上 下
1 / 17
1章 転生してしまったが、魔法チート発見!!

1.転生してしまったのですが…

しおりを挟む
 「篠原さん、これもお願いね。」
 「え……」
もうそろそろ帰ろうとしていた時に上司から声をかけられる。私、ここ最近ずっと残業なんだけど……。
 「……はい。わかりました…。」
正直言って私が働いている会社はブラック企業だ。上司はできていない仕事を私に押しつけてくる。本当にぶん殴ってやりたいわ……。そろそろ転職も真剣に考えよう……。
 
 仕事を終わらせて家に帰る。ものすごく疲れているけど、食べていくためには仕事をするしかない。そういえば親友・茜がめちゃくちゃハマっている「夜空にきらめく恋」というゲームがある。略して「夜恋」。勧められてやってみたものの、恋に疎い私には何が何だかわからなかった。恋にときめくどころか、「このヒロインってチョロくね?恋に落ちるのはやっ!!」と思っていた。まあ、絵はとてもいいんだけどなあ……。攻略対象はイケメンだし、ヒロインもとてもかわいかった。そんなことを考えていると、足元がふらつき車道へと転んでしまった。
 「痛い……。」
急に目の前が明るくなる。
 「え?」
顔を上げた瞬間、ドーンという衝撃の後、私の体はトラックによって空中に投げ出された。痛みは感じないが、体が冷たくなり私は意識を失った。


 「ここは…どこ?」
見慣れな天井に私は戸惑う。少し頭が痛い。
 「私、死んだの………?」
体を起こして周囲を見渡す。そこはとてもきらびやかな部屋だった。歩き回って部屋を観察していると、机の上に鏡があった。鏡を覗き込んでみると、
 「は…?」
そこには黒髪に二重だけどぱっちりとしているとはいえない黒目の地味顔ではなく、グルングルンに巻いた銀髪にぱっちりとしているけど少し冷たい印象を与える翡翠色の目の美少女だった。肌は白いが、その顔はとても赤かった。


 「えええええええええええええええ!!!」
  


みなさん、どうやら私、篠原由紀は異世界転生してしまったようです。



しおりを挟む

処理中です...