデンキャッスル(通称:金城)前の国民集会広場で落ち合うこととなった。
◇◆◇
僕が一旦家に帰るとじいちゃんが何故かタキシードを着ていた。
「おお、テツオか。おかえり。どうじゃ? このタキシード」
「うん…… というか何でタキシードなの?」
「ワシは、ワシは! 白内障で視界がぼやけていりゅが、SランクDNAをGETして、世界を変えりゅ!」
(あー。こういうバカがいるから情報に規制がかかるんだろうな)
「じいちゃん、ちゃんとメール見た? SランクDNAは王族に付与されるんだよ」
「な…… にゃにい!!」
入れ歯が飛び出て畳に落ちた。
◇◆◇
結局、国民集会広場に着いたのは、夜の7時10分だった。
じいちゃんが蝶ネクタイを結ぶと言って聞かず、その割には結び方を知らなかったので、精Tube※YouTubeです。で動画を見ながら僕が結んだんだけど、どうやっても蝶ネクタイが横にならず、何回やっても縦になるので、仕方なく縦のまま連れてきた。
「あっ! テッちゃんこっちこっち!」
「遅いぞテツオ!」
ごめんごめんと軽く謝りながら、トモハルとムーが立つ場所に駆け寄った。
改めて周りを見渡すが、おびただしい数の精子たちが集まっている。
国民集会広場は広大すぎるため、あちらこちらに巨大モニターとスピーカーが設置されている。そのおかげで、お城の様子や王様の話をどこからでも見て聞けるようになっているのだ。
※この設営方法は、GLAYの20万人ライブを参考しているのだ。
「もう始まってるの?」
「それがまだなんだ。今朝の王様のメールでは夜の7時ってなってたのにな」
トモハルがそう言うと、絶好のタイミングで国民集会広場の明かりが落とされ、辺り一面真っ暗になった。
そして次の瞬間、ゴールデンキャッスル(通称:金城)の後方から盛大な花火が打ち上げられ、巨大スポットライトでお城が照らされた。
集まっている精子たちは各々に叫び、その演出を楽しんでいた。僕も気が付けば、他の精子同様、両手を上げ「うぉおおおお!」と叫んでいた。
そして何気なくふっと横を見ると、じいちゃんも両手をバンザイし、大声で叫んでいた。
(また入れ歯落ちるんだろうな……)
そう思ったが、僕の予想は見事に外れた。入れ歯を手に持ったまま叫んでいたのだ。
すると間もなく、お城の3階に設置されている空中庭園から王様が姿を現した。スポットライトが王様に焦点を当てる。盛大な拍手が沸き起こった。
王様は中肉中背で、年齢は40代後半といったところだった。金色で赤や緑の宝石が散りばめられた王冠がスポットライトに反射し、光り輝いている。
服装は上下ともジャージだったが、下がadidas、上がNIKEという両ブランドの社長が大激怒必至の一番やってはいけないのコーディネートだった。
演台にはたくさんのマイクが設置されている。
王様は演台へゆっくりと歩み寄り、ポケットからカンペを取り出した。
『えー、キンタマーニ王国の国民諸君よ。私が第36代キンタマーニ王国の国王、金城たけしだ』
なんど聞いてもどこかで聞いたことのある名前だった。
その日の放課後は、SランクDNAの話題で持ちきりだった。噂を聞きつけ、隣のクラスの生徒もチラホラやってきているようだ。
「ねえねえ聞いた? SランクDNAの秘密」
「キース先生が――」
「世界を変える力が手に入るらしいよ」
トモハルとムーもSランクDNAに興味津々だった。
「でもさ、SランクDNAをGETして、世界を変える力が手に入っても、俺、ちゃんと使いこなせるかなー?」
トモハルは、まるで自分に付与してもらえるかのように話すものだから、僕とムーはクスクスと笑った。
もちろん僕たちのような一般精子に、SランクのDNAなんて与えられる訳がないと、皆共通認識を持っているようであったが、“世界を変える力が手に入る”と聞かされれば、誰でも夢を見たいという気持ちになってしまうのは、なんとなく理解できた。
「あ、だからその先は“禁じられている”のか」
「ん? どうしたのテッちゃん」
「いや、なんでもない……」
SランクDNAを巡ってクーデターを起こされたら厄介なんだろう。そう感づいてしまった。
「そうだっ! 今日の夜7時の付与式さ、3人で見ようよ♪」
ムーの提案で、僕たち3人はキンタマーニ王国のゴールデンキャッスル(通称:金城)前の国民集会広場で落ち合うこととなった。
◇◆◇
僕が一旦家に帰るとじいちゃんが何故かタキシードを着ていた。
「おお、テツオか。おかえり。どうじゃ? このタキシード」
「うん…… というか何でタキシードなの?」
「ワシは、ワシは! 白内障で視界がぼやけていりゅが、SランクDNAをGETして、世界を変えりゅ!」
(あー。こういうバカがいるから情報に規制がかかるんだろうな)
「じいちゃん、ちゃんとメール見た? SランクDNAは王族に付与されるんだよ」
「な…… にゃにい!!」
入れ歯が飛び出て畳に落ちた。
◇◆◇
結局、国民集会広場に着いたのは、夜の7時10分だった。
じいちゃんが蝶ネクタイを結ぶと言って聞かず、その割には結び方を知らなかったので、精Tube※YouTubeです。で動画を見ながら僕が結んだんだけど、どうやっても蝶ネクタイが横にならず、何回やっても縦になるので、仕方なく縦のまま連れてきた。
「あっ! テッちゃんこっちこっち!」
「遅いぞテツオ!」
ごめんごめんと軽く謝りながら、トモハルとムーが立つ場所に駆け寄った。
改めて周りを見渡すが、おびただしい数の精子たちが集まっている。
国民集会広場は広大すぎるため、あちらこちらに巨大モニターとスピーカーが設置されている。そのおかげで、お城の様子や王様の話をどこからでも見て聞けるようになっているのだ。
※この設営方法は、GLAYの20万人ライブを参考しているのだ。
「もう始まってるの?」
「それがまだなんだ。今朝の王様のメールでは夜の7時ってなってたのにな」
トモハルがそう言うと、絶好のタイミングで国民集会広場の明かりが落とされ、辺り一面真っ暗になった。
そして次の瞬間、ゴールデンキャッスル(通称:金城)の後方から盛大な花火が打ち上げられ、巨大スポットライトでお城が照らされた。
集まっている精子たちは各々に叫び、その演出を楽しんでいた。僕も気が付けば、他の精子同様、両手を上げ「うぉおおおお!」と叫んでいた。
そして何気なくふっと横を見ると、じいちゃんも両手をバンザイし、大声で叫んでいた。
(また入れ歯落ちるんだろうな……)
そう思ったが、僕の予想は見事に外れた。入れ歯を手に持ったまま叫んでいたのだ。
すると間もなく、お城の3階に設置されている空中庭園から王様が姿を現した。スポットライトが王様に焦点を当てる。盛大な拍手が沸き起こった。
王様は中肉中背で、年齢は40代後半といったところだった。金色で赤や緑の宝石が散りばめられた王冠がスポットライトに反射し、光り輝いている。
服装は上下ともジャージだったが、下がadidas、上がNIKEという両ブランドの社長が大激怒必至の一番やってはいけないのコーディネートだった。
演台にはたくさんのマイクが設置されている。
王様は演台へゆっくりと歩み寄り、ポケットからカンペを取り出した。
『えー、キンタマーニ王国の国民諸君よ。私が第36代キンタマーニ王国の国王、金城たけしだ』
なんど聞いてもどこかで聞いたことのある名前だった。
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