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第1話 転生したら腰が限界なんですが
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俺の名前は田中悠斗、20歳。
就活に失敗し、バイトに追われる平凡な青年……だった。
――そう、“事故”で死ぬまでは。
気づけば、白い空間。どこかで聞いたことのある声が響いた。
「うっかり転生させてしまいました。すみません」
え、神様!? おい、ミスで転生ってなにそれ。
「お詫びに、あなたに新しい人生を……ただし、ランダム枠です」
ランダム!? 嫌な予感しかしない。
眩い光に飲まれ、次の瞬間、俺はベッドの上で目を覚ました。
――全身が痛い。腰がギシギシ鳴る。
そして鏡を見ると、そこには……
「……だ、誰だよこのシワだらけの顔!!」
白髪、腰曲がり、皺だらけの肌。
どう見ても 90歳の老人。
いやいやいやいや……!
神様、ランダムってこれかよ!!
しかも、部屋のドアが急に開いた。
見知らぬ少女が目を丸くする。
「おじいちゃん! 生き返ったの!? 魔法が効いたのね!」
魔法? 生き返った?
いや俺は転生してきただけなんですが!?
異世界の家族に囲まれ、俺の第二の人生が――
まさかの 在宅90歳スタートで幕を開けた。
「おじいちゃん、歩ける? 今日は薬草採りの日よ!」
いや無理だって!
こっちは曲がった腰を戻すだけで精一杯なんだけど!?
というか誰だよお前!?
少女――リリアは、俺の孫らしい。
どうやら“偉大な冒険者だった祖父”が病気で倒れ、
無理やり蘇生魔法をかけられたらしい。
つまり。
偉大な冒険者(中身:20歳の俺)=90歳のおじいちゃん
という、とんでも設定。
家の外に出てみれば、杖がないと歩けない身体。
でも、なぜか身体の奥に“冒険者スキル”の記憶だけは残ってる。
「……いや、これ最強じゃないか?」
身体は老人、
技術はSランク冒険者、
中身は20歳。
チートなのかハンデなのか分からない状態で、
俺は異世界生活をスタートさせるのだった。
「さあ、おじいちゃん! 森に行くわよ!」
リリアが満面の笑みで俺の手を引っ張る。
いや引っ張るな。腕が抜ける。
そもそも俺おじいちゃんじゃないし。
「お、おう……って言うしかないのかこれ」
玄関を一歩出た瞬間、腰に稲妻が走った。
「いッッ……たぁぁ!!」
「大丈夫!? やっぱり無理させすぎたかなぁ……」
いや、あの、違うんだ。
“歩く”という基本行動だけで痛いんだ。
これ異世界関係ないんだ。
杖を頼りにヨボヨボ森へ向かう。
その途中で、リリアがふと立ち止まって言った。
「でもおじいちゃん、今日は顔色よく見えるわ!
昨日までうんともすんとも言わなかったのに」
昨日まで寝込んでた“本来の祖父”の情報だろう。
俺、ただの転生者なんだけど。
(……これ言ったら混乱するよな)
説明しても絶対信じてもらえない。
というか90歳のおじいちゃんが
「実は俺、中身20歳の元日本人です」
なんて言っても、精神状態を疑われるだけだ。
結論……黙っとこう。
◆森の入口で事件発生
リリアが背負っているカゴを俺に見せた。
「今日はこの薬草を集めるの。おじいちゃんは昔から得意だったでしょ!」
……いや、初耳。
だが次の瞬間、俺の脳にビリッと電流が走った。
(あっ……分かる。どれが薬草で、どれが毒草か……全部)
Sランク冒険者の“記憶”らしい。
この身体の前の持ち主が持っていた技術が、
中身が俺に変わっても残っている。
これは素直にチートだ。
「……リリア、任せておけ。全部採ってやる」
「えっ!? 元気じゃん!!」
そう言って近づいた俺は――
腰をやって3秒で崩れ落ちた。
「いでででででッ!!」
「おじいちゃーーん!!」
チートは頭の中にあるのに、身体能力が完全に追いつかない。
これほど悲しい転生があるか。
◆スライム、現る
森の奥から、ぷるんっと青い球体が姿を見せた。
「スライム! おじいちゃん、下がって!」
いや下がらなくても……俺、最初から動けてない。
スライムは弱い魔物らしいが、
リリアはまだ子どもで危ない。
「おじいちゃんが守る!!」
そう言って立ち上がろうとした瞬間、
腰に雷が走って――
「ぬおおおおおおっ!!(痛い意味で)」
しかしだ。
この身体には冒険者の“戦闘反射”が刻まれている。
俺の杖が勝手に動いた。
「――はっ!」
ビュン!
杖の先端がスライムに命中。
スライムは一撃で蒸発した。
リリアが目を丸くして叫ぶ。
「おじいちゃん……!
やっぱり最強冒険者の力、残ってるんだ!!」
ち、違うんだ。
これ勝手に身体が動いただけなんだ。
俺はただ痛かっただけなんだ。
でも孫の尊敬の眼差しは素直に嬉しい。
◆帰り道
その後も、俺は腰を押さえながら薬草採りを手伝った。
「おじいちゃん、今日は本当にありがとう!
こんなに動けるなんて思わなかったよ!」
リリアが無邪気に笑う。
(……まあ、悪くないな)
90歳の身体はボロボロでも、
この世界には俺を必要としてくれる人がいる。
「おじいちゃん、明日はもっと森の奥まで行こうね!」
「明日!? いや、明日は腰の……」
「大丈夫! 若返りの魔法薬とか探せばいいのよ!」
(……それ先に言え!!)
こうして俺の、
“老化”と“冒険”の両立を目指す異世界生活が始まった。
就活に失敗し、バイトに追われる平凡な青年……だった。
――そう、“事故”で死ぬまでは。
気づけば、白い空間。どこかで聞いたことのある声が響いた。
「うっかり転生させてしまいました。すみません」
え、神様!? おい、ミスで転生ってなにそれ。
「お詫びに、あなたに新しい人生を……ただし、ランダム枠です」
ランダム!? 嫌な予感しかしない。
眩い光に飲まれ、次の瞬間、俺はベッドの上で目を覚ました。
――全身が痛い。腰がギシギシ鳴る。
そして鏡を見ると、そこには……
「……だ、誰だよこのシワだらけの顔!!」
白髪、腰曲がり、皺だらけの肌。
どう見ても 90歳の老人。
いやいやいやいや……!
神様、ランダムってこれかよ!!
しかも、部屋のドアが急に開いた。
見知らぬ少女が目を丸くする。
「おじいちゃん! 生き返ったの!? 魔法が効いたのね!」
魔法? 生き返った?
いや俺は転生してきただけなんですが!?
異世界の家族に囲まれ、俺の第二の人生が――
まさかの 在宅90歳スタートで幕を開けた。
「おじいちゃん、歩ける? 今日は薬草採りの日よ!」
いや無理だって!
こっちは曲がった腰を戻すだけで精一杯なんだけど!?
というか誰だよお前!?
少女――リリアは、俺の孫らしい。
どうやら“偉大な冒険者だった祖父”が病気で倒れ、
無理やり蘇生魔法をかけられたらしい。
つまり。
偉大な冒険者(中身:20歳の俺)=90歳のおじいちゃん
という、とんでも設定。
家の外に出てみれば、杖がないと歩けない身体。
でも、なぜか身体の奥に“冒険者スキル”の記憶だけは残ってる。
「……いや、これ最強じゃないか?」
身体は老人、
技術はSランク冒険者、
中身は20歳。
チートなのかハンデなのか分からない状態で、
俺は異世界生活をスタートさせるのだった。
「さあ、おじいちゃん! 森に行くわよ!」
リリアが満面の笑みで俺の手を引っ張る。
いや引っ張るな。腕が抜ける。
そもそも俺おじいちゃんじゃないし。
「お、おう……って言うしかないのかこれ」
玄関を一歩出た瞬間、腰に稲妻が走った。
「いッッ……たぁぁ!!」
「大丈夫!? やっぱり無理させすぎたかなぁ……」
いや、あの、違うんだ。
“歩く”という基本行動だけで痛いんだ。
これ異世界関係ないんだ。
杖を頼りにヨボヨボ森へ向かう。
その途中で、リリアがふと立ち止まって言った。
「でもおじいちゃん、今日は顔色よく見えるわ!
昨日までうんともすんとも言わなかったのに」
昨日まで寝込んでた“本来の祖父”の情報だろう。
俺、ただの転生者なんだけど。
(……これ言ったら混乱するよな)
説明しても絶対信じてもらえない。
というか90歳のおじいちゃんが
「実は俺、中身20歳の元日本人です」
なんて言っても、精神状態を疑われるだけだ。
結論……黙っとこう。
◆森の入口で事件発生
リリアが背負っているカゴを俺に見せた。
「今日はこの薬草を集めるの。おじいちゃんは昔から得意だったでしょ!」
……いや、初耳。
だが次の瞬間、俺の脳にビリッと電流が走った。
(あっ……分かる。どれが薬草で、どれが毒草か……全部)
Sランク冒険者の“記憶”らしい。
この身体の前の持ち主が持っていた技術が、
中身が俺に変わっても残っている。
これは素直にチートだ。
「……リリア、任せておけ。全部採ってやる」
「えっ!? 元気じゃん!!」
そう言って近づいた俺は――
腰をやって3秒で崩れ落ちた。
「いでででででッ!!」
「おじいちゃーーん!!」
チートは頭の中にあるのに、身体能力が完全に追いつかない。
これほど悲しい転生があるか。
◆スライム、現る
森の奥から、ぷるんっと青い球体が姿を見せた。
「スライム! おじいちゃん、下がって!」
いや下がらなくても……俺、最初から動けてない。
スライムは弱い魔物らしいが、
リリアはまだ子どもで危ない。
「おじいちゃんが守る!!」
そう言って立ち上がろうとした瞬間、
腰に雷が走って――
「ぬおおおおおおっ!!(痛い意味で)」
しかしだ。
この身体には冒険者の“戦闘反射”が刻まれている。
俺の杖が勝手に動いた。
「――はっ!」
ビュン!
杖の先端がスライムに命中。
スライムは一撃で蒸発した。
リリアが目を丸くして叫ぶ。
「おじいちゃん……!
やっぱり最強冒険者の力、残ってるんだ!!」
ち、違うんだ。
これ勝手に身体が動いただけなんだ。
俺はただ痛かっただけなんだ。
でも孫の尊敬の眼差しは素直に嬉しい。
◆帰り道
その後も、俺は腰を押さえながら薬草採りを手伝った。
「おじいちゃん、今日は本当にありがとう!
こんなに動けるなんて思わなかったよ!」
リリアが無邪気に笑う。
(……まあ、悪くないな)
90歳の身体はボロボロでも、
この世界には俺を必要としてくれる人がいる。
「おじいちゃん、明日はもっと森の奥まで行こうね!」
「明日!? いや、明日は腰の……」
「大丈夫! 若返りの魔法薬とか探せばいいのよ!」
(……それ先に言え!!)
こうして俺の、
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