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初めてのお稽古編
第5話
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「よし、準備できたな。じゃあ出掛けよう」
「はいはい……」
家の戸締まりをして、夏樹は車の助手席に乗り込んだ。
朝食を食べていなかったので、高速道路の途中にあるサービスエリアで朝食兼昼食をとることになった。今はサービスエリアもいろいろと充実しており、食事処にもそこでしか食べられない名物が揃っているようだ。
「夏樹、ここのラーメン美味いらしいぞ。せっかくだから食って行こうぜ」
「いいですけど、あまりこってりしてないやつにしてくださいよ」
「わかったわかった。じゃあ夏樹は冷たいつけ麺にしとこう」
それぞれのメニューを頼み(もちろん市川の奢りで)、空いている席に着いて向かい合って食事をした。
夏樹のラーメンはさっぱりした冷やしつけ麺だったのに対し、市川は大盛りのとんこつラーメンを注文していた。このクソ暑いのによくそんなもの食べられるな……とちょっと呆れてしまった。
「そういや夏樹、箸の持ち方綺麗だよな」
いきなりそんなことを言われたので、思わず摘まんでいた鳴門をポトッと落としてしまう。
「はあ、ありがとうございます。でも、それがどうかしたんですか?」
「いやね、箸を持つのが下手くそだと稽古の時に困るかもしれないからさ」
「……えっ? お稽古に箸を使うことがあるんですか?」
「そりゃあな。お客さんになればお菓子を取り分けるのに使うし、炭点前の時は金属製の箸使うしな」
「炭点前?」
「炉や風炉に炭をさす稽古だよ。お茶点てる前に、釜にお湯を沸かさなきゃいけないだろ? そのための稽古なんだけどさ。炭点前の時に箸使うのが下手くそだと、箸で炭を掴めないんだ」
「へ、へぇ……そうなんですか……」
なんだかよくわからないが、思った以上にお茶の世界は奥が深そうだ。
「はいはい……」
家の戸締まりをして、夏樹は車の助手席に乗り込んだ。
朝食を食べていなかったので、高速道路の途中にあるサービスエリアで朝食兼昼食をとることになった。今はサービスエリアもいろいろと充実しており、食事処にもそこでしか食べられない名物が揃っているようだ。
「夏樹、ここのラーメン美味いらしいぞ。せっかくだから食って行こうぜ」
「いいですけど、あまりこってりしてないやつにしてくださいよ」
「わかったわかった。じゃあ夏樹は冷たいつけ麺にしとこう」
それぞれのメニューを頼み(もちろん市川の奢りで)、空いている席に着いて向かい合って食事をした。
夏樹のラーメンはさっぱりした冷やしつけ麺だったのに対し、市川は大盛りのとんこつラーメンを注文していた。このクソ暑いのによくそんなもの食べられるな……とちょっと呆れてしまった。
「そういや夏樹、箸の持ち方綺麗だよな」
いきなりそんなことを言われたので、思わず摘まんでいた鳴門をポトッと落としてしまう。
「はあ、ありがとうございます。でも、それがどうかしたんですか?」
「いやね、箸を持つのが下手くそだと稽古の時に困るかもしれないからさ」
「……えっ? お稽古に箸を使うことがあるんですか?」
「そりゃあな。お客さんになればお菓子を取り分けるのに使うし、炭点前の時は金属製の箸使うしな」
「炭点前?」
「炉や風炉に炭をさす稽古だよ。お茶点てる前に、釜にお湯を沸かさなきゃいけないだろ? そのための稽古なんだけどさ。炭点前の時に箸使うのが下手くそだと、箸で炭を掴めないんだ」
「へ、へぇ……そうなんですか……」
なんだかよくわからないが、思った以上にお茶の世界は奥が深そうだ。
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