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過去を捨てた代償
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モデルとして3年の月日が流れた。担当雑誌を変えながらも、私は未だトップモデルとして君臨し、注目を浴びていた。
だが、楽しいと思っていた非日常が日常になってくると、だんだん窮屈な気持ちになってきている自分に気がついた。常に最新のファッションを身に纏い、競い合うようにブランド物を買い込み、ファッションと男の話しか興味がないモデル仲間の女友達。チヤホヤしてきて愛してると囁きながらも、こちらが深い関係になることを拒むと掌を返したかのように態度を変える男達。
男性でも女性でも、私の内面深くにまで到達してくれる人はいなかった。
何もかも、疲れてきた。長いバケーションは終わったのだ。
最近よく、拓海のことを思い出す。
今思うと、拓海は私の内面深くに目を向けてくれていた。ブスで地味な私をいつも気遣ってくれていた。
『俺は……なんかお前のことほっとけねぇんだよ……』
あの時の拓海の言葉と表情が、脳裏に蘇る。
拓海に、会いたい……
でも、どうやって?
別人になった私が会いに行ったところで、説明できるわけがない。
大学なら、たくさん人がいる。そこで偶然を装って拓海と会って、何かきっかけを作って話ぐらいは出来るかもしれない。
そう思ったら、いてもたってもいられなくなった。早速事務所に連絡をとり、休みをもらう手筈を整えた。
き、ちゃった。
拓海の通う、そして私の通うはずだった大学に私はいた。
拓海、いるかな? こんな広い大学の中、彼のとってる講義もゼミも知らないのに、会える可能性なんて低いよね……
そう思いながら、変装の為に準備しておいた眼鏡越しに見渡した。女子大生に人気の雑誌のトップモデルがこんな所にいるのが見つかったら、大騒ぎになってしまう。
「ッッ!!」
いた……
一際背の高い、小さな頭が見える。間違うはずない、拓海だ。それでも慎重をきして、本当に彼なのか確認するため近づくと、拓海の横には女がいた。
その後ろ姿を見て、ギョッとした。
だって、それは……昔の、私だったから。
まるで、ドッペルゲンガーを見ているようだった。いや、でも今の私はあの私とは姿形はまるで違うからドッペルゲンガーとは言わないのか。とにかく、その女はまるで私なのだ。でも、後ろ姿だけならただの他人の空似ってやつかもしれない。
私はゆっくり歩く彼らを遠回りに追い越した。そして、周りを見回して人がいないことを確認すると速足で駆け出し、ビルの隙間から二人を覗いた。
歩いているのは、やはり拓海だった。そして、その隣にいるのは……紛れもなく私。
一体、どういうこと!?
だが、楽しいと思っていた非日常が日常になってくると、だんだん窮屈な気持ちになってきている自分に気がついた。常に最新のファッションを身に纏い、競い合うようにブランド物を買い込み、ファッションと男の話しか興味がないモデル仲間の女友達。チヤホヤしてきて愛してると囁きながらも、こちらが深い関係になることを拒むと掌を返したかのように態度を変える男達。
男性でも女性でも、私の内面深くにまで到達してくれる人はいなかった。
何もかも、疲れてきた。長いバケーションは終わったのだ。
最近よく、拓海のことを思い出す。
今思うと、拓海は私の内面深くに目を向けてくれていた。ブスで地味な私をいつも気遣ってくれていた。
『俺は……なんかお前のことほっとけねぇんだよ……』
あの時の拓海の言葉と表情が、脳裏に蘇る。
拓海に、会いたい……
でも、どうやって?
別人になった私が会いに行ったところで、説明できるわけがない。
大学なら、たくさん人がいる。そこで偶然を装って拓海と会って、何かきっかけを作って話ぐらいは出来るかもしれない。
そう思ったら、いてもたってもいられなくなった。早速事務所に連絡をとり、休みをもらう手筈を整えた。
き、ちゃった。
拓海の通う、そして私の通うはずだった大学に私はいた。
拓海、いるかな? こんな広い大学の中、彼のとってる講義もゼミも知らないのに、会える可能性なんて低いよね……
そう思いながら、変装の為に準備しておいた眼鏡越しに見渡した。女子大生に人気の雑誌のトップモデルがこんな所にいるのが見つかったら、大騒ぎになってしまう。
「ッッ!!」
いた……
一際背の高い、小さな頭が見える。間違うはずない、拓海だ。それでも慎重をきして、本当に彼なのか確認するため近づくと、拓海の横には女がいた。
その後ろ姿を見て、ギョッとした。
だって、それは……昔の、私だったから。
まるで、ドッペルゲンガーを見ているようだった。いや、でも今の私はあの私とは姿形はまるで違うからドッペルゲンガーとは言わないのか。とにかく、その女はまるで私なのだ。でも、後ろ姿だけならただの他人の空似ってやつかもしれない。
私はゆっくり歩く彼らを遠回りに追い越した。そして、周りを見回して人がいないことを確認すると速足で駆け出し、ビルの隙間から二人を覗いた。
歩いているのは、やはり拓海だった。そして、その隣にいるのは……紛れもなく私。
一体、どういうこと!?
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