崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第二十五話 リベンジ！ スカルクリーチャー

いざクエストへ…？

「へへっ、よりどりみどりだな。シャット、何か行ってみたいのある？　オレとしては、なるべく楽な方が……」
「うーん、それじゃこれ！」
「ふむ、どんな依頼でしょうか」
　シャットが手に取った一枚の用紙を、全員で覗き込む。

　……その内容は『スラガンコヨーテの毛皮納品』と書いてあった。
「「えっ……」」
　思わず表情が固まったナガレとアルクル。
　スラガンコヨーテはホクス平原にもまれに現れる、スラガン地方を象徴するモンスター。二メートルくらいのオオカミのような、茶色の毛皮に覆われており腐肉を食べている。中でもスカル系のモンスターの骨が大好物らしく、とっ捕まえてバリバリと噛み砕いてしまうらしい。
　普通の個体と二倍近い大きさのボスと数匹の配下で群れを作り、狩りをする危険度Ａ級の強豪モンスターだ。しかしプライドが高い上に勇敢で賢く、よほどのことがなければ弱い人間は攻撃しない。
　巨獣のスカルクリーチャーでさえも群れで組み伏せるチームワーク、群れの子供を守るために命懸けで戦う姿などはヒロイックで、よく昔話にも登場する。

　……つまり、これの毛皮を集めるのはすごく大変である。戦っても絶対に勝てないし、そもそも見つけ出そうとしたって、まずスラガンコヨーテの方が逃げ出してしまう。
「え、えっと、他のにしない？」
「え～、それじゃあ、これは？」
　続いてシャットが取り出したのは『アノヨダケ十個の納品』のクエストだった。
　アノヨダケとは、強烈な気付け作用があるスラガン地方にしか生えていない希少なキノコ。漢方にして飲むと、あの世に行った死人ですら苦味にビックリして生き返ると言われている。
　……しかし、そんなキノコがホイホイ生えている訳もない。なんとそのキノコがあるのは、大体はガケの上。どういうことかというと、アノヨダケと言われるくらい大きくなるまでに、野生モンスターに食べられてしまうのだ。なので大きくなるまで生き残るのは、険しい環境にあるモノだけなのである。
「こ、これも無理でしょ！　そんな厳しいの行けないって」
「むー、じゃあこれは？」
　ほっぺを膨らませながらシャットがまた選んだのは……。
「えーとなになに『スカルクリーチャーの討伐』……って、これオレの昇格クエストだって！」
「え、そーなのパイセン？」
　キョトンとした顔のシャットだが、アルクルは「え⁉︎」と驚いてクエストのファイルをパラパラ捲る……。
「おっおいシャット！　おめえ、いつのまにソレ取ったんだよ！」