崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

ヅルイーマ

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第四十一話 怪力と愚か者と家族愛と

妻の怪我

「なんてことだ。メイトリクスちゃん、かわいそうに……」
 ベラも目を伏せた。自分に言い聞かせるに何度も首を振っている。
「まあ、本当に命に別状があるとかそんなんじゃないッス。手紙によると階段で転んでしまって、利き手を骨折してしまったようで……」
「うわ、大変だな……しかも骨折なんて、痛かっただろうな。お気の毒に」
 ナガレも心配になってきた。何度も傷つき病院行きになったナガレには、その痛みがよく分かる。
「今はドクター・マディソンのところで入院させてもらってるらしいッス。あの人ならきっとメイトリクスを治してくれるでしょうけど……」
 ベネットは不安そうだ。確かにこんな調子では、クエストも手につかないだろう。
「それに父親とも気にすることがあるよな。あのオヤジがベネットの大切な武器を……あ!」

 うっかりベラの前でアリアスを貶してしまった。……が、彼女は怒るでもなく静かに微笑む。
「……ふ、大丈夫さねニンゲンさん。アイツにゃお灸を据えてあるから安心しな。たっぷり反省させたから」
 本当は別にキレたりしてないのだが、ベラはそのことは黙っておいた。
「そ、そうなのか。迂闊なことを言って申し訳ない。それでベネット、手紙についてもう少し詳しく教えてくれないか?」

「それは……大まかにいうとこんな感じッス。まず、メイトリクスはケガしてしまったということが書いてあったッス。メイトリクスが片腕を負傷した状態で、入院生活を送ってるなんて……」
「え?」
「ああ、どうやらメイトリクスが利き手を使えない分、マディソンさんが代筆してくれたらしいんッスよ。……はぁ、まぁそういうわけッス。メイトリクス自身は、帰って来ずとも良いって言ってると書いてあるんッスけど……」
 ベネットは頭を抱えた。悩みや困惑も、メイトリクスへの愛情ゆえのものだ。
「ああ、心配ッス……」

「その……言いにくいけどさ。じゃあ、バッファローに戻るか?」
「え?」
 説明しづらく感じて、ナガレはベネットから目を逸らす。
「いやさ、本当にイヤミとかじゃないぞ! 純粋な気持ちっつーか、親切心というか……お前が帰りたいなら、帰ってもいいぞ。メイトリクスが心配ならね」
「そ、それは……」
 そう言われたベネットは気まずそうだ。確かにここで「じゃあお言葉に甘えて行ってきまーす!」なんて言いづらいだろう。
 だが、彼にはナガレに悪意がないことも分かっている。ここで戻っても決して陰口で非難したりしないだろう。だが……。
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