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女の子同士の恋愛って難しいけど、女性としてやよいのこと愛したい
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仕事帰り、電車に座って寝落ちしそうになっていると、帰る方向が同じで隣に座ってた川平くんに笑われた。
「美来、寝てていいぞ。降りる駅になったら教えるから」
「ごめん、じゃ……寝かせてもらうね」
ガクン、ガクンと首が揺れ、いつの間にか意識がなくなってた。
「おい、着いたぞ」
その言葉で目を覚ますと、いつの間にか川平くんの肩に寄りかかって眠ってたみたい。
「あ……ごめん、川平くん」
「別にいいって。家帰ったら、ちゃんと寝ろよ」
「うん、そうする」
そう言って正面に視界を向けると、その先に……やよいが立っていた。
「や、よい……」
驚いて呟いた私に、川平くんが声をかけた。
「えっ、友達か?」
真っ青な顔をし、私から目を逸らして立ち去ろうとするやよいを呼び止める。
「待って、やよい! えっと、こっちは川平くんって言って、私がインターンしてる会社のチームリーダーなの。今さぁ、毎日プロジェクトが大変で朝から晩までかかりっきりで、つい電車の中で寝ちゃったんだよね」
なんだこの、言い訳がましい私の態度は。いや、ほんとに後ろめたいことしてないのに、なんで私はやよいに対して誤魔化そうとするような言動をしちゃってるんだろう。
やよいは川平くんに紹介された手前、立ち去れなくなっていた。
「ぁ、の……萩原やよいです。美来さんと同じ大学に通っていて、アパートも隣の部屋でお世話になってます」
やよいの言葉に私たちが『恋人』であることを匂わせる含みを感じて、胸騒ぎを覚える。
川平くんの背筋が急にシャキーンと伸びた。眼鏡の奥の瞳が、今まで見たことないぐらいに爛々と輝いてる。
「どうも、川平耕平です! 美来とは同じチームで働いてるんだけど、すごくしっかりしてて、頼りにしてるんだ。
えっと、やよい……ちゃん? は、インターンとかしないの?」
ぁ、これ……
湊と同じパターンだ。
やよいは少し顔を赤らめ、小さく手を振った。
「い、いぇ……私はまだ1年生ですので」
「うちのチームに1年の女の子いるよな、美来?」
あー、それ言って欲しくなかった。
「う、うん……そうだね」
「1年からインターンに参加しておけばさ、3年になって就活始める時にかなり有利だと思うんだよね。俺、今までにいろんなインターン経験してて、これからもまだ続けるつもりだから、よかったら……」
川平くんが熱く語っているうちに、最寄駅に到着し、電車の扉が開いた。
「あ、ごめん! 私たちここだから!
川平くん、またねー」
やよいの手を取り、電車を降りた。
あー、もう。今度川平くんに会ったら、絶対やよいのことで聞かれるなぁ。
気づくと、やよいが脚をちょこまかと動かし、先に帰ろうとしてる。
「ちょ、やよい! 待って、一緒に帰ろうよ」
慌てて声を掛けると、やよいは足を止め、私の歩幅に合わせて歩き出した。
二人して駅を降り、アパートに向かって歩く間、やよいは終始無言だった。
まさか、私と川平くんの仲を疑ってる?
「あのさ……さっきも話したけど、私と川平くんはインターンしてる同じチームなだけで、個人的感情は一切ないからね。あれは、私が疲れすぎて爆睡しちゃってただけだから」
「そう、ですか……」
そう答えたやよいの声音が、冷たい。全然、納得できてない感じだ。
いつものやよいみたいに可愛くやきもち焼いてくれればさ、こっちだって少しは素直に「好きだよ」とか言えるかもしれないのに。拗ねて責められたらさ、「やよいだけだってば」って返すのに。
ねぇ、やよい……もう私のこと、どうでも良くなったのかな。
自分勝手だと思いつつも、そんな気持ちがつい湧いてしまう。あー、ほんと黒い。どす黒いよ、私。
無言のまま、アパートの前に到着してしまった。
私の後に続いて、やよいが階段を上る。カンカンカンと響く階段の音が、やけに重々しい。
なんだこれ。すっごい嫌だ。
このまま帰ったら、絶対落ち込むパターンだ。
階段を上り切ると、くるりと振り返った。
「ねぇ、やよい。良かったらうちでお茶していかない?」
頑張ったよ。私、勇気出して声かけたよ。
なのに、やよいは……
「いいです……」
そう言って鍵を取り出すと、さっさと自分の部屋に入ってしまった。
ぇ、なんなの。
そりゃ、ずっと連絡取らなかった私が悪いし、もし私がやよいの立場だったら、誰かに寄りかかって寝てるとこ見たら気分悪いよ。
でもさ、やよいだって連絡してくれなかったし、会いにもこなかったし、嫉妬した顔すら見せてくれないじゃん!
ねぇ、これって喧嘩、なの?
こんな風に離れていくなんて、嫌だよ……
「美来、寝てていいぞ。降りる駅になったら教えるから」
「ごめん、じゃ……寝かせてもらうね」
ガクン、ガクンと首が揺れ、いつの間にか意識がなくなってた。
「おい、着いたぞ」
その言葉で目を覚ますと、いつの間にか川平くんの肩に寄りかかって眠ってたみたい。
「あ……ごめん、川平くん」
「別にいいって。家帰ったら、ちゃんと寝ろよ」
「うん、そうする」
そう言って正面に視界を向けると、その先に……やよいが立っていた。
「や、よい……」
驚いて呟いた私に、川平くんが声をかけた。
「えっ、友達か?」
真っ青な顔をし、私から目を逸らして立ち去ろうとするやよいを呼び止める。
「待って、やよい! えっと、こっちは川平くんって言って、私がインターンしてる会社のチームリーダーなの。今さぁ、毎日プロジェクトが大変で朝から晩までかかりっきりで、つい電車の中で寝ちゃったんだよね」
なんだこの、言い訳がましい私の態度は。いや、ほんとに後ろめたいことしてないのに、なんで私はやよいに対して誤魔化そうとするような言動をしちゃってるんだろう。
やよいは川平くんに紹介された手前、立ち去れなくなっていた。
「ぁ、の……萩原やよいです。美来さんと同じ大学に通っていて、アパートも隣の部屋でお世話になってます」
やよいの言葉に私たちが『恋人』であることを匂わせる含みを感じて、胸騒ぎを覚える。
川平くんの背筋が急にシャキーンと伸びた。眼鏡の奥の瞳が、今まで見たことないぐらいに爛々と輝いてる。
「どうも、川平耕平です! 美来とは同じチームで働いてるんだけど、すごくしっかりしてて、頼りにしてるんだ。
えっと、やよい……ちゃん? は、インターンとかしないの?」
ぁ、これ……
湊と同じパターンだ。
やよいは少し顔を赤らめ、小さく手を振った。
「い、いぇ……私はまだ1年生ですので」
「うちのチームに1年の女の子いるよな、美来?」
あー、それ言って欲しくなかった。
「う、うん……そうだね」
「1年からインターンに参加しておけばさ、3年になって就活始める時にかなり有利だと思うんだよね。俺、今までにいろんなインターン経験してて、これからもまだ続けるつもりだから、よかったら……」
川平くんが熱く語っているうちに、最寄駅に到着し、電車の扉が開いた。
「あ、ごめん! 私たちここだから!
川平くん、またねー」
やよいの手を取り、電車を降りた。
あー、もう。今度川平くんに会ったら、絶対やよいのことで聞かれるなぁ。
気づくと、やよいが脚をちょこまかと動かし、先に帰ろうとしてる。
「ちょ、やよい! 待って、一緒に帰ろうよ」
慌てて声を掛けると、やよいは足を止め、私の歩幅に合わせて歩き出した。
二人して駅を降り、アパートに向かって歩く間、やよいは終始無言だった。
まさか、私と川平くんの仲を疑ってる?
「あのさ……さっきも話したけど、私と川平くんはインターンしてる同じチームなだけで、個人的感情は一切ないからね。あれは、私が疲れすぎて爆睡しちゃってただけだから」
「そう、ですか……」
そう答えたやよいの声音が、冷たい。全然、納得できてない感じだ。
いつものやよいみたいに可愛くやきもち焼いてくれればさ、こっちだって少しは素直に「好きだよ」とか言えるかもしれないのに。拗ねて責められたらさ、「やよいだけだってば」って返すのに。
ねぇ、やよい……もう私のこと、どうでも良くなったのかな。
自分勝手だと思いつつも、そんな気持ちがつい湧いてしまう。あー、ほんと黒い。どす黒いよ、私。
無言のまま、アパートの前に到着してしまった。
私の後に続いて、やよいが階段を上る。カンカンカンと響く階段の音が、やけに重々しい。
なんだこれ。すっごい嫌だ。
このまま帰ったら、絶対落ち込むパターンだ。
階段を上り切ると、くるりと振り返った。
「ねぇ、やよい。良かったらうちでお茶していかない?」
頑張ったよ。私、勇気出して声かけたよ。
なのに、やよいは……
「いいです……」
そう言って鍵を取り出すと、さっさと自分の部屋に入ってしまった。
ぇ、なんなの。
そりゃ、ずっと連絡取らなかった私が悪いし、もし私がやよいの立場だったら、誰かに寄りかかって寝てるとこ見たら気分悪いよ。
でもさ、やよいだって連絡してくれなかったし、会いにもこなかったし、嫉妬した顔すら見せてくれないじゃん!
ねぇ、これって喧嘩、なの?
こんな風に離れていくなんて、嫌だよ……
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