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1 現状を把握しよう
しおりを挟む目の前が真っ暗だ。何も見えない。
何が起こっているのだろうか。
確か俺は…。
そうだ、俺は車に轢かれたんだった。
じゃあここは病院か?
それにしては真っ暗だな。
近くにライトはないかなっと。
…ん?手足が動かない。
というか手足の感覚がない。
もしかして事故の影響で手足を切り落とすことになったとか。
え、じゃあ今目の前が真っ暗なのも電気がついてないんじゃなくて視力を失ってしまったとか?
いやいやいやいや!
意識を失う前には確かに目も見えたし手足も動いたはずだ。
切り落としたりする程じゃなかったはず。
意識を失う前…。
あれ、俺死んだんじゃなかったっけ。
じゃあここは病院じゃない?
おーい!ここがどこだか教えてくれ!
状況を確認させてくれ!
今気付いたが声も全く出せない。
さすがにこれはおかしい。
≪スキルポイントを十消費してスキル:《魔力感知》を取得しますか?≫
誰だ!いやマジで誰?
姿を確認しようにも目も見えないし体も動かないしで見ることができない。
てか、今の声耳で聞いたというより頭に直接響いてなかったか?
よくわからないけどとりあえず今の状況を教えて!
≪スキルポイントを十消費してスキル:《魔力感知》を取得しますか?≫
また同じことを言ってきたな。
じゃあとりあえず、取得します!
≪スキルポイントを消費してスキル:《魔力感知》を取得しました。残りスキルポイントは十です。≫
その瞬間俺の視界は一気に開けた。
不思議なことに正面だけでなく三百六十度見ることができているので視界と言っていいかは分からないが。
そこは洞窟だった。
地面も壁も天井も石でできている、ザ・洞窟って感じだ。
でも肝心な俺の姿が分からない。
どうにかして見れないだろうかと思っていると視点が上からの俯瞰に変わった。
しかしそこに見えるのは一つの石だけ。
どういうことなのだろうか。
さっきの声の人!
なんか見えるようになったけどこれ別の場所が見えてない?
自分らしき姿が見当たらないんだけど。
≪スキルポイントを十消費してスキル:《鑑定》を取得しますか?≫
鑑定?鑑定って言ったらライトノベルとかで定番のあの鑑定か?
よくわからないけどこれもとりあえず取得で!
≪スキルポイントを十消費してスキル:《鑑定》を取得しました。残りスキルポイントはゼロです。≫
じゃあとりあえず目の前の石を鑑定する!
——————————————————
個体名:川上和弘
種族名:ストーン
——————————————————
えらくシンプルだな。
ってか、え、この石ころに俺の名前が書かれてるんだけど。
これ俺なの?
てかストーンってなんだよ。
まんまじゃねえか。
——————————————————
魔物:ストーン。
石が魔力の影響を受けて突然変異した魔物。
意識は非常に薄く本能によって日々魔力を吸収している。
進化することは稀である。
——————————————————
つまりはちょっとだけ不思議なただの石ってことね。
それよりも気になるのは魔力の吸収の部分だ。
試してみたい。
でも本当にできてしまったら俺は石ころに転生したことを認めざるを得なくなる。
だからってこのままいるにはいかないもんな。
よし!発動するぞ!
魔力吸収!
心で唱えながら周りから魔力と呼ばれるものを吸収するのをイメージしてみる。
すると体に何かが入ってくる感覚がある。
これが魔力ってやつなのか。
暖かくて心地いいな。
少しの間魔力を吸収する感覚を味わっていたが、これ以上の現実逃避はやめよう。
俺はどうやら転生したみたいだ。
それも人間じゃないただの石ころに。
魔力があるってことは地球でもないのだろう。
さっき、スキルなんてものも手に入れたし。
はあ、マジかよ。
石ころって、それはないわぁ。
せめて今流行りのスライムとかさ、そういうのにしてよ。
今のままじゃ自分で動くこともできないんですけど!
そうださっきから謎の声が俺の要望に応えてスキルを用意してくれてたよな。
謎の声さん!何か動くためのスキルない?
≪残りスキルポイントはゼロです。スキル:《浮遊》を取得できません。≫
スキルを取得するにはスキルポイントなるものが必要らしい。
でもどうやって集めたらいいかわからないな。
さっき鑑定でストーンを調べた時、進化がどうこうって書いてあったな。
進化したらスキルポイントがもらえるかもしれないし、頑張ってみるか。
…ところで進化ってどうやってするんだ?
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