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第2章 投獄
旅途、投獄される2
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「きゃあ」
少し遠くの方で小さな悲鳴が聞こえた。俺は女神に確認した。
「今なんか悲鳴が聞こえなかった?」
女神も聞こえたらしく、黙ってうなずいた。どうやら探知スキルを使用して探してくれているらしい。
「南南西に50m、女の子が魔物に襲われてる。多分ゴブリン3匹」
「マジかよ……、助けに行こう!」
そう言って俺は走り出す。
「待って!」
女神は思いきり呼び止めた
「何!?急いでるんだけど」
「そっちは北北東」
俺は顔を真っ赤にしながら今走ろうとした方向の反対へ走り出す。
-------------------------------------
50mはあっという間だった。女神の助言ですぐに飛び出さず、陰から女の子とゴブリンを確認する。2匹のゴブリンは武器を持っておらず、女の子の両腕を掴んで逃げないようにしている。1匹は木の棒を持って女の子を撫でまわすように見ている。気持ち悪い。そして女の子の体を触りだす。どうやら何か持っていないか確認しているようだ。女の子の頭からは血が流れており、意識はあるが、もうろうとしている感じだった。
「早く助けに行かないと……」
そう思い飛び出そうとしたが、足が動かない。
「あ、あれ……?」
更に、手がとても震えている。
「なんだこれ、呪いか……?」
口ではそう言っているが、心の中では気づいていた。魔物を目の前にして、怯えているのだ。今まで住んでた世界には魔物という存在は無く、普通に暮らしている分にはとても平和だった。しかし、今は目の前に自分を殺すかもしれない魔物がいる。しかも3対1。奥歯も少し震えてきた。以前の世界で感じたことのない恐怖を感じる。自分はこんなにも情けないのか。そう思い顔を落とす。しかし、それに気が付いた女神は、肩に止まって囁いた。
「君なら3対1でもステータス的にあのゴブリンに勝てるから大丈夫だよ。それにね……」
女神は落ちている野球ボールくらいの意思を指さす。
「生前のあなたの得意分野、ここでも使えるよ。頑張って」
俺はその石を見て1つ思い出した。生前、中学から高卒まで野球部に所属しており、ピッチャーをやっていた。決して強い選手ではなかったが、コントロールだけは全国レベルの人たちにも負けないほど持っていた。俺は石を手に取り、1回深呼吸をした。
「重さもちょうど野球ボールくらいだね。これなら投げられる。女神さん、ありがとう。ちょっと緊張してたけど大丈夫な気がしてきた」
ゴブリンの持ち物検査が終わったのか、持っている木の棒を上に上げた。あの木の棒でもう一度殴るのだろう。俺は急いで石を手に取り、思いきり力を込めて、木の棒を持っているゴブリン目掛けて投げつけた。
ギッ!?
投げた石は一直線にゴブリンのこめかみに向かって飛んで行き、避ける暇を与えず直撃した。更にその衝撃で思いきり後ろに吹き飛んだ。驚いた残りのゴブリンは女の子の腕をつかんでいる拘束を緩める。つかまっている女の子はその隙を見逃さなかった。一瞬で拘束を解き、ゴブリンと距離を取る。そしてゴブリン2匹に向かって右手のひらを向け、一言放った。
「ファイアーボール!」
手のひらから2発の火の玉が現れ、ゴブリン二匹を直撃し、燃えた。
ギャァアアアア
ものすごいうなり声で苦しみ、その後ゴブリンは倒れて死んだ。それを確認したからか、女の子はその場に倒れこんでしまった。
「おいっ、大丈夫か!?」
俺は女の子に近づき、体を起こしてあげた。頭から血が出ており、気を失っているようだ。とても辛そうな顔をしている。
「旅途、この子の頭に手を置いて、ステータスオープンと頭に思い浮かべて。この子の今の状態がわかるから」
俺は頷き、ステータスオープンをした。
HP:15/100
状態異常:気絶
流血状態C※毎時間1ダメージ
毒状態B※毎時間1ダメージ
「流血状態Cと毒状態Bって出てるぞ。これは直せるのか?」
「うん、それなら両方とも薬草で直せるよ。さっきステータス画面開いた時に、アイテムBOX(袋)っていうのがあったでしょ?それの(注)ってやつを押して」
俺はもう一度自分のステータスを開き、(注)を押した。
■アイテムBOX(袋)
薬草C×∞
薬草B×20
薬草A×10
薬草S×5
ベッド(露出中)
魔物除け御香B×5
X封印中X
「ああ、あったぜ」
「その中に初回サービスの薬草B×20っていうのがあるから、それを選択して」
俺は言われるがまま、薬草Bを選択した。すると、手元にチューブが現れた。ラベルには薬草B×20と書かれていた。
「そのチューブから塗るタイプの薬草が出てくるの。それを傷口に塗ってあげて。量はプッシュすれば1回分ちょうど出てくるようになってるから」
とても便利だなと思いながら俺はチューブから塗り薬草を出し、女の子の傷口部分に塗り込んだ。すると、とても辛そうにしていた顔が穏やかになっていく。
「もう大丈夫だと思うけど、一応ステータス確認はしておいてね」
俺は頷き、女の子のステータスを確認した。
HP:15/100
状態異常:眠り
(薬草で状態異常直せてHPの回復もできるのか)
「状態異常が眠りに変わってる。でも、HPはそのままだぞ。回復は出来ないのか?」
「え、薬草Bなら体力も回復できるはずなんだけど……」
女神は首をかしげて疑問に思っていた。俺は初魔物退治を行った疲れが突然のしかかり、その場に座りこんでしまった。そういえば、さきほどアイテムボックスの中を見た際、ベッドが露出中になっていた。あれは転生された最初の地点にベッドを出したままにしているからだろうか。
「そうだよ!」
「俺の心の声をあまり読まないでくれ!」
「まあいいじゃん!アイテムBOX(袋)のベッドを押してみて!」
俺は何だろうと思いながらも言う通りに押してみた。すると、別ウインドウが出てきた。
■ベッドを収納しますか?■
※半径70m以内にあるため収納が可能
はい いいえ
俺は今回のように急にベッドを離れても、ベッドを置いた場所に戻る必要が無いことに感動した。俺は迷わず[はい]を押した。すると、ベッドがある方向からかすかに”バシュンッ”という音がした。もう一度アイテムボックスをのぞいてみると、ベッドに付いていた(露出中)は無くなっていた。
「これはすげえ……」
そして、俺はある疑問を抱いた。
「このベッド、誰か別の人間が寝ることは出来るのか?」
「うん、出来るよ」
「じゃあ、誰かがこのベッドで寝てるときに収納したらどうなるんだ?」
女神は少し考えて答えた。
「試してみるといいんじゃないかな、この女の子寝かせてあげてさ」
俺はなるほどと思い、試してみた。ベッドをこの場に出し、女の子を寝かせる。そしてアイテムBOXの中を確認すると先ほどは(露出中)となっていたベッドが、今度は(使用中)となっていた。そのままベッドを押すと、ウインドウが出てきたが、先ほどとは違う内容だった。
■現在使用中の為、ベッドを収納できません■
「へえ、誰かがこのベッドで寝てると収納できないのか」
感心していると、ベッドで寝ていたはずの女の子が突然むくりと目を覚ました。寝起きでボーっとしている。
「あれ、なんで私ベッドで寝てるんだ……?」
女の子は辺りを見回すと、旅途と目が合った。
「や、やあ」
女の子は軽く会釈で旅途の下の方に目が行ってしまう。
女神と旅途は思わず「あ」と言ってしまった。
「きゃああああああああああああああああへんたいだあああああああああああああああああああ」
女の子は裸の旅途を見て叫び声をあげる。当たり前の反応ではあるが、助けたのに変態呼ばわりされて少し悲しい気持ちになった。「ま、待ってくれ!怪しいものじゃないんだ!いや、見た目は怪しいんだけど、中身は健全でってまずは俺の話を聞いてくれ頼む!!!!」
「いやあああああああああああああああおかされるうううううううううううううううううううう」
旅途はお手上げ状態だった。
「なあ女神さん、どうすればいい?」
女神に相談しようと声をかけると、探知スキルを使用していた。
「まずい、ここに複数人が向かっている。その中の1人がものすごく速い」
”えっ”と言ってる間もなく、一人の男がものすごい勢いで草をかき分け出てきた。その男は白い鎧を身にまとい、対となるような真っ黒な槍と盾を持ち、イケメンだった。まるで主人公のように。
「お嬢様!」
そのイケメンは女の子を見るなりそう叫ぶ。
「え、エデン……」
女の子はその騎士の名前をつぶやき、叫ぶのをやめた。エデンと呼ばれた騎士は、旅途に向き直り、にらみつけた。
「貴様、お嬢様に手を出すとは、命知らずのようだな」
「いや、ベッドに寝かせてただけなんですけど」
「うるさい!こんな森の中にベッドを出してお嬢様を寝かせ、更に貴様は……」
騎士がどもる。
「こ、こんな森の中で服を脱ぐなど不審者極まりないではないか!お嬢様はまだ7つだぞ!」
俺はいろいろ勘違いされていることを察してしまった。
「あの……、何か勘違いを……」
「黙れ!」
そう言うとエデンは持っている槍を旅途に向け、襲い掛かってきた。それをギリギリのところでかわす。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!話を聞いてくれ!」
「問答無用!!」
旅途はエデンに問いかけるが、話を聞いてくれない。
「いきなり死にそうなんですけど女神さま助けて!!」
その瞬間、突然時間が止まった。
「え、あれ?」
俺は困惑する。自分の体は動かないが、他のやつらと違って喋れるし、頭は働く。本当に女神が助けてくれたんだろうか。それともこれは走馬灯なのか。それにしては何もフラッシュバックしない。
「はい、確かに女神の私の力ですが、これはあなたに説明し忘れていた為、特別措置で使った時止め魔法です」
「説明し忘れていた?特別措置?」
「ええ。実は私が現世であなたに案内人として接触するのは明確な理由があるんです」
「明確な理由……?」
「あなたが前世でも何度か聞いたことあると思いますが、オレツエーモードというやつです」
(聞いた事ねえ)
「つまり、私の力を使い、1度だけなんでもしてあげられるんです」
「マジかよ。それは確かにオレツエーだな」
「はい。本来この話は早めにしておかなければならなかったんですけど、いろいろあって説明する前に命の危険が来ちゃったので、特別措置として時間を止めて説明しました」
「なるほど。じゃあ、この場で俺が女神さんに助けを求めれば助けてもらえるけど、以後同じように助けてもらうことは出来なくなるんだな」
女神は頷く。なんだか寂しそうな眼をしている気がした。
「このままだとあなたはあのエデンという騎士に殺されてしまいます。だから私の力で助けるので、願ってください」
旅途は少し考えた。1度だけ使える最強の能力。この世を生きていく上で持っていたいと感じている。しかし、ここで死んでは意味がない。旅途は使うことを決心した。
「女神さん、悪いがお願いしたい」
「……わかりました」
そう言うと、女神は妖精の姿から一人の女の子の姿に変身した。その姿は、なぜだか懐かしい感じがする。女神は両手で光を集めていく。その光はまぶしく、優しい光だった。
(これで助かるのか)
そう思いホッとしたが、何か違和感を感じる。
(あれ?なんか違和感が)
しかし、その違和感の正体はわからない。
「ちょっと待ってくれ!」
その言葉を聞き、女神は力を溜めるのを中断する。
「どうしたんですか?」
そう言われて旅途は黙ってしまう。どうしたかと聞かれても、何と答えていいかわからない。しかし、ここで女神に頼るのはダメな気がした。
「まだキャンセルきくか?」
「まあ、できますけど、本当にいいんですか?あなたのそのHPと防御だと、槍の一突きで死んじゃいますよ?」
女神は心配そうな顔で旅途を見つめる。
「ああ。この状況を打破する手段が見つかったのと、何でもしてもらえる最強の切り札をここで使うのはもったいないと思ったからな。キャンセルだ」
女神はどんな手段が見つかったのか疑問に思っっているようだった。しかし、旅途のキャンセルを受け入れ、溜めていた優しい光を放出し、キャンセルをした。
「じゃあ、時止め解除するからね!」
そういうと突然時間が動き出す。時間が止まっている間にエデンの槍の弾道を確認できたので、ギリギリのところでかわした。エデンの槍は旅途の後ろに生えている木に刺さった。旅途が刺さっている木を見ると、槍は貫通していた。
「君は、素早さだけはなかなか高いんだな。だが諦めなさい。時期に他の騎士もここに到着し、君は逃げられなくなる」
エデンは槍を木から抜き、再び旅途に向ける。
「まあ待ってくれ。実はさ、そこのお嬢様がいるベッド、俺の特別なスキルで作られたベッドでね、いつでも爆発させることができるんだ」
「な、なんだと……」
エデンは冷や汗をかく。
「でもまあ爆破させたら俺も巻き込まれるし本望じゃない。そこで交渉させてくれ」
エデンは少し考え、歯を食いしばり、槍を旅途に向けるのをやめた。
「交渉とは」
「ありがとう。簡単だ。この子に危害を加えるつもりはない。返す代わりに俺を逃がしてくれ」
エデンは手を顎に当て考えた。ハッとした表情を見せ、再び考えると、旅途を睨みつけ、黙ってうなずいた。旅途はエデンに警戒しながらゆっくりと女の子に近づく。女の子に手を差し出し、ベッドから降ろしてあげる。そして旅途は小さな声で女の子に「怖い思いさせてごめんね」と呟いた。女の子をエデンの所へ返し、旅途はこの場から立ち去ろうとする。その時だった。3方向から先ほどエデンが言っていた3人の追加の騎士が現れ、そのうちの赤い鎧の騎士が叫んだ。
「そいつの言っていることは嘘です!ベッドを爆破なんてできない!」
それを聞き、エデンは嘘を見破った兵士に女の子を預け、槍で旅途に再び攻撃を仕掛けた。旅途はそれをギリギリのところでかわしたが、青い騎士が微かに目に見える超音波のようなものを繰り出し、それに直撃してしまった。
「な、んだ…これ……」
俺はその場に倒れ、体が動かせなくなってしまった。その後緑の騎士が近寄り、何かをされたのか、急な眠気に襲われ瞼が閉じてしまった。
「終わりだ、裸男」
エデンに槍を突き付けられる。首がとても冷たく感じた。眠気で意識がもうろうとしてくる。声すら出せなくなり、女神にも助けを求められなくなり、俺はその場で意識を失った。
「ちょっとまて!殺すな!」
意識を失う直前、このような声が聞こえた気がした。
------------------------------------
目が覚めると、俺は牢屋の中にいた。
少し遠くの方で小さな悲鳴が聞こえた。俺は女神に確認した。
「今なんか悲鳴が聞こえなかった?」
女神も聞こえたらしく、黙ってうなずいた。どうやら探知スキルを使用して探してくれているらしい。
「南南西に50m、女の子が魔物に襲われてる。多分ゴブリン3匹」
「マジかよ……、助けに行こう!」
そう言って俺は走り出す。
「待って!」
女神は思いきり呼び止めた
「何!?急いでるんだけど」
「そっちは北北東」
俺は顔を真っ赤にしながら今走ろうとした方向の反対へ走り出す。
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50mはあっという間だった。女神の助言ですぐに飛び出さず、陰から女の子とゴブリンを確認する。2匹のゴブリンは武器を持っておらず、女の子の両腕を掴んで逃げないようにしている。1匹は木の棒を持って女の子を撫でまわすように見ている。気持ち悪い。そして女の子の体を触りだす。どうやら何か持っていないか確認しているようだ。女の子の頭からは血が流れており、意識はあるが、もうろうとしている感じだった。
「早く助けに行かないと……」
そう思い飛び出そうとしたが、足が動かない。
「あ、あれ……?」
更に、手がとても震えている。
「なんだこれ、呪いか……?」
口ではそう言っているが、心の中では気づいていた。魔物を目の前にして、怯えているのだ。今まで住んでた世界には魔物という存在は無く、普通に暮らしている分にはとても平和だった。しかし、今は目の前に自分を殺すかもしれない魔物がいる。しかも3対1。奥歯も少し震えてきた。以前の世界で感じたことのない恐怖を感じる。自分はこんなにも情けないのか。そう思い顔を落とす。しかし、それに気が付いた女神は、肩に止まって囁いた。
「君なら3対1でもステータス的にあのゴブリンに勝てるから大丈夫だよ。それにね……」
女神は落ちている野球ボールくらいの意思を指さす。
「生前のあなたの得意分野、ここでも使えるよ。頑張って」
俺はその石を見て1つ思い出した。生前、中学から高卒まで野球部に所属しており、ピッチャーをやっていた。決して強い選手ではなかったが、コントロールだけは全国レベルの人たちにも負けないほど持っていた。俺は石を手に取り、1回深呼吸をした。
「重さもちょうど野球ボールくらいだね。これなら投げられる。女神さん、ありがとう。ちょっと緊張してたけど大丈夫な気がしてきた」
ゴブリンの持ち物検査が終わったのか、持っている木の棒を上に上げた。あの木の棒でもう一度殴るのだろう。俺は急いで石を手に取り、思いきり力を込めて、木の棒を持っているゴブリン目掛けて投げつけた。
ギッ!?
投げた石は一直線にゴブリンのこめかみに向かって飛んで行き、避ける暇を与えず直撃した。更にその衝撃で思いきり後ろに吹き飛んだ。驚いた残りのゴブリンは女の子の腕をつかんでいる拘束を緩める。つかまっている女の子はその隙を見逃さなかった。一瞬で拘束を解き、ゴブリンと距離を取る。そしてゴブリン2匹に向かって右手のひらを向け、一言放った。
「ファイアーボール!」
手のひらから2発の火の玉が現れ、ゴブリン二匹を直撃し、燃えた。
ギャァアアアア
ものすごいうなり声で苦しみ、その後ゴブリンは倒れて死んだ。それを確認したからか、女の子はその場に倒れこんでしまった。
「おいっ、大丈夫か!?」
俺は女の子に近づき、体を起こしてあげた。頭から血が出ており、気を失っているようだ。とても辛そうな顔をしている。
「旅途、この子の頭に手を置いて、ステータスオープンと頭に思い浮かべて。この子の今の状態がわかるから」
俺は頷き、ステータスオープンをした。
HP:15/100
状態異常:気絶
流血状態C※毎時間1ダメージ
毒状態B※毎時間1ダメージ
「流血状態Cと毒状態Bって出てるぞ。これは直せるのか?」
「うん、それなら両方とも薬草で直せるよ。さっきステータス画面開いた時に、アイテムBOX(袋)っていうのがあったでしょ?それの(注)ってやつを押して」
俺はもう一度自分のステータスを開き、(注)を押した。
■アイテムBOX(袋)
薬草C×∞
薬草B×20
薬草A×10
薬草S×5
ベッド(露出中)
魔物除け御香B×5
X封印中X
「ああ、あったぜ」
「その中に初回サービスの薬草B×20っていうのがあるから、それを選択して」
俺は言われるがまま、薬草Bを選択した。すると、手元にチューブが現れた。ラベルには薬草B×20と書かれていた。
「そのチューブから塗るタイプの薬草が出てくるの。それを傷口に塗ってあげて。量はプッシュすれば1回分ちょうど出てくるようになってるから」
とても便利だなと思いながら俺はチューブから塗り薬草を出し、女の子の傷口部分に塗り込んだ。すると、とても辛そうにしていた顔が穏やかになっていく。
「もう大丈夫だと思うけど、一応ステータス確認はしておいてね」
俺は頷き、女の子のステータスを確認した。
HP:15/100
状態異常:眠り
(薬草で状態異常直せてHPの回復もできるのか)
「状態異常が眠りに変わってる。でも、HPはそのままだぞ。回復は出来ないのか?」
「え、薬草Bなら体力も回復できるはずなんだけど……」
女神は首をかしげて疑問に思っていた。俺は初魔物退治を行った疲れが突然のしかかり、その場に座りこんでしまった。そういえば、さきほどアイテムボックスの中を見た際、ベッドが露出中になっていた。あれは転生された最初の地点にベッドを出したままにしているからだろうか。
「そうだよ!」
「俺の心の声をあまり読まないでくれ!」
「まあいいじゃん!アイテムBOX(袋)のベッドを押してみて!」
俺は何だろうと思いながらも言う通りに押してみた。すると、別ウインドウが出てきた。
■ベッドを収納しますか?■
※半径70m以内にあるため収納が可能
はい いいえ
俺は今回のように急にベッドを離れても、ベッドを置いた場所に戻る必要が無いことに感動した。俺は迷わず[はい]を押した。すると、ベッドがある方向からかすかに”バシュンッ”という音がした。もう一度アイテムボックスをのぞいてみると、ベッドに付いていた(露出中)は無くなっていた。
「これはすげえ……」
そして、俺はある疑問を抱いた。
「このベッド、誰か別の人間が寝ることは出来るのか?」
「うん、出来るよ」
「じゃあ、誰かがこのベッドで寝てるときに収納したらどうなるんだ?」
女神は少し考えて答えた。
「試してみるといいんじゃないかな、この女の子寝かせてあげてさ」
俺はなるほどと思い、試してみた。ベッドをこの場に出し、女の子を寝かせる。そしてアイテムBOXの中を確認すると先ほどは(露出中)となっていたベッドが、今度は(使用中)となっていた。そのままベッドを押すと、ウインドウが出てきたが、先ほどとは違う内容だった。
■現在使用中の為、ベッドを収納できません■
「へえ、誰かがこのベッドで寝てると収納できないのか」
感心していると、ベッドで寝ていたはずの女の子が突然むくりと目を覚ました。寝起きでボーっとしている。
「あれ、なんで私ベッドで寝てるんだ……?」
女の子は辺りを見回すと、旅途と目が合った。
「や、やあ」
女の子は軽く会釈で旅途の下の方に目が行ってしまう。
女神と旅途は思わず「あ」と言ってしまった。
「きゃああああああああああああああああへんたいだあああああああああああああああああああ」
女の子は裸の旅途を見て叫び声をあげる。当たり前の反応ではあるが、助けたのに変態呼ばわりされて少し悲しい気持ちになった。「ま、待ってくれ!怪しいものじゃないんだ!いや、見た目は怪しいんだけど、中身は健全でってまずは俺の話を聞いてくれ頼む!!!!」
「いやあああああああああああああああおかされるうううううううううううううううううううう」
旅途はお手上げ状態だった。
「なあ女神さん、どうすればいい?」
女神に相談しようと声をかけると、探知スキルを使用していた。
「まずい、ここに複数人が向かっている。その中の1人がものすごく速い」
”えっ”と言ってる間もなく、一人の男がものすごい勢いで草をかき分け出てきた。その男は白い鎧を身にまとい、対となるような真っ黒な槍と盾を持ち、イケメンだった。まるで主人公のように。
「お嬢様!」
そのイケメンは女の子を見るなりそう叫ぶ。
「え、エデン……」
女の子はその騎士の名前をつぶやき、叫ぶのをやめた。エデンと呼ばれた騎士は、旅途に向き直り、にらみつけた。
「貴様、お嬢様に手を出すとは、命知らずのようだな」
「いや、ベッドに寝かせてただけなんですけど」
「うるさい!こんな森の中にベッドを出してお嬢様を寝かせ、更に貴様は……」
騎士がどもる。
「こ、こんな森の中で服を脱ぐなど不審者極まりないではないか!お嬢様はまだ7つだぞ!」
俺はいろいろ勘違いされていることを察してしまった。
「あの……、何か勘違いを……」
「黙れ!」
そう言うとエデンは持っている槍を旅途に向け、襲い掛かってきた。それをギリギリのところでかわす。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!話を聞いてくれ!」
「問答無用!!」
旅途はエデンに問いかけるが、話を聞いてくれない。
「いきなり死にそうなんですけど女神さま助けて!!」
その瞬間、突然時間が止まった。
「え、あれ?」
俺は困惑する。自分の体は動かないが、他のやつらと違って喋れるし、頭は働く。本当に女神が助けてくれたんだろうか。それともこれは走馬灯なのか。それにしては何もフラッシュバックしない。
「はい、確かに女神の私の力ですが、これはあなたに説明し忘れていた為、特別措置で使った時止め魔法です」
「説明し忘れていた?特別措置?」
「ええ。実は私が現世であなたに案内人として接触するのは明確な理由があるんです」
「明確な理由……?」
「あなたが前世でも何度か聞いたことあると思いますが、オレツエーモードというやつです」
(聞いた事ねえ)
「つまり、私の力を使い、1度だけなんでもしてあげられるんです」
「マジかよ。それは確かにオレツエーだな」
「はい。本来この話は早めにしておかなければならなかったんですけど、いろいろあって説明する前に命の危険が来ちゃったので、特別措置として時間を止めて説明しました」
「なるほど。じゃあ、この場で俺が女神さんに助けを求めれば助けてもらえるけど、以後同じように助けてもらうことは出来なくなるんだな」
女神は頷く。なんだか寂しそうな眼をしている気がした。
「このままだとあなたはあのエデンという騎士に殺されてしまいます。だから私の力で助けるので、願ってください」
旅途は少し考えた。1度だけ使える最強の能力。この世を生きていく上で持っていたいと感じている。しかし、ここで死んでは意味がない。旅途は使うことを決心した。
「女神さん、悪いがお願いしたい」
「……わかりました」
そう言うと、女神は妖精の姿から一人の女の子の姿に変身した。その姿は、なぜだか懐かしい感じがする。女神は両手で光を集めていく。その光はまぶしく、優しい光だった。
(これで助かるのか)
そう思いホッとしたが、何か違和感を感じる。
(あれ?なんか違和感が)
しかし、その違和感の正体はわからない。
「ちょっと待ってくれ!」
その言葉を聞き、女神は力を溜めるのを中断する。
「どうしたんですか?」
そう言われて旅途は黙ってしまう。どうしたかと聞かれても、何と答えていいかわからない。しかし、ここで女神に頼るのはダメな気がした。
「まだキャンセルきくか?」
「まあ、できますけど、本当にいいんですか?あなたのそのHPと防御だと、槍の一突きで死んじゃいますよ?」
女神は心配そうな顔で旅途を見つめる。
「ああ。この状況を打破する手段が見つかったのと、何でもしてもらえる最強の切り札をここで使うのはもったいないと思ったからな。キャンセルだ」
女神はどんな手段が見つかったのか疑問に思っっているようだった。しかし、旅途のキャンセルを受け入れ、溜めていた優しい光を放出し、キャンセルをした。
「じゃあ、時止め解除するからね!」
そういうと突然時間が動き出す。時間が止まっている間にエデンの槍の弾道を確認できたので、ギリギリのところでかわした。エデンの槍は旅途の後ろに生えている木に刺さった。旅途が刺さっている木を見ると、槍は貫通していた。
「君は、素早さだけはなかなか高いんだな。だが諦めなさい。時期に他の騎士もここに到着し、君は逃げられなくなる」
エデンは槍を木から抜き、再び旅途に向ける。
「まあ待ってくれ。実はさ、そこのお嬢様がいるベッド、俺の特別なスキルで作られたベッドでね、いつでも爆発させることができるんだ」
「な、なんだと……」
エデンは冷や汗をかく。
「でもまあ爆破させたら俺も巻き込まれるし本望じゃない。そこで交渉させてくれ」
エデンは少し考え、歯を食いしばり、槍を旅途に向けるのをやめた。
「交渉とは」
「ありがとう。簡単だ。この子に危害を加えるつもりはない。返す代わりに俺を逃がしてくれ」
エデンは手を顎に当て考えた。ハッとした表情を見せ、再び考えると、旅途を睨みつけ、黙ってうなずいた。旅途はエデンに警戒しながらゆっくりと女の子に近づく。女の子に手を差し出し、ベッドから降ろしてあげる。そして旅途は小さな声で女の子に「怖い思いさせてごめんね」と呟いた。女の子をエデンの所へ返し、旅途はこの場から立ち去ろうとする。その時だった。3方向から先ほどエデンが言っていた3人の追加の騎士が現れ、そのうちの赤い鎧の騎士が叫んだ。
「そいつの言っていることは嘘です!ベッドを爆破なんてできない!」
それを聞き、エデンは嘘を見破った兵士に女の子を預け、槍で旅途に再び攻撃を仕掛けた。旅途はそれをギリギリのところでかわしたが、青い騎士が微かに目に見える超音波のようなものを繰り出し、それに直撃してしまった。
「な、んだ…これ……」
俺はその場に倒れ、体が動かせなくなってしまった。その後緑の騎士が近寄り、何かをされたのか、急な眠気に襲われ瞼が閉じてしまった。
「終わりだ、裸男」
エデンに槍を突き付けられる。首がとても冷たく感じた。眠気で意識がもうろうとしてくる。声すら出せなくなり、女神にも助けを求められなくなり、俺はその場で意識を失った。
「ちょっとまて!殺すな!」
意識を失う直前、このような声が聞こえた気がした。
------------------------------------
目が覚めると、俺は牢屋の中にいた。
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旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
公爵令嬢やめて15年、噂の森でスローライフしてたら最強になりました!〜レベルカンストなので冒険に出る準備、なんて思ったけどハプニングだらけ〜
咲月ねむと
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息苦しい貴族社会から逃げ出して15年。
元公爵令嬢の私、リーナは「魔物の森」の奥で、相棒のもふもふフェンリルと気ままなスローライフを満喫していた。
そんなある日、ひょんなことから自分のレベルがカンストしていることに気づいてしまう。
「せっかくだし、冒険に出てみようかしら?」
軽い気持ちで始めた“冒険の準備”は、しかし、初日からハプニングの連続!
金策のために採った薬草は、国宝級の秘薬で鑑定士が気絶。
街でチンピラに絡まれれば、無自覚な威圧で撃退し、
初仕事では天災級の魔法でギルドの備品を物理的に破壊!
気づけばいきなり最高ランクの「Sランク冒険者」に認定され、
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本人はいたって平和に、堅実に、お金を稼ぎたいだけなのに、規格外の生活魔法は今日も今日とて大暴走!
ついには帝国の精鋭部隊に追われる亡国の王子様まで保護してしまい、私の「冒険の準備」は、いつの間にか世界の運命を左右する壮大な旅へと変わってしまって……!?
これは、最強の力を持ってしまったおっとり元令嬢が、その力に全く気づかないまま、周囲に勘違いと畏怖と伝説を振りまいていく、勘違いスローライフ・コメディ!
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ゴミ捨て場領主のクラフト無双 ~最弱魔法【分解と合成】で領地を黄金郷に変えたら、俺を見下していた大貴族令嬢たちが掌を返してすり寄ってきた件~
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東西南北の大貴族から「毒の川」「凶暴な魔獣」「莫大な借金」を押し付けられ、王国の『ゴミ捨て場』と化したローゼンベルク領。
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だが、彼には現代の知識と、隠された最強チート能力があった!
触れたものを瞬時に素材に戻し、全く別のモノに作り変える神の御業――【分解と合成】。
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「魔獣の死骸」と「瓦礫」を合成して『絶対に壊れない防壁』へ!
借金取りには新素材を高値で売りつけ、逆に敵の経済を支配していく。
圧倒的なクラフト能力で、瞬く間にゴミ捨て場を「無敵の黄金郷」へと作り変えていくアーク。
己の敗北を悟り、震え上がる悪徳貴族と高慢な令嬢たち。
さらに、アークの圧倒的な知略と底知れぬ実力は、気高い令嬢たちの本能に深く刻み込まれていく。
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プライドを完全にへし折られた最高位の美少女たちは、いつしかアークの与える『恩恵』なしでは生きられないほど、彼に絶対の忠誠と依存を誓うようになっていく――。
最弱のゴミ捨て場から始まる、爽快クラフト内政&ざまぁファンタジー、堂々開幕!
転生幼女の国家級チート図書館~本を読むだけで技術が進化する世界で、私だけ未来知識持ちでした~
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目が覚めたら、私は5歳の幼女だった。
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「本を読むだけで技術が進化する」不思議な異世界。
この世界では、図書館はただの建物じゃない。
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だけど。
私が転生した先は、王都から見捨てられた辺境の廃図書館。
蔵書は散逸、予算ゼロ、利用者ゼロ。
……でもね。
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前世で研究者だった私の、“未来の知識”を。
蒸気機関、衛生管理、合金技術、都市設計、教育制度。
この世界の誰も知らない未来の答えを、私は知っている。
だったら――
この廃図書館、国家級に育ててみせる。
本を読むだけで技術が進化する世界で、
私だけが“次の時代”を知っている。
やがて王国は気づく。
文明を一段階進めたのは――5歳の幼女だったと。
これは、最弱の立場から始まる、知識による国家再設計の物語。
※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。
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