白き城 ~君と出会ったあの日を忘れない~

ときおかまもる

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いつもの日常

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その日も世界は灰色だった。
「皆さん、さようなら」担任の先生が明るく挨拶をする。
「さようならー」同級生達も明るく挨拶して、わいわいと話しながら
帰宅する。その輪の中に、僕はいなかった。

たった一人で、うつむきながら教室を出る。ひそひそと同級生達が僕の噂をしている。
それでも誰にも相談できない。先生も僕に対しては冷ややかに接するだけで、
いじめられている事を話しても、まともに取り合ってくれない。
靴を履き替えるために下駄箱を開けると、そこには大量の画鋲が入っていた。
クスクス笑う声が後ろから聞こえる。でも、こんなの、いつもの事だった。

学校の外に出ると、さんさんと日が差していた。でも、それもただ煩わしいだけだった。
自分の人生に光なんて差さない。これから、死ぬまで。僕は小学生にして、自分の人生
を見透かしていた。灰色の世界を、いつもと同じように歩く。

家につくと、いつも言い合いをしているお父さんとお母さんの声が聞こえなかった。
あいつはスポーツもできない。勉強もできない。その上容姿も悪いから同級生からも
いじめられてばかりいる。あんな欠陥人間を生んだのは誰だ。彼らの議題はいつも僕の事
だった。でも、いつものその喧嘩の声が今日は聞こえない。

今日は喧嘩をしないのかな。仲直りしたのかな。
そんな淡い期待を抱いて家の玄関を開けたら、その期待は儚くも打ち砕かれた。

お母さんが玄関先の階段の前で倒れている。
「え?お母さん?」
駆け寄ると、お母さんは頭から血を流していた。
息をしていない。

「お母さん!お母さん!」
僕が必死にお母さんを揺り動かしていると、お父さんがリビングの戸を勢いよく開けて
こっちに向かってきた。

そして、僕の首根っこをひっつかむと、こう言った」
「ついてこい」
「ちょっと、何処行くの?」
「どこか遠いところだ」

そう言うと、お父さんはガレージに止めてあった車まで僕を引きずっていき、
車の中に押し込んだ。

「ちょっとお父さん!」
「うるせえ」

お父さんは車のエンジンをつけ、強引に走り出した。
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