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第一章 世界は明日、終わりを告げる
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光くんが『自習』と黒板に書き、教科書を纏めて片手に持った。
「じゃ、先生はこれから会議に行くから、みんな静かに自習してろよー」
不安な表情を見せまいと笑顔を取り繕っているけど、頬が少し引き攣っているのが分かる。みんなはそんな光くんの様子には気付かず、『はーい』、『いってらー』と明るく返して見送った。
何が、あったんだろう。
そんな私の不安とは対照的に、教室は解放感に満ち、賑やかでリラックスした雰囲気に包まれていた。ガタガタと椅子や机を揺らす音が響き、それぞれ仲良しのグループに固まっていく。
「ミッキー、京ちゃーん、こっちおいで!」
前後に座るほのちゃんとくまっちが離れた席に座る私と京ちゃんに向かって大きく手を振り、呼びかける。席を立ち、そちらに歩いていく途中、逞しい腕に肩を抱かれて爽やかなコロンの匂いに包まれた。
「美輝、俺んとこ来ねーの?」
翔が日に焼けた顔を近づける。黒い短髪に精悍な顔つきの真っ白な歯は、いかにも健全な高校生って感じで、自分も普通の女子高生であることを自覚させてくれ、安心する。
「翔だって、友達とつるんでるじゃん」
翔の側には章吾と健一がいて、早速机の上にポテチを広げてて、何が可笑しいのかバカ笑いしてる。健一は1ヶ月前に1週間ほど風邪で休んだ後、部活やってると高校生活楽しめないからって理由で野球部を辞めて、それからは毎日遊び回ってるみたいだった。冗談言ったり、バカなことしたりは前からしてたけど、野球だけは真面目に取り組んでると思ってたから意外だった。
「美輝が俺と一緒にいたいって言えば、いつだって付き合うぜ」
みんなでいる時はそっけないけど、二人になったらデレるってパターンのカップルの方が多いと思うけど、翔は逆だ。二人でいる時は寄ってこないのに、みんなでいる時には見せつけるように仲の良さをアピールしてくる。
寄せてきた翔の顔をグッと掌で押した。
「遠慮しとく。女の友情は大切にしないと」
「チェッ、冷てぇなー」
口ではそう言いながらもサラッと腕を外し、解放してくれる。こういう軽口叩きあえる気軽な関係だから、翔と付き合えてる。心の中では翔の存在に、救われていた。
ほのちゃんとくまっちのとこに行くと、机が向かい合わせにセットされ、京ちゃんは既に座っていた。
くまっちが高く結わえたポニーテールを揺らし、揶揄うようにニヤニヤとした笑みを向けてくる。
「愛されてるねぇ、ミッキー」
肩を竦めて座り、少し乱れた黒髪を背中に流した。
「そんなんじゃないって」
ほんとはみんなが思ってるほど、いちゃついてるわけでもラブラブなわけでもないのに、誤解されてるのが心苦しい。だからと言って、言い訳すればするほどのろけだと思われるから、言わないようにしてる。
「いいじゃーん、ラブラブでさぁ。章くんなんて、こっち見もしないよー」
ふわふわな綿菓子ってイメージがぴったりのほのちゃんが、不満そうに頬を膨らませた。ほのちゃんと章吾は幼馴染であり、付き合ってから10年という夫婦のようなカップルで、両親も公認の仲だ。お互いのことは何もかも知っていて、不安や心配なんてないだろうに、未だにそんな可愛いことを言うなんて、微笑ましくなる。
それに比べて私って、なんて可愛げがないんだろう。どうして翔は私なんかと付き合ってるのか、疑問に思う。
私もほのちゃんみたいに、素直な気持ちを何も考えずに言えてた頃もあったけど……今は本心を何重にもオブラートに包み込み過ぎて、自分でも本当の気持ちが分からなくなってる。
「それにしてもさぁ、どうして突然先生たち呼び出されたんだろうねぇ」
心配性のほのちゃんは、不安な顔を覗かせた。
「じゃ、先生はこれから会議に行くから、みんな静かに自習してろよー」
不安な表情を見せまいと笑顔を取り繕っているけど、頬が少し引き攣っているのが分かる。みんなはそんな光くんの様子には気付かず、『はーい』、『いってらー』と明るく返して見送った。
何が、あったんだろう。
そんな私の不安とは対照的に、教室は解放感に満ち、賑やかでリラックスした雰囲気に包まれていた。ガタガタと椅子や机を揺らす音が響き、それぞれ仲良しのグループに固まっていく。
「ミッキー、京ちゃーん、こっちおいで!」
前後に座るほのちゃんとくまっちが離れた席に座る私と京ちゃんに向かって大きく手を振り、呼びかける。席を立ち、そちらに歩いていく途中、逞しい腕に肩を抱かれて爽やかなコロンの匂いに包まれた。
「美輝、俺んとこ来ねーの?」
翔が日に焼けた顔を近づける。黒い短髪に精悍な顔つきの真っ白な歯は、いかにも健全な高校生って感じで、自分も普通の女子高生であることを自覚させてくれ、安心する。
「翔だって、友達とつるんでるじゃん」
翔の側には章吾と健一がいて、早速机の上にポテチを広げてて、何が可笑しいのかバカ笑いしてる。健一は1ヶ月前に1週間ほど風邪で休んだ後、部活やってると高校生活楽しめないからって理由で野球部を辞めて、それからは毎日遊び回ってるみたいだった。冗談言ったり、バカなことしたりは前からしてたけど、野球だけは真面目に取り組んでると思ってたから意外だった。
「美輝が俺と一緒にいたいって言えば、いつだって付き合うぜ」
みんなでいる時はそっけないけど、二人になったらデレるってパターンのカップルの方が多いと思うけど、翔は逆だ。二人でいる時は寄ってこないのに、みんなでいる時には見せつけるように仲の良さをアピールしてくる。
寄せてきた翔の顔をグッと掌で押した。
「遠慮しとく。女の友情は大切にしないと」
「チェッ、冷てぇなー」
口ではそう言いながらもサラッと腕を外し、解放してくれる。こういう軽口叩きあえる気軽な関係だから、翔と付き合えてる。心の中では翔の存在に、救われていた。
ほのちゃんとくまっちのとこに行くと、机が向かい合わせにセットされ、京ちゃんは既に座っていた。
くまっちが高く結わえたポニーテールを揺らし、揶揄うようにニヤニヤとした笑みを向けてくる。
「愛されてるねぇ、ミッキー」
肩を竦めて座り、少し乱れた黒髪を背中に流した。
「そんなんじゃないって」
ほんとはみんなが思ってるほど、いちゃついてるわけでもラブラブなわけでもないのに、誤解されてるのが心苦しい。だからと言って、言い訳すればするほどのろけだと思われるから、言わないようにしてる。
「いいじゃーん、ラブラブでさぁ。章くんなんて、こっち見もしないよー」
ふわふわな綿菓子ってイメージがぴったりのほのちゃんが、不満そうに頬を膨らませた。ほのちゃんと章吾は幼馴染であり、付き合ってから10年という夫婦のようなカップルで、両親も公認の仲だ。お互いのことは何もかも知っていて、不安や心配なんてないだろうに、未だにそんな可愛いことを言うなんて、微笑ましくなる。
それに比べて私って、なんて可愛げがないんだろう。どうして翔は私なんかと付き合ってるのか、疑問に思う。
私もほのちゃんみたいに、素直な気持ちを何も考えずに言えてた頃もあったけど……今は本心を何重にもオブラートに包み込み過ぎて、自分でも本当の気持ちが分からなくなってる。
「それにしてもさぁ、どうして突然先生たち呼び出されたんだろうねぇ」
心配性のほのちゃんは、不安な顔を覗かせた。
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