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第二章 淡い文通、淡いあなた
17.
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弦史と私が、葵から逃げるなんて聞かされたら、悲しい気分になるなんてこと、なんで私は考えられなかったのだろうか。
葵の表情は想像出来なかったほど青白くなり、深く傷ついているのがわかった。
「ごめん葵、傷つけるつもりはなかったの」
「傷ついてないから大丈夫だよ。なんか急に体調悪くなってきたみたいで、今日はちょっと俺、学校休むわ」
「ごめんなさい。本当にごめんなさい」
「違う、きららのせいじゃなくて、本当に体調が悪くなってきてて……」
ちょうど電車は途中駅に着き、扉が開くと同時に葵は飛び出した。
私も彼の後を追って途中下車する。
葵を追いかけていけば、駅のホームの隅で葵は吐き戻していた。
急いで葵に駆け寄り背中をさする。
「汚いから離れて」
「汚くなんてない! 本当にごめんなさい」
私は目に涙を浮かべて葵の背中を必死にさすった。心の中ではずっと自分を最低だと罵りながら。
葵は落ち着いてきたようで、上半身を起こし、ポケットからハンカチを取り出して口元を拭いた。
「ありがとう。俺駅員さんに掃除道具借りて来るから、きららはもう学校に行って」
「私の責任だから一緒にいる。掃除用具は私が借りて来るから、葵はベンチで座ってて」
「きららは何も悪くないよ?」
「最低だった。弦史と手を繋いで葵から逃げるなんて、絶対言っちゃいけなかった……」
葵はきょとん、という言葉が至極ぴったりな顔を見せた。その予想外の反応に、私もきょとんとする。
「え? 言ってよ。俺、きららが夢の話してくれて凄い嬉しいよ」
私は一瞬考えを巡らせてから、すぐに頭を振った。
「そんなわけないでしょ。こんなに顔色悪くして、嘔吐したんだよ?」
「だから、これは本当に急に体調が悪くなったんだって。だから、きららは何も悪くないし、むしろ今後もどんどん夢の話聞かせて! 弦史ときららが俺から逃げ切ったあとの話も聞きたいなあ」
「ドМなの?」
「きららに痛めつけられるならいいかな」
私達が会話していれば、駅員さんの方から声を掛けて来てくれ、掃除までしてくれると言った。けど、葵が頑なに自分で片しますと言って、掃除用具だけ借りることになる。
私が片そうとすれば、「嘔吐物は感染する可能性もあるからダメ!」と言って凄い剣幕で葵は止める。
結局なぜか私がベンチに座って葵の掃除を見届けた。駅の時計を見れば、すでに学校は遅刻である。
掃除道具を返しに行って帰ってきた葵が、ポケットからスマホを取り出し電話を掛け始める。
会話の内容から学校に電話をしていた。
「はい。僕が途中駅で体調が悪くなって嘔吐してしまい、介抱してくれた雪平さんを遅刻させてしまいました。はい、僕はこのままお休みします。雪平さんは今から向かいますのでよろしくお願いします」
電話を切り、葵は私に視線を向けて微笑む。
「事情は説明したから、きららは安心して学校行って」
「え、でも」
「俺は吐いたらスッキリしたからちゃんと帰れるよ。またメッセージ送るから」
「うん……」
葵はスマホを握る手で私の首元を指した。
「そのネックレス、似合ってるね。弦史から?」
不意に褒められたネックレスは、昨日弦史から届いたものだったけど、今の状況では言えなかった。
私はネックレスをいじりながら、視線を落とす。
「……ううん、自分で買ったの」
「え?」
沈黙から、葵の頭の声が聴こえてくるようだった。嘘をついているとバレている。
「そう……。じゃあ、これあげるよ」
葵の表情は想像出来なかったほど青白くなり、深く傷ついているのがわかった。
「ごめん葵、傷つけるつもりはなかったの」
「傷ついてないから大丈夫だよ。なんか急に体調悪くなってきたみたいで、今日はちょっと俺、学校休むわ」
「ごめんなさい。本当にごめんなさい」
「違う、きららのせいじゃなくて、本当に体調が悪くなってきてて……」
ちょうど電車は途中駅に着き、扉が開くと同時に葵は飛び出した。
私も彼の後を追って途中下車する。
葵を追いかけていけば、駅のホームの隅で葵は吐き戻していた。
急いで葵に駆け寄り背中をさする。
「汚いから離れて」
「汚くなんてない! 本当にごめんなさい」
私は目に涙を浮かべて葵の背中を必死にさすった。心の中ではずっと自分を最低だと罵りながら。
葵は落ち着いてきたようで、上半身を起こし、ポケットからハンカチを取り出して口元を拭いた。
「ありがとう。俺駅員さんに掃除道具借りて来るから、きららはもう学校に行って」
「私の責任だから一緒にいる。掃除用具は私が借りて来るから、葵はベンチで座ってて」
「きららは何も悪くないよ?」
「最低だった。弦史と手を繋いで葵から逃げるなんて、絶対言っちゃいけなかった……」
葵はきょとん、という言葉が至極ぴったりな顔を見せた。その予想外の反応に、私もきょとんとする。
「え? 言ってよ。俺、きららが夢の話してくれて凄い嬉しいよ」
私は一瞬考えを巡らせてから、すぐに頭を振った。
「そんなわけないでしょ。こんなに顔色悪くして、嘔吐したんだよ?」
「だから、これは本当に急に体調が悪くなったんだって。だから、きららは何も悪くないし、むしろ今後もどんどん夢の話聞かせて! 弦史ときららが俺から逃げ切ったあとの話も聞きたいなあ」
「ドМなの?」
「きららに痛めつけられるならいいかな」
私達が会話していれば、駅員さんの方から声を掛けて来てくれ、掃除までしてくれると言った。けど、葵が頑なに自分で片しますと言って、掃除用具だけ借りることになる。
私が片そうとすれば、「嘔吐物は感染する可能性もあるからダメ!」と言って凄い剣幕で葵は止める。
結局なぜか私がベンチに座って葵の掃除を見届けた。駅の時計を見れば、すでに学校は遅刻である。
掃除道具を返しに行って帰ってきた葵が、ポケットからスマホを取り出し電話を掛け始める。
会話の内容から学校に電話をしていた。
「はい。僕が途中駅で体調が悪くなって嘔吐してしまい、介抱してくれた雪平さんを遅刻させてしまいました。はい、僕はこのままお休みします。雪平さんは今から向かいますのでよろしくお願いします」
電話を切り、葵は私に視線を向けて微笑む。
「事情は説明したから、きららは安心して学校行って」
「え、でも」
「俺は吐いたらスッキリしたからちゃんと帰れるよ。またメッセージ送るから」
「うん……」
葵はスマホを握る手で私の首元を指した。
「そのネックレス、似合ってるね。弦史から?」
不意に褒められたネックレスは、昨日弦史から届いたものだったけど、今の状況では言えなかった。
私はネックレスをいじりながら、視線を落とす。
「……ううん、自分で買ったの」
「え?」
沈黙から、葵の頭の声が聴こえてくるようだった。嘘をついているとバレている。
「そう……。じゃあ、これあげるよ」
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