君の『色』は…

親の目を盗んで

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二章

休日

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昨日、姉様がどこかから帰ってきてからの様子が変なのです。どこに行っていたのかを聞いてもはぐらかされますし、姉様が私に何か話しかけようとして止めたりするような姿をよく見かけます。

はっきり言って、不審です。私の姉が。

なので、今日こそは問い詰めます。

今、私の前には、ベッドに無防備に寝ている姉様がいます。無理もありません。今は朝の五時なのですから。

…とはいえ、さすがに睡眠をお邪魔するのは気が引けます。

ですので、待ちます。念のため、本を持ってきておいて正解でした。







「ん、うぅ。」

あ!姉様が寝返りを打ちました。そろそろ起きるでしょうか?

「ね、ねえさま~。起きてますか~(小声)」

「ん、う?あえ?咲良?」

姉様が可愛く目をパチクリとさせ、体を起こします。

その時でした。私は、頭をハンマーで殴られたかのような衝撃を感じました。

…揺れたのです。姉様の、ソレが。男の方はソレが大きい方が好きだと聞いたことがあります。今まであまり気にしてはいませんでしたが、私のソレは、姉様のものに比べて、貧相なのです。

新城君も、男の方です。絶壁な私には、見向きもしなかったのでしょう。いくらお化粧をしても無表情だったのは、私にその魅力が無かったからなのです。

いけません!このままでは、新城君は私なんかより、要領も将来も良く、とても可愛くて魅力に溢れる姉様の方を選ぶに決まっています!

もし、そうなれば、姉様と新城君が…

あ、ああ、

ア!アアアアアアア!アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!











…………ハッ!私は一体、何を考えていたのでしょう。えっと、確か…

「咲良?どうしたの?というか、なんで私の部屋にいるの?」

あ、そうでした!姉様の様子がおかしいので、問い詰めようとしていたんでした。

「姉様、最近様子が変ですし、その理由も教えてくれませんでした。気になるに決まっているじゃないですか!…一体、何があったんですか?言うまでこの部屋から出しませんよ?」

気は進みませんが、姉様を少しだけ脅します。姉様は朝食が大好きなのです。

「そ、それはやめて!昼と夜ならいいけど、朝ごはんは駄目!」

姉様は寝起きですし、思考力の低下している今なら聞き出せるかもしれません。

「言わないなら、朝ごはんは抜きですよ?」

私はもう一度言います。

「うぅ、分かったわよ。言うわよ…
まず、昨日の昼、新城君に会いに行ったわ。」

「ふぇ!?」

ど、どういうことですか!?なぜ、姉様が、新城君と…あれ?なんでしたっけ、何か忘れている様な…

いえ、そうではなくて!

「な、何でそんなことをしたんですか!?」

私が新城君の事が好きなんて、誰にも言ったことないよ!?

「だって、お姉ちゃんだから、妹の好きな男がどんな人か気になるじゃない。」

「ふぁ!?」

な、なんで!?何で私が新城君の事が好きだって知ってるの!?

「いや、よくあれで隠せていると思ったものね。そこらの使用人でも知っているわよ?」

「え…」

そんな、私、そこまで分かりやすかったのですか!?

あ、いえ、問題はそこではなくて!

「新城君は良い人です!そんな、確認なんてしなくてもいいじゃないですか!」

「そんなことないわよ!人には後ろ暗いところの一つや二つ、あるものなのよ!」

姉様がそう言います。許せません。私はともかく、新城君を馬鹿にして、迷惑もかけて!

「なんで言い切れるのですか!私は新城君の事が好きなんです!もう、放っておいてください!」

「なっ!?だめよ!絶対にダメ!あんな男じゃなくてもいいじゃない!」

どういう、ことですか?『あんな男』!?

「姉様は一体何を知っているんですか!?なんでそこまで彼を否定するのですか!?」

「そんなの、決まってるわよ!アイツが施設育ちだってことよ!」

…え?

「施設、育ち…」

「ええ、そうよ!子供の頃、親から暴行を加えられていたそうよ。そのせいで、他人を信じることができないらしいわ。愛するなんて以ての外よ。それに、いくら跡継ぎでは無いからと言っても、九重財閥の令嬢が施設育ちの男と付き合うなんて、外聞が悪すぎるのよ。」

「なんで、すって?」

もう、頭がおかしくなりそうです。

「だから、彼はあなたと釣り合うような男じゃ…

パチィン!

気が付けば、私はすでに姉様に手を上げた後でした。ですが、この言葉の続きは言わせません。

「そんな、そんな程度の事で!私が彼を諦める訳、ないでしょう!施設育ちだからなんですか!私はそんな事、気にしません!」

「あなたが気にするという問題ではないのよ。あなたの行動が、この家に迷惑がかかるかもしれないのよ。」

姉様が正論を言う。…そうなのでしょう。それが正しい事なのでしょう。ですが、この想いを捨てる気は、諦める気はありません!そんなことをするくらいなら…

「でしたら、私は『九重』の名を捨てましょう。私がこの家から出て行けば、あなた方に迷惑がかかることもありません。…ごめんなさい、姉様。」

私は手を扉のノブに添え、姉様に謝罪します。

「え、ちょっと、まって、咲良…」

「さようなら。」

私は扉を潜り、再び閉めます。

その直前、

「ち、ちがうの、わたくし、そんなつもりじゃ…」

姉様のそんな声が聞こえました。ええ、知っています。ただ、私が駄々をこねているだけです。

ただ、私が意固地になっているだけです。

私は彼の事が好きなんだと、愛しているのだと思いたいから。


私は醜い女です。彼が施設育ちだという事を姉様から聞いた時、私は彼に落胆したのです。

でも、それは認めたくありませんでした。だから、こんな事になってしまったのです。

全部、私が悪いのです。

私の我儘がどれだけ周りの人に迷惑をかけてしまうか考えもしなかった、私が、全て、悪いのです。
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