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覆面パトカーとツナマヨお握り

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「あの女、良い感じじゃね。前から気になっててさ」
 
「へー?結構美人だね?胸もデカイし」

デパートの3階。独りの女性を高校生達が気付か無い様な素振りで追っている。
男子校の高校生達か?5人組でアイドル気取って、何独りのぼっち美女狙う気で居るん。

 あの健気な笑顔は、必ずオレが守る。
「あのっ、お姉さんかわいいっすね!僕タイプだなー。一緒に買い物しましょうよ」
 高校生達が、イケメンなマスク姿で詩織に群がる。佐倉詩織は、オレの中学時代のアイドル。かわゆ過ぎて女子から嫌煙され、嫌みばかり言われ特殊学級でほぼフリースクール修了だった。
 辞めろ、未成年 だろう。詩織は30だった。詩織が男子に囲まれ困惑する。
「ごめんなさい」
 そう言って詩織は後退り、一人の男子がふっと微笑みながら寄り添った。
「何も悪いことして無いじゃあ無いっすか。何でも欲しい物奢るから、それともカラオケ行きますか?」
 詩織ちゃん!オレはこれから、パトロールに行かないとならない。どうしよう!
「あの、そのわたし、忙しいから、またね」

 男子がそう言って離れようとして居る詩織に軽快に囲んで言い返した。
「ちょ~っと位、付き合って下さいよ?エレベーター迄行きましょうよ!ジュース買いますから、」

そのドキドキするやり取りを見て居た粟野が男子校高校生に物申した。
「オォイ、ガキ大将。洒落臭い台詞は、独り立ちしてもっと大人になってから言いな」

 仕事仲間の男性警察官粟野誠が、しつこく執着する高校生達をガッツリと叱咤した。
「何ですかって、わ。何でお巡りさんが!?」

高校生達はその後、必死でナンパ目的にしたしおりんに謝って居た。粟野がニッコリしおりんに言った。
「大丈夫?しおりん?お父ちゃんとこ迄山崎とエスコートすっから」

「ありがとうございます、粟野さん!山崎君。ありがとう」
それにしても、癖の悪いナンパだった。
 補導した方が良いか、さっきの高校生グループ。違う女性にまた似たような事をする。山崎了は高校生達に言った。
「君達、幾らデパートで女の子目的だからといってナンパは行けないな。次、補導だからね?」
 男子高校生達はびっくりして居た。
「お巡りさん見てたんすか!さーせん。もうやりません」

 その後から来た右腕の田中刑事から、ノーソンのお握りですと渡された。コンビニお握りか、ツナマヨ旨い。
「しおりん護送ですか!山崎さん、皆さんノーソンの緑茶です!ほい、しおりん。サービスだよ」
 ノーソンの緑茶は、買って来たばかりか冷えていて生き返る。500ミリで100円。
「父ちゃん留守なん?一人で買い物か」
 粟野さんは笑いを堪えて尋ねた。
「はい。仕事で遅くなるみたい」
 何であれ、性欲の塊みたいなDKグループから守れて良かった。殆ど粟野さんにチャンス奪われたが。
 覆面パトカー、略すると覆パトは今回、
オレと粟野の予定だった。
「美味しいよ。鮭とツナマヨ、明太子さ。流石に3つは無理だから食べる?」
 その刹那。無線か、どう説明しようか。
「佐倉エスコートです。どうぞ。あ、また渡辺からのワン切り怒鳴り電話すか。とりあえず落ち着く様な言葉掛けてやって下さい。」

 無線に連絡を入れると、課長が怒った口調で怒鳴った。
「馬鹿野郎。お前らみたいなヤツ皆クビになれだってよ」

 渡辺か?確かじいさんの友達に柏倉刑事部長が居たらしいし、同級生で国会議事堂に行った時の姿は友達として期待した。
 なんでも、公安の親戚が居たらしい。
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