だから憧れた

パイタン

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月華の胸中

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 春の風が吹き桜が舞っている、今日は入学式日和と呼べるだろう

(早く本の続きが読みたいなー)

 と入学式を興味なさげに俯いてる少女、腰まで伸びた綺麗な黒い髪、前髪が目に掛かってるのが勿体ないと思わせる彼女山藤 月華さんとう つきはなは入学式に目もくれず本の続きを気にしていた。

「新入生代表挨拶」

「はい」

 その呼ばれた声に月華の体が強ばる、聞きなれた声、恐る恐るその人物に目を向けると、小さめの身長に肩まで伸びた亜麻色の髪、その髪はふわっとパーマが掛かってる、私はその少女の事をよく知ってる。

 その少女を見た瞬間に胃が冷たくなるのを感じた。

「陽香、、、」

 出すつもりもなかった言葉が弱々しく声になり思わず視線を下に向けた。

(嘘でしょ、あの子の家はこの学校から遠いし、、、もしかしたら名前と見た目が似ているだけもしれない)

 と自分に精一杯言い聞かせる、しかしその少女の発言で考えが吹き飛ばされる。

「暖かな春の訪れとともに」

 聞いた事のある懐かしい声、私に語り掛けてくれた、私の名前を呼んでくれた懐かしい声、、、そもそも彼女を見間違うわけが無いのだ、、、
 私の1番の親友、1番の理解者、そして”1番会いたくなかった人”

 月華はもう一度、彼女に目を向ける。

 2年ぶりに見た彼女は前見た時より成長しており、それを見ていると目頭がグッと熱くなるのを感じてまた視線を下げた。




 気がついたら入学式が終わっていた、今は自分の席に腰を掛けているがさっきまで続きが気になってきた本が全く手につかず窓から空を眺めていた。

「珍しいな山藤が本を読んでないなんて」

 視線を上げると女子にしては高い170cmは有ろうかという身長に染めるのに失敗したのか所々黒い金髪彼女名は竹原 美雪たけはら みゆき数少ない私が話す相手だ。

「別に、、、何も無いわよ」

 と言い私は気だるそうに机の引き出しから本を出す

 「そうか」

 とだけ言い残し竹原は自分の席に着いた。

 竹原は世間一般で言う不良だ、しかし何気に勉強が得意らしく西海高校を受験したのも「家から1番近いから」だそうだ。

 何故そんな不良の彼女と私が仲がいいのか、、、所謂クラスのハブられ仲間だ、私は人と関わらないし、竹原も皆から怖がられてて孤立している、自分で言っといて悲しい仲間だ。

 今は竹原の事はどうでもいいのだ、今はどうすれば陽香との対面を避けるかを考えなければいけない。

 もう二度と信頼してる人に”裏切られる”のはいやだから、、、









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