崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

第二十五話 リベンジ！ スカルクリーチャー

異文化の結婚事情

　アリッサが恐る恐る声をかけると、ベネットは「あっ！」と人懐っこい笑顔になった。
「あなたがアリッサさんとルックさんッスね！　ナガレさんのご友人も、しっかりチェックしてるッス」
「え、あたしのファンなの？」
「んな訳ねーだろねーちゃん」
　ちょっと嬉しそうなアリッサの頭を軽く叩いたルック。
「……いや、そうじゃなくって！　あ、あなたのことはナガレ君から聞いてるよ。期待の新人が四人も来たって」
「マジッスか！　光栄ッスナガレ先輩！　オラ、ナガレ先輩の期待に応えられるよう誠心誠意……」
「ちょっと話ずらさないで！　ベネット君、まだ十八歳じゃん！　そ、そんな若年結婚なんて……に、人間離れしてるよ！」
「……ベネットさんは人間じゃないけどな」
「ヤボなツッコミしないのっ！」
　ツッコミを入れたルックが、逆にツッコミをくらう事態に。アリッサは泡を食ったように慌てている。
「そ、そんなぁ。あたしだって結婚どころか付き合ったこともないのに……」
「ま、まぁオーク族は部族によってはお見合いみたいに、絶対に決められる時期があるから。人間にはそんなのないじゃん」
「そ、そうだよね。あたしがおかしい訳じゃないよね」
　ナガレが慌ててフォローを入れ、アリッサもちょっと落ち着いたが……。
「いやぁ、今日は夫婦で食事に来ましたッス。でもナガレ先輩と出会えてよかったッス！　オラたち夫婦をどうぞよろしくッス」
「お、お願いするます……」
　本当に緊張しているようで、メイトリクスはさも当然のようにベネットの腕へ抱きついた！　幸せオーラに押されて、アリッサがひっくり返りそうになる。
　ふらっ……。
「ちょっとアリちゃん⁉︎」
「おっおいおい！　しっかりしろねーちゃん！」
　ヴァレリーとルックに慌てて背中を支えられ、後頭部激突は避けられた。
「い、いらっしゃいませ。ご、ご注文は？」
　おっかなびっくりメモを取り出し、オーダーを取るディーネ。するとカップル改め夫婦は顔を見合わせた。
「メイトリクス。何か食べたいものあるか？」
「……お、お肉。お肉食べたい」
「分かった。……お！　ナガレさんも肉食ってるッスね。それじゃあ店員さん！　おんなじのお願いしまッス！」
「は、はい。スラガンビーフのステーキですね。お連れ様は？」
「お、おんなじのお願いするます」
「か、かしこまりました」
　そういってそそくさと厨房へ戻っていくディーネ。流石に幼い少女には、大柄な二人はちょっと怖かったから……と思いきや。
「ねぇパパ！　あ、アタシ、異文化交流しちゃった！」