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囁きの森と君の声 編
第48話 帰還
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「クリス!……おろせ!俺はあの森に戻る!!」
俺は肩にかけられた腕を必死に振り払おうと暴れた。けれど彼女の力は強くて、それでも俺の足は地面を蹴って叫んだ。
「サーガを置いて行けるわけないだろ!!あいつは……俺の――」
パァンッ!!
乾いた音が、森の奥にまで響いた。
クリスの手が、俺の頬を強く打った。
痛みは、一瞬だった。でも、その衝撃よりも、彼女の顔の方が、何倍も苦しかった。
彼女の瞳が、震えていた。
噛み締めた唇の端が、わずかに震えていた。
そして、涙が、ぽろりとひとつ、彼女の頬を伝った。
「……いい加減に、してください……メビウス様」
いつも毅然としていた彼女の声が、震えていた。
それは、剣で斬られるより痛い、静かな叱責だった。
「辛いのは……メビウス様だけですか?」
そう言って、彼女は俺を見つめた。
「私も、苦しいです……!
あの子の目が、自分の番を刺そうとしていたあの瞬間……忘れられません……!
あんなにあなたを愛してたのに……それでも、あの子は――」
彼女は言葉を詰まらせた。
「……今の彼を、私にも……メビウス様にも止める術は無いんです」
拳をぎゅっと握りしめて、俯いた。
「逃げるしかないんです……それが、今……彼を、あなたを、生かす唯一の方法なんです」
俺は何も言えなかった。
足をばたつかせる力も抜けて、ただ、彼女の腕の中で、歯を食いしばった。
涙は、とめどなく溢れていた。
喉の奥で「サーガ」と名前を呼ぼうとする声だけが、嗚咽に変わっていった。
「……ねぇ、クリス」
俺はぽつりと呟いた。肩にかけられたままの体はもう抵抗の力もなく、ただ風に揺れていた。
「俺……サーガの手に殺されるなら、本望だったよ」
クリスは何も返さなかった。けれど、その歩みが少しだけ止まった。
「……殺されてもいいって、思ってた。本当に、思ってたんだ。
だって、あいつが俺を殺せるくらい苦しんでるなら、俺がその痛みを受けてやりたかったんだ」
頬に残る熱と、クリスの震える手の感触だけが、俺の意識を現実に引き止めていた。
「でも……俺が死んだら、きっと、あいつはもう二度と戻れない。
あいつの中にある“サーガ”は……あの、俺の知ってる、やさしい声で名前を呼んでくれる彼は、完全に消えちゃう。そうだろ?」
クリスの背が、わずかに震えた。
俺はその震えにそっと額を預けた。
「だから……逃げるよ。俺、生きる。絶対に」
風が俺たちの髪をさらった。もう森のざわめきは遠い。
「生きて、絶対に、取り戻す……あいつを。俺のサーガを。
どんなに嫌われても、怖がられてもいい。
また、あいつと笑える日が来るまで、何年でも、何十年でも待つ。
だって……番なんだ。俺たち、番なんだよ」
その言葉に、クリスの肩が震えたまま、そっと俺を下ろした。
「……泣かないでください、メビウス様」
クリスがぽつりと呟いた。
「あなたが泣くと……あの子も、きっと苦しむから」
そう言って、クリスも小さく嗚咽を漏らした。
俺たちはしばらく、静かに森の出口に立ち尽くした。
見上げた空は赤く燃えていて――
まるで、置いてきたあの少年の魂が、最後の悲鳴を上げているみたいだった。
王都の門が見えたとき、俺は何も言えなかった。
重々しい門はいつも通りに開かれていたけれど、まるでそこから先の世界に色がないように思えた。
「……帰ってきましたよ、メビウス様」
クリスの声が耳に届いたが、俺はうなずくことすらできなかった。
森での出来事が、頭の中を何度も何度も再生される。
赤く濡れた剣。サーガの深紅の瞳。
「死ね、愛してる」
――あの言葉だけが、脳裏に焼きついて離れない。
街の人々は、俺を見て何かを言いたげな顔をする。
でも誰も何も言わなかった。
“番”を置いて帰ってきた王子に、どんな言葉をかければいいのか、誰にも分からなかったのだろう。
城の中も、静かだった。
玉座の間に通されても、父王も母も俺に何も聞かず、ただ、静かにうなずいた。
「お前が生きて帰ってきただけでいい」と父は言った。
でも俺には、それが一番、辛かった。
夜になっても、眠れなかった。
サーガの名を呼んでも、誰も返事をしない。
ベッドの中は広くて、冷たかった。
俺は窓辺に立ち、夜空を見上げる。
星のない空が、あいつの瞳に見えた。
あのとき、涙を流しながらナイフを振り上げたサーガ。
きっと今も、どこかであいつは、苦しみながら俺の名を叫んでいる。
「……サーガ」
俺は小さく名前を呟いた。
それだけで喉が詰まって、胸が痛くなった。
それでも、生きている。息をしている。
あのとき、クリスが俺を救ったように、
次は俺が、サーガを――救い出す番だ。
「絶対に……迎えに行く。お前を、絶対にだ」
窓の外に、風が吹いた。
その風は、森の匂いがした。あの日、サーガと笑った、あの森の――。
俺は肩にかけられた腕を必死に振り払おうと暴れた。けれど彼女の力は強くて、それでも俺の足は地面を蹴って叫んだ。
「サーガを置いて行けるわけないだろ!!あいつは……俺の――」
パァンッ!!
乾いた音が、森の奥にまで響いた。
クリスの手が、俺の頬を強く打った。
痛みは、一瞬だった。でも、その衝撃よりも、彼女の顔の方が、何倍も苦しかった。
彼女の瞳が、震えていた。
噛み締めた唇の端が、わずかに震えていた。
そして、涙が、ぽろりとひとつ、彼女の頬を伝った。
「……いい加減に、してください……メビウス様」
いつも毅然としていた彼女の声が、震えていた。
それは、剣で斬られるより痛い、静かな叱責だった。
「辛いのは……メビウス様だけですか?」
そう言って、彼女は俺を見つめた。
「私も、苦しいです……!
あの子の目が、自分の番を刺そうとしていたあの瞬間……忘れられません……!
あんなにあなたを愛してたのに……それでも、あの子は――」
彼女は言葉を詰まらせた。
「……今の彼を、私にも……メビウス様にも止める術は無いんです」
拳をぎゅっと握りしめて、俯いた。
「逃げるしかないんです……それが、今……彼を、あなたを、生かす唯一の方法なんです」
俺は何も言えなかった。
足をばたつかせる力も抜けて、ただ、彼女の腕の中で、歯を食いしばった。
涙は、とめどなく溢れていた。
喉の奥で「サーガ」と名前を呼ぼうとする声だけが、嗚咽に変わっていった。
「……ねぇ、クリス」
俺はぽつりと呟いた。肩にかけられたままの体はもう抵抗の力もなく、ただ風に揺れていた。
「俺……サーガの手に殺されるなら、本望だったよ」
クリスは何も返さなかった。けれど、その歩みが少しだけ止まった。
「……殺されてもいいって、思ってた。本当に、思ってたんだ。
だって、あいつが俺を殺せるくらい苦しんでるなら、俺がその痛みを受けてやりたかったんだ」
頬に残る熱と、クリスの震える手の感触だけが、俺の意識を現実に引き止めていた。
「でも……俺が死んだら、きっと、あいつはもう二度と戻れない。
あいつの中にある“サーガ”は……あの、俺の知ってる、やさしい声で名前を呼んでくれる彼は、完全に消えちゃう。そうだろ?」
クリスの背が、わずかに震えた。
俺はその震えにそっと額を預けた。
「だから……逃げるよ。俺、生きる。絶対に」
風が俺たちの髪をさらった。もう森のざわめきは遠い。
「生きて、絶対に、取り戻す……あいつを。俺のサーガを。
どんなに嫌われても、怖がられてもいい。
また、あいつと笑える日が来るまで、何年でも、何十年でも待つ。
だって……番なんだ。俺たち、番なんだよ」
その言葉に、クリスの肩が震えたまま、そっと俺を下ろした。
「……泣かないでください、メビウス様」
クリスがぽつりと呟いた。
「あなたが泣くと……あの子も、きっと苦しむから」
そう言って、クリスも小さく嗚咽を漏らした。
俺たちはしばらく、静かに森の出口に立ち尽くした。
見上げた空は赤く燃えていて――
まるで、置いてきたあの少年の魂が、最後の悲鳴を上げているみたいだった。
王都の門が見えたとき、俺は何も言えなかった。
重々しい門はいつも通りに開かれていたけれど、まるでそこから先の世界に色がないように思えた。
「……帰ってきましたよ、メビウス様」
クリスの声が耳に届いたが、俺はうなずくことすらできなかった。
森での出来事が、頭の中を何度も何度も再生される。
赤く濡れた剣。サーガの深紅の瞳。
「死ね、愛してる」
――あの言葉だけが、脳裏に焼きついて離れない。
街の人々は、俺を見て何かを言いたげな顔をする。
でも誰も何も言わなかった。
“番”を置いて帰ってきた王子に、どんな言葉をかければいいのか、誰にも分からなかったのだろう。
城の中も、静かだった。
玉座の間に通されても、父王も母も俺に何も聞かず、ただ、静かにうなずいた。
「お前が生きて帰ってきただけでいい」と父は言った。
でも俺には、それが一番、辛かった。
夜になっても、眠れなかった。
サーガの名を呼んでも、誰も返事をしない。
ベッドの中は広くて、冷たかった。
俺は窓辺に立ち、夜空を見上げる。
星のない空が、あいつの瞳に見えた。
あのとき、涙を流しながらナイフを振り上げたサーガ。
きっと今も、どこかであいつは、苦しみながら俺の名を叫んでいる。
「……サーガ」
俺は小さく名前を呟いた。
それだけで喉が詰まって、胸が痛くなった。
それでも、生きている。息をしている。
あのとき、クリスが俺を救ったように、
次は俺が、サーガを――救い出す番だ。
「絶対に……迎えに行く。お前を、絶対にだ」
窓の外に、風が吹いた。
その風は、森の匂いがした。あの日、サーガと笑った、あの森の――。
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