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告白は謎解きの後で
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ベッドに寝転がりながら、くしゃくしゃになった手紙を広げる。何度考えてみても、これを書いたのは相馬さんしかありえない。
なんだよ、何が言いたいんだ。
どうして僕に、こんな手紙を渡したんだ。
謎解きする度に僕の目の前に現れて、心をかき乱して、期待させて……
いったい、なんなんだよ!!
胸が、潰れそうに痛くなってくる。
相馬さんには久遠がいて、そんな彼女を見るのが苦しくて、離れたはずなのに。
図書委員の当番の時に好きな推理小説について語ってるだけで、良かったのに。
もしかして相馬さんも僕を好きで、これは告白なんじゃないかと期待した途端、久遠にチョコ渡してるし、意味が分かんないよ。
「あぁぁぁぁぁぁ!!」
頭がおかしくなりそうだ。
伸ばした手紙を再びくしゃくしゃに丸めてゴミ箱に投げつけ、勢いよく立ち上がった。
これが、間違いだったっていい。
今日を逃したら僕は……恥をかく以上に大きな後悔をすることになる。
全速力で相馬さんの家へと駆けていき、大きく息を吸うと、彼女の部屋の窓に向かって叫んだ。
「美夢ちゃーーん! 美夢ちゃーーんっっ!!」
自分でもこんな声が出るんだって驚くぐらい、大きな声だった。
2階の窓がガラッと開いた。
「公平くん!? なんで叫んでるの!?」
真っ赤な顔した相馬さんが、慌てた表情で僕を見つめた。
あ、失敗……違ったんだ。
引き返そうとすると、相馬さんが大声で呼び止めた。
「待ってて! そっち行くから!!」
勢いよく窓が閉められ、ものの10秒もしないうちに相馬さんが玄関の扉を開けた。
「入って!」
「ぇ……」
「早く入って!!」
相馬さんの勢いに押され、何年か振りに彼女の玄関の敷居を跨ぐ。
「あ、あの……」
戸惑っていると、相馬さんは両手で口を押さえ、肩を震わせた。
「公平くん……呼んで、くれ……ウッ……『美夢ちゃん』って、呼んでくれたッグ」
大きな瞳からボロボロと涙を零す彼女を見て、可愛い子は泣いてもこんなに可愛いんだな……なんて感動を覚える。
「相馬さん、どうしてこんなこと……」
全ての手紙の謎は解けたものの、それを書いた相馬さんの気持ちは謎のままだった。
「相馬さんが好きなのは僕なんじゃないかって、誤解されちゃうよ?」
心配してそう言うと、相馬さんは肩をビクッと震わせて、キッと僕を睨みつけた。
「誤解じゃないよ!」
「ぇ。じゃあ、久遠は?」
「久遠なんて好きじゃないってば! 強引で自分勝手でワガママで……手のかかる弟としか、思えないもん」
「だって、さっきチョコ……」
「あまりにも煩かったから仕方なく渡しただけ!」
相馬さんが玄関に置いてあったキルティング加工のバッグから、黒に赤いリボンがかかった箱を取り出し、僕に渡す。今朝の箱と同じように、『今すぐ開けて!』と書かれていた。
中には手紙ではなく、チョコが入っていた。
なんだよ、何が言いたいんだ。
どうして僕に、こんな手紙を渡したんだ。
謎解きする度に僕の目の前に現れて、心をかき乱して、期待させて……
いったい、なんなんだよ!!
胸が、潰れそうに痛くなってくる。
相馬さんには久遠がいて、そんな彼女を見るのが苦しくて、離れたはずなのに。
図書委員の当番の時に好きな推理小説について語ってるだけで、良かったのに。
もしかして相馬さんも僕を好きで、これは告白なんじゃないかと期待した途端、久遠にチョコ渡してるし、意味が分かんないよ。
「あぁぁぁぁぁぁ!!」
頭がおかしくなりそうだ。
伸ばした手紙を再びくしゃくしゃに丸めてゴミ箱に投げつけ、勢いよく立ち上がった。
これが、間違いだったっていい。
今日を逃したら僕は……恥をかく以上に大きな後悔をすることになる。
全速力で相馬さんの家へと駆けていき、大きく息を吸うと、彼女の部屋の窓に向かって叫んだ。
「美夢ちゃーーん! 美夢ちゃーーんっっ!!」
自分でもこんな声が出るんだって驚くぐらい、大きな声だった。
2階の窓がガラッと開いた。
「公平くん!? なんで叫んでるの!?」
真っ赤な顔した相馬さんが、慌てた表情で僕を見つめた。
あ、失敗……違ったんだ。
引き返そうとすると、相馬さんが大声で呼び止めた。
「待ってて! そっち行くから!!」
勢いよく窓が閉められ、ものの10秒もしないうちに相馬さんが玄関の扉を開けた。
「入って!」
「ぇ……」
「早く入って!!」
相馬さんの勢いに押され、何年か振りに彼女の玄関の敷居を跨ぐ。
「あ、あの……」
戸惑っていると、相馬さんは両手で口を押さえ、肩を震わせた。
「公平くん……呼んで、くれ……ウッ……『美夢ちゃん』って、呼んでくれたッグ」
大きな瞳からボロボロと涙を零す彼女を見て、可愛い子は泣いてもこんなに可愛いんだな……なんて感動を覚える。
「相馬さん、どうしてこんなこと……」
全ての手紙の謎は解けたものの、それを書いた相馬さんの気持ちは謎のままだった。
「相馬さんが好きなのは僕なんじゃないかって、誤解されちゃうよ?」
心配してそう言うと、相馬さんは肩をビクッと震わせて、キッと僕を睨みつけた。
「誤解じゃないよ!」
「ぇ。じゃあ、久遠は?」
「久遠なんて好きじゃないってば! 強引で自分勝手でワガママで……手のかかる弟としか、思えないもん」
「だって、さっきチョコ……」
「あまりにも煩かったから仕方なく渡しただけ!」
相馬さんが玄関に置いてあったキルティング加工のバッグから、黒に赤いリボンがかかった箱を取り出し、僕に渡す。今朝の箱と同じように、『今すぐ開けて!』と書かれていた。
中には手紙ではなく、チョコが入っていた。
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