1 / 15
ダブルフェイスな女伯爵⑴
しおりを挟む
そのひんやりとした地下室には、錆び付いた鉄のような臭いが充満していた。鮮烈な紅が四方にぶちまけられており、そのドロリとした液体はまだ乾く様子はない。壁を伝ってはそのまま地面へと染み込んでいく。この異様な空間を照らすのはぼんやりとした一つの光。それは部屋の中心に浮かんでいた。
思わず顔をしかめてしまいそうな空間に構うことなく佇む人影が一つ。男にしては線が細く、女にしては背が高い。襟足から伸びる夜の色の三つ編みは固く結ばれていた。
その人影が凍てつくようなホリゾンブルーの双眸で見つめる先には、人間だったものが。首と身体の二つに綺麗に分かれてしまっている。その首の目はこれ以上ないほどに見開かれていた。まるで信じ難い光景を目の当たりにしたかのように。
「これで終わり……」
ポツリと呟かれた声は高く澄んでいた。このような場所でなければ、その美しさに息を呑むだろう。それとも、声に滲む激しい増悪に気付き息を呑むのだろうか。
彼女が手にしている大鎌は、光を反射し怪しく煌めいている。人の首をはねたはずのそれは全く紅く染まっていない。そんな大鎌を手にする彼女もしかり。
彼女はビスクドールのように整った顔にアイマスクをつける。銀で何かの葉が一枚描かれている仮面は、彼女の精巧な顔の半分を隠してしまった。
「転移」
そう唱えると、金と黒の光が彼女を包み込む。光が一層強くなった次の瞬間、光と彼女の姿は忽然と消えていた。後に残されたのは、一つの遺体と荒れ果てた紅い部屋だけだった。
煌びやかなシャンデリアの下、色とりどりのドレスを纏った女性たちや、センスの光る礼服を纏った男性たちが語らう。いや、女性、男性ではなく青年たちと言うべきだろう。子供ではないがまだ大人になりきれていない彼らは、それぞれ歓談に時を過ごしていた。
「本日をもって、我々は大人の仲間入りを果たした。今までは未成年という括りで守られていたかもしれない。しかし、それはもう終わりだ。これからの選択にはどこまででも責任がつきまとう。それに加え、貴族や長子たちには家の責任もついてくるだろう。それにめげることなく堂々と向き合ってほしい。そして、そのことを胸にこの国の、国民の繁栄のために尽くしてほしいと思う。……私、ルグランジュ=バスティーナはその筆頭としてバスティーナ帝国に尽くすことをここに宣言しよう!」
世界屈指の大帝国、バスティーナ帝国。その国の皇弟の宣言に、会場にいた多くの者たちが賛同し、拍手を送った。この会場では、バスティーナ帝国国立学院の卒業会が執り行われている。成人を迎えた卒業生を在校生が送り出すこの会は、毎年主席卒業者による今後の抱負を合図に舞踏会へと変わる。今年の主席卒業生はルグランジュ。インディアンレッドの髪をオールバックにし、アメジストのような瞳はシャンデリアの光に煌めいている。品行方正、才色兼備な彼は、誰もが憧れる男であった。彼が抱負を言い終えた今から、この会場は舞踏会になるのだ。
「«社交界の花»、セレスティナ嬢。どうか私に、あなたのファーストダンスの相手を務める権利をいただけるだろうか」
堂々とした宣言を終えたルグランジュは、一人の少女に手を差し伸べる。
«社交界の花»と呼ばれた少女は、その名にふさわしく、花のように美しい。薔薇のような華やかさや、カスミソウのような可憐さはない。しかし、そこには百合のように端麗で気品漂う少女がいた。緩く波打つ金髪を耳元でふんわりと結い、流した前髪から覗く右にアクアマリン、左にローズクォーツを嵌め込んだようなオッドアイは神秘的。卒業生ではないのか、清楚で控え目なドレスではあるが彼女が着るとその意味をなさない。
「ええ、皇弟殿下。喜んで」
ビスクドールのように整った顔に微笑みを浮かべた彼女は、差し伸べられた手をとる。そのまま二人が優雅に会場の中心へ歩いていくと、楽隊がワルツを奏で始めた。二人は略式の礼をとると、手を取り合って踊り始める。それにならって周りも踊り始めたところで、ルグランジュがセレスティナに話しかけた。
「卒業会のダンスをあなたと踊ることができるとは思ってもいなかった。受けてくれてありがとう」
音楽や談笑にかき消されず、二人だけに聞こえるように声を抑えたせいで、二人の距離が縮まる。その様子をチラチラと盗み見ていた周りは色めき立つ。そんな周りのことを知ってか知らでか、セレスティナはクスリと笑うと自分からルグランジュの耳元に口を近づけた。
「いいえ、殿下。わたくしこそお礼申し上げますわ。殿下のお相手など身に余る光栄ですもの」
一見睦言を囁きあっているようにも見えるが、二人が交わしている言葉はいたって普通。互いに駆け引きもせず言葉を交わしている。
曲のテンポが上がり、ターンに入る。セレスティナの紺のドレスがふわりと広がった。
「セレスティナ嬢にそう言ってもらえるのは嬉しいな。あなたが兄上の想い人でなければ良かったのに」
「まあ! お上手ですこと」
冗談を言い合いながら一曲踊りきると、二人はすぐに離れてしまう。皇弟と«社交界の花»という組み合わせに期待を膨らませていた見物人たちは、残念と言わんばかりに四方へと散っていった。
「フラウデン伯爵令嬢、今宵も麗しゅう。どうか私と……」
「«社交界の花»フラウデン伯爵令嬢、あなたの美しさに、思わず花の精霊が舞い降りたのかと。一曲私と……」
ルグランジュと別れ、中央からテラスへと移動するセレスティナに、次々と令息たちが声をかける。それらを全てやんわりと、しかしきっぱりと断りながら、彼女はテラスへと急いだ。
外はすでに夜の蚊帳が降ている。明かりのないテラスに降り注ぐのは月明かりのみ。
人目を避けるようにしてテラスの端へと移動したセレスティナは、周りに人気がないことを確認し、呟いた。
「転移」
金と黒の光に包まれると、一瞬で彼女の姿が消える。舞踏会から«社交界の花»が消えた。これは一大事であるにも関わらず、誰一人として気付く者はいない。普段の夜会と同じく、彼女がすぐに退場してしまったからだろうか。彼女は常に一曲踊ってはその会場を後にする。今回もルグランジュと一曲踊ったので例に漏れず帰ったと考えられていた。
転移先は簡素な小部屋。シルクのドレスを纏った彼女とは相反する殺風景さだ。窓は一つだけついているが、そこから見えるのは白塗りの壁。景色などあったものじゃない。部屋の中にあるのはクローゼットと木のスツールのみ。
「さて、着替えましょうか」
気分を切り換えるかのように小さく息をついた彼女は、きらびやかなドレスを脱ぎ捨てた。令嬢とはかけ離れたその動作に彼女が戸惑うことはない。そのままコルセットも外しにかかる。
淑女の必需品であるコルセットを外した彼女は解放感に満ちていた。なにせ、ない胸を押し上げるだけのそれは、美しい括れを持つ彼女には苦痛でしかなかったのだから。17になってもなお絶壁である身体を見下ろしてため息をついた。
クローゼットの中からセレスティナが取り出したのは軍服。銀のシャンクボタンがあしらわれたアイアンブルーの詰襟には、4つの勲章が。それらがカチャカチャと音を立てるのも気にせずに、彼女は素早く着替えを済ませ、軍のブーツに履き替える。
次に彼女が手に取ったのはいくつものホルダーや小さなポケットがついた革のベルト。それを器用に腰に巻き付けると、クローゼットの中から複数のケースやミニチュアの鎌を取り、ホルダーやポケットに装備していく。
それが終わり、セレスティナがクローゼットから取り出したのは目薬とクリームらしきもの。目薬を、セレスティナ特有のオッドアイのうち、ピンク色の瞳の方にさす。すると、その瞳は一瞬で右目と同じ水色に変化した。彼女は当たり前のように長い睫毛で縁取られた両目を数回瞬いて目薬を馴染ませる。目薬をクローゼットに入れておもむろにクリームらしきものに手を伸ばした。指先にブドウ一粒程度の量を取ると、下ろした豪奢な金髪に塗り込んでいく。するとどうだろうか。ウェーブのかかった金髪は、ストレートのミッドナイトブルーに変化した。それをきつく三編みに編み、先を麻紐で結う。
脱ぎ捨てたドレスをハンガーに掛け、クローゼットに入れたセレスティナが最後に取り出したのは仮面。黒塗りのアイマスクのは、銀で一枚の百合の葉が描かれている。«社交界の花»と呼ばれる彼女に与えられた花の葉だ。それをセレスティナが付けた瞬間、«社交界の花»は«仮面の死神»に変わる。
「よし、行こうか」
鈴の音のような美しい声の口調が変化する。ここからは«社交界の花»ことセレスティナ=フラウデンではなく、«仮面の死神»ことアクリュス。
正体不明のバスティーナ帝国軍第十三番隊所属兵。夜の色を纏い、大鎌をふるう姿はまるで死神のよう。特殊部隊のアクリュスに屠られた生物は数知れず。漆黒の仮面に隠された素顔を見た生者はいない。その素顔を見た者は死者のみ……。そう囁かれる国軍兵がアクリュスだった。
思わず顔をしかめてしまいそうな空間に構うことなく佇む人影が一つ。男にしては線が細く、女にしては背が高い。襟足から伸びる夜の色の三つ編みは固く結ばれていた。
その人影が凍てつくようなホリゾンブルーの双眸で見つめる先には、人間だったものが。首と身体の二つに綺麗に分かれてしまっている。その首の目はこれ以上ないほどに見開かれていた。まるで信じ難い光景を目の当たりにしたかのように。
「これで終わり……」
ポツリと呟かれた声は高く澄んでいた。このような場所でなければ、その美しさに息を呑むだろう。それとも、声に滲む激しい増悪に気付き息を呑むのだろうか。
彼女が手にしている大鎌は、光を反射し怪しく煌めいている。人の首をはねたはずのそれは全く紅く染まっていない。そんな大鎌を手にする彼女もしかり。
彼女はビスクドールのように整った顔にアイマスクをつける。銀で何かの葉が一枚描かれている仮面は、彼女の精巧な顔の半分を隠してしまった。
「転移」
そう唱えると、金と黒の光が彼女を包み込む。光が一層強くなった次の瞬間、光と彼女の姿は忽然と消えていた。後に残されたのは、一つの遺体と荒れ果てた紅い部屋だけだった。
煌びやかなシャンデリアの下、色とりどりのドレスを纏った女性たちや、センスの光る礼服を纏った男性たちが語らう。いや、女性、男性ではなく青年たちと言うべきだろう。子供ではないがまだ大人になりきれていない彼らは、それぞれ歓談に時を過ごしていた。
「本日をもって、我々は大人の仲間入りを果たした。今までは未成年という括りで守られていたかもしれない。しかし、それはもう終わりだ。これからの選択にはどこまででも責任がつきまとう。それに加え、貴族や長子たちには家の責任もついてくるだろう。それにめげることなく堂々と向き合ってほしい。そして、そのことを胸にこの国の、国民の繁栄のために尽くしてほしいと思う。……私、ルグランジュ=バスティーナはその筆頭としてバスティーナ帝国に尽くすことをここに宣言しよう!」
世界屈指の大帝国、バスティーナ帝国。その国の皇弟の宣言に、会場にいた多くの者たちが賛同し、拍手を送った。この会場では、バスティーナ帝国国立学院の卒業会が執り行われている。成人を迎えた卒業生を在校生が送り出すこの会は、毎年主席卒業者による今後の抱負を合図に舞踏会へと変わる。今年の主席卒業生はルグランジュ。インディアンレッドの髪をオールバックにし、アメジストのような瞳はシャンデリアの光に煌めいている。品行方正、才色兼備な彼は、誰もが憧れる男であった。彼が抱負を言い終えた今から、この会場は舞踏会になるのだ。
「«社交界の花»、セレスティナ嬢。どうか私に、あなたのファーストダンスの相手を務める権利をいただけるだろうか」
堂々とした宣言を終えたルグランジュは、一人の少女に手を差し伸べる。
«社交界の花»と呼ばれた少女は、その名にふさわしく、花のように美しい。薔薇のような華やかさや、カスミソウのような可憐さはない。しかし、そこには百合のように端麗で気品漂う少女がいた。緩く波打つ金髪を耳元でふんわりと結い、流した前髪から覗く右にアクアマリン、左にローズクォーツを嵌め込んだようなオッドアイは神秘的。卒業生ではないのか、清楚で控え目なドレスではあるが彼女が着るとその意味をなさない。
「ええ、皇弟殿下。喜んで」
ビスクドールのように整った顔に微笑みを浮かべた彼女は、差し伸べられた手をとる。そのまま二人が優雅に会場の中心へ歩いていくと、楽隊がワルツを奏で始めた。二人は略式の礼をとると、手を取り合って踊り始める。それにならって周りも踊り始めたところで、ルグランジュがセレスティナに話しかけた。
「卒業会のダンスをあなたと踊ることができるとは思ってもいなかった。受けてくれてありがとう」
音楽や談笑にかき消されず、二人だけに聞こえるように声を抑えたせいで、二人の距離が縮まる。その様子をチラチラと盗み見ていた周りは色めき立つ。そんな周りのことを知ってか知らでか、セレスティナはクスリと笑うと自分からルグランジュの耳元に口を近づけた。
「いいえ、殿下。わたくしこそお礼申し上げますわ。殿下のお相手など身に余る光栄ですもの」
一見睦言を囁きあっているようにも見えるが、二人が交わしている言葉はいたって普通。互いに駆け引きもせず言葉を交わしている。
曲のテンポが上がり、ターンに入る。セレスティナの紺のドレスがふわりと広がった。
「セレスティナ嬢にそう言ってもらえるのは嬉しいな。あなたが兄上の想い人でなければ良かったのに」
「まあ! お上手ですこと」
冗談を言い合いながら一曲踊りきると、二人はすぐに離れてしまう。皇弟と«社交界の花»という組み合わせに期待を膨らませていた見物人たちは、残念と言わんばかりに四方へと散っていった。
「フラウデン伯爵令嬢、今宵も麗しゅう。どうか私と……」
「«社交界の花»フラウデン伯爵令嬢、あなたの美しさに、思わず花の精霊が舞い降りたのかと。一曲私と……」
ルグランジュと別れ、中央からテラスへと移動するセレスティナに、次々と令息たちが声をかける。それらを全てやんわりと、しかしきっぱりと断りながら、彼女はテラスへと急いだ。
外はすでに夜の蚊帳が降ている。明かりのないテラスに降り注ぐのは月明かりのみ。
人目を避けるようにしてテラスの端へと移動したセレスティナは、周りに人気がないことを確認し、呟いた。
「転移」
金と黒の光に包まれると、一瞬で彼女の姿が消える。舞踏会から«社交界の花»が消えた。これは一大事であるにも関わらず、誰一人として気付く者はいない。普段の夜会と同じく、彼女がすぐに退場してしまったからだろうか。彼女は常に一曲踊ってはその会場を後にする。今回もルグランジュと一曲踊ったので例に漏れず帰ったと考えられていた。
転移先は簡素な小部屋。シルクのドレスを纏った彼女とは相反する殺風景さだ。窓は一つだけついているが、そこから見えるのは白塗りの壁。景色などあったものじゃない。部屋の中にあるのはクローゼットと木のスツールのみ。
「さて、着替えましょうか」
気分を切り換えるかのように小さく息をついた彼女は、きらびやかなドレスを脱ぎ捨てた。令嬢とはかけ離れたその動作に彼女が戸惑うことはない。そのままコルセットも外しにかかる。
淑女の必需品であるコルセットを外した彼女は解放感に満ちていた。なにせ、ない胸を押し上げるだけのそれは、美しい括れを持つ彼女には苦痛でしかなかったのだから。17になってもなお絶壁である身体を見下ろしてため息をついた。
クローゼットの中からセレスティナが取り出したのは軍服。銀のシャンクボタンがあしらわれたアイアンブルーの詰襟には、4つの勲章が。それらがカチャカチャと音を立てるのも気にせずに、彼女は素早く着替えを済ませ、軍のブーツに履き替える。
次に彼女が手に取ったのはいくつものホルダーや小さなポケットがついた革のベルト。それを器用に腰に巻き付けると、クローゼットの中から複数のケースやミニチュアの鎌を取り、ホルダーやポケットに装備していく。
それが終わり、セレスティナがクローゼットから取り出したのは目薬とクリームらしきもの。目薬を、セレスティナ特有のオッドアイのうち、ピンク色の瞳の方にさす。すると、その瞳は一瞬で右目と同じ水色に変化した。彼女は当たり前のように長い睫毛で縁取られた両目を数回瞬いて目薬を馴染ませる。目薬をクローゼットに入れておもむろにクリームらしきものに手を伸ばした。指先にブドウ一粒程度の量を取ると、下ろした豪奢な金髪に塗り込んでいく。するとどうだろうか。ウェーブのかかった金髪は、ストレートのミッドナイトブルーに変化した。それをきつく三編みに編み、先を麻紐で結う。
脱ぎ捨てたドレスをハンガーに掛け、クローゼットに入れたセレスティナが最後に取り出したのは仮面。黒塗りのアイマスクのは、銀で一枚の百合の葉が描かれている。«社交界の花»と呼ばれる彼女に与えられた花の葉だ。それをセレスティナが付けた瞬間、«社交界の花»は«仮面の死神»に変わる。
「よし、行こうか」
鈴の音のような美しい声の口調が変化する。ここからは«社交界の花»ことセレスティナ=フラウデンではなく、«仮面の死神»ことアクリュス。
正体不明のバスティーナ帝国軍第十三番隊所属兵。夜の色を纏い、大鎌をふるう姿はまるで死神のよう。特殊部隊のアクリュスに屠られた生物は数知れず。漆黒の仮面に隠された素顔を見た生者はいない。その素顔を見た者は死者のみ……。そう囁かれる国軍兵がアクリュスだった。
0
あなたにおすすめの小説
嘘をありがとう
七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」
おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。
「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」
妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。
「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる