崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第二十九話 森林のハンター

暗殺術

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 それだけ相手を倒すことのみを考え尽くした武道こそ石猿流。サラッと読み込んだだけなので内容暗記以外よく意味が分からなかったページも多い。しかし中にはたくさんの技があった。『八戒掌はっかいしょう』『玉兎脚ぎょくときゃく』『金銀返きんぎんがえし』『蠍壺さそりのつぼ』……果たしてどんな技なのか、まだ分からない。
(……しかし、あれには驚いたな)
 ジョーが秘伝書を読み込んでいて驚いたこと。
 ナガレの十八番、大得意技である『受け流し』。技術を持って相手の攻撃を受け流すガードの上位互換であり、闘魂発動中で体力ピンチのナガレの窮地を、幾度となく救ってきた技術だ。


 実はなんと……二百ページ以上ある『石猿流 棒術之巻』の本。その中で受け流しの欄は、わずか二ページしか無かった。参考程度に『牛魔壊』は、五ページ以上も使って説明されていた。

 ……そう、石猿流棒術にとって『受け流し』は小技の一つに過ぎなかったのだ。
(つまり本命は、牛魔壊などの技。……なるほと、確かに暗殺中だ)
 そこら辺に手頃な長さの、そこそこ硬い棒さえあれば、すぐさま殺意に満ちた必殺技を出すことができる。木の棒から鉄のパイプに物干し竿……現地調達としてぴったりだ。
 しかもいかなるシチュエーションにも対応できるようさまざまな技があり、それから身を守ることも難しい。……と言った特徴がある。
 平和ボケしたナガレは技の危険性に気付かない。しかし復讐の旅で何度も忍び込み、時には丸腰で突入することも多かったジョーには殺意の高さがよく分かる。
(……牛魔壊の極限まで威力を高めた刺突。……当たるどころによっては鎧を着ていようと、喉笛や心臓など急所を強打され死ぬ。霊感大波は魔法のバリアーすら打ち破り、さらに魂を振るわせ心を鈍らせる。蜘蛛繰固は向かい合って対峙した状態から、一瞬で敵の命運を握ることができる)
 恐ろしい技の数々だ。……やはり石猿流は危険なのだろうか。それを扱うナガレは、本当に大丈夫なのか。
 そして、ギルドマスターのレンはなぜ、よりにもよってこの石猿流をナガレに託したのか……。
 夕陽を浴びながら、逆さまのまま腕を組む。そして目を閉じて思考回路を高速化……。

 ずるっ。
「……⁉︎」
 ……ドガァッ!
「ぐあっ⁉︎」
 ……そこで気が抜けて、なんと真っ逆さまに落下。流石のジョーも反応できず、地面に頭から激突してしまった。
「く……いててててっ……」
 頭を押さえて呻くジョー。幸か不幸か、誰もその光景を見ていなかった。
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