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新婚旅行から帰ってきたら、弟の元婚約者が居候していました
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披露宴の翌日、ジュリエッタとフランツは新婚旅行へと旅立った。3週間かけて欧州を回るのだが、これは、単なるバカンスではない。
フランツは今まで兄のトレンスの事業を手伝っていたのだが、これからはジュリエッタの仕事を一緒に支えてくれることになった。欧州での取引先に挨拶してフランツを紹介し、これからの事業に向けての話し合いをしなくてはならないため、楽しんでばかりはいられないのだ。
この新婚旅行で、ジュリエッタとフランツは、これまであまりなかったふたりきりの時間を過ごすことができた。
お互いの趣味や習慣、考え方などを共有し、議論することもあった。もちろんこれまで育った環境が異なるふたりだから、意見が異なることや驚くべき習慣(フランツが、おならやゲップをしそうな時は必ず申告するとか)があったりしたが、それも互いの理解を深める要素になってくれた。
そして……ジュリエッタとフランツは、そこで初夜を迎えた。ふたりともガチガチに緊張し、どうしていいか分からず、焦ったり、戸惑ったり、不安になったりして失敗しながらも……ようやく3日目の挑戦で、ふたりは躰を繋げることができた。
ジュリエッタは今まで知らなかった男性に抱かれる心地よさを感じ、恥ずかしさがありながらも、フランツに愛される喜びを知った。
そんな充実した時間を過ごし、新婚旅行から帰ったジュリエッタが見たのは……ガーデンで優雅にミッチェルと紅茶を飲みながら、談笑しているアーロンの姿だった。
「ちょちょちょちょ……ちょっと、いったいどういうこと!?」
手にしていたスーツケースが、バタッと倒れた。ジュリエッタはずかずかとガーデンへと入り、アーロンの前に立ちはだかった。
「ゃ、やあ、ジュリエッタ、お帰り。新婚旅行はどうだった?
あ、その前に、結婚おめでとう」
気まずそうにしながら、引き攣った笑みをアーロンが浮かべる。
こんのぉ、よくも抜け抜けと……!
「なぜアーロン様が、ここにいらっしゃるのかしら?」
責めるような口調で問いただすと、ミッチェルがアーロンを庇うように手を挙げた。
「ジュリエッタお姉様。アーロン様はどこにも行くところがないのです。どうか、ここにいさせてあげてください」
なんですって……!?
ジュリエッタの頬がひくついた。
「で、では……アーロン様は、家出したのですか!?」
俯いたアーロンの目の前のテーブルを、ジュリエッタがガンッと叩く。
「いったいどういうことなのか、説明してくださいっ!!」
感情を昂らせるジュリエッタの後ろから、フランツの声が聞こえた。
「まぁまぁ、ジュリエッタ。まずはアーロン殿から事情を聞こう。さ、ジュリエッタ座って。
あ、君!」
フランツはジュリエッタを座らせると、好奇心丸出しで様子を見ていたメイドに声を掛けた。
「あ、はいっ! なんでしょう、若旦那様」
『若旦那様』と呼ばれて、フランツは少し顔を赤くしてから、メイドにジュリエッタと自分の紅茶を用意するように頼んだ。
フランツがアーロンに優しく話しかける。
「アーロン殿。ミッチェルと婚約破棄をしたのは、君の意思ではなかった。そして、ご両親の意思によって次の婚約者が決められ、結婚式の途中で逃げ出したとジュリエッタから聞いていたのだが……」
フランツの話をジュリエッタが引き継ぐ。
「その足で我が家にいらして、ミッチェルを訪ねましたのよね。そのとき、私はアーロン様に言ったはずです。しっかりと相手の方と話し合いをつけてから、改めてミッチェルに会いに来るべきだと。アーロン様のご両親にも、誠意をもって謝罪した方がいいと伝えましたわよね?」
「あぁ、そうだね……」
メイドが紅茶を用意し、ジュリエッタは心を落ち着かせるためにティーカップを手に取った。
飲み終えると、フランツをじとっと見つめる。
「それで、話し合いはつきましたの?」
フランツは今まで兄のトレンスの事業を手伝っていたのだが、これからはジュリエッタの仕事を一緒に支えてくれることになった。欧州での取引先に挨拶してフランツを紹介し、これからの事業に向けての話し合いをしなくてはならないため、楽しんでばかりはいられないのだ。
この新婚旅行で、ジュリエッタとフランツは、これまであまりなかったふたりきりの時間を過ごすことができた。
お互いの趣味や習慣、考え方などを共有し、議論することもあった。もちろんこれまで育った環境が異なるふたりだから、意見が異なることや驚くべき習慣(フランツが、おならやゲップをしそうな時は必ず申告するとか)があったりしたが、それも互いの理解を深める要素になってくれた。
そして……ジュリエッタとフランツは、そこで初夜を迎えた。ふたりともガチガチに緊張し、どうしていいか分からず、焦ったり、戸惑ったり、不安になったりして失敗しながらも……ようやく3日目の挑戦で、ふたりは躰を繋げることができた。
ジュリエッタは今まで知らなかった男性に抱かれる心地よさを感じ、恥ずかしさがありながらも、フランツに愛される喜びを知った。
そんな充実した時間を過ごし、新婚旅行から帰ったジュリエッタが見たのは……ガーデンで優雅にミッチェルと紅茶を飲みながら、談笑しているアーロンの姿だった。
「ちょちょちょちょ……ちょっと、いったいどういうこと!?」
手にしていたスーツケースが、バタッと倒れた。ジュリエッタはずかずかとガーデンへと入り、アーロンの前に立ちはだかった。
「ゃ、やあ、ジュリエッタ、お帰り。新婚旅行はどうだった?
あ、その前に、結婚おめでとう」
気まずそうにしながら、引き攣った笑みをアーロンが浮かべる。
こんのぉ、よくも抜け抜けと……!
「なぜアーロン様が、ここにいらっしゃるのかしら?」
責めるような口調で問いただすと、ミッチェルがアーロンを庇うように手を挙げた。
「ジュリエッタお姉様。アーロン様はどこにも行くところがないのです。どうか、ここにいさせてあげてください」
なんですって……!?
ジュリエッタの頬がひくついた。
「で、では……アーロン様は、家出したのですか!?」
俯いたアーロンの目の前のテーブルを、ジュリエッタがガンッと叩く。
「いったいどういうことなのか、説明してくださいっ!!」
感情を昂らせるジュリエッタの後ろから、フランツの声が聞こえた。
「まぁまぁ、ジュリエッタ。まずはアーロン殿から事情を聞こう。さ、ジュリエッタ座って。
あ、君!」
フランツはジュリエッタを座らせると、好奇心丸出しで様子を見ていたメイドに声を掛けた。
「あ、はいっ! なんでしょう、若旦那様」
『若旦那様』と呼ばれて、フランツは少し顔を赤くしてから、メイドにジュリエッタと自分の紅茶を用意するように頼んだ。
フランツがアーロンに優しく話しかける。
「アーロン殿。ミッチェルと婚約破棄をしたのは、君の意思ではなかった。そして、ご両親の意思によって次の婚約者が決められ、結婚式の途中で逃げ出したとジュリエッタから聞いていたのだが……」
フランツの話をジュリエッタが引き継ぐ。
「その足で我が家にいらして、ミッチェルを訪ねましたのよね。そのとき、私はアーロン様に言ったはずです。しっかりと相手の方と話し合いをつけてから、改めてミッチェルに会いに来るべきだと。アーロン様のご両親にも、誠意をもって謝罪した方がいいと伝えましたわよね?」
「あぁ、そうだね……」
メイドが紅茶を用意し、ジュリエッタは心を落ち着かせるためにティーカップを手に取った。
飲み終えると、フランツをじとっと見つめる。
「それで、話し合いはつきましたの?」
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