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最高の夜食
【SIDE タルーノ】万全
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冒険者をパーティに誘い、ダンジョンに置き去りにする。
もしその冒険者が有能であれば単騎でダンジョン脱出に成功するかもしれないが、しかし大抵は強力な魔物に屠られ命を落とす。冒険者の魔力はダンジョンに吸われ、あるいは対峙した魔物に吸われ、魔の者たちのエネルギーへと還る。
つまりそれこそが冒険者パーティ・グラハムの、あるいはそのリーダー・タルーノの仕事だった。
サラサ・グリムブラッド・ガブリエラに関していえば、潜在的な魔力の総量は恐ろしいものを感じる一方で、現状の能力は本当に大したことがなかった。
魔力を吸う特殊な魔法は使えるようだが威力は弱く、少し強い魔物がでれば物陰に隠れる始末である。
ガブリエラといえば名家であり、魔王期が近づく際には勇者排出のために尽力すべき義務があると庶民に見られる。また、それに応えることで諸侯は住民から尊敬を集める。
ただし、ガブリエラ家でその役割を担うのは兄、クラウスで充分だった。妹であるサラサにその才能はなく、だからこそ政略こそが彼女の使命だ。例えば有力者と婚姻を結ぶことができればそれが彼女の最大の成果と言えた。
しかしサラサはそれを投げ出し、冒険者になりたいと宣ったという。公爵家との縁談の直前に彼女は家出し、市中で参加できる冒険者パーティを探し始めた。
それはガブリエラ家にとっては唾棄すべき行為だからこそ、タルーノは仕事を得ることができる。
なかなかパーティに参加できないサラサに対し、タルーノは優しい顔をして近づくだけで不安がいっぱいの彼女はコロリと騙される。
ロードウルフの統べるダンジョンはとても良い。そのダンジョンの魔物は弱く、一方でロードウルフのみが場違いに強い。意気揚々と奥まで進んだ冒険者があっさりと最深部で屠られる。だからタルーノはこの場所を好んで利用していた。
今回もいつもと変わらない。手取り足取りパーティのみんなで力を合わせた体でダンジョンを進み、ロードウルフに近づいたところで姿を隠してサラサを一人にする。そうすれば勝手に鉢合わせになり、サラサは遊ばれた末に命を落とすだろう。
サラサの戦闘力はといえば事前の調査の通りで本当に大したことはない。雑魚敵は確実に倒せるが、少しレベルの高い魔物が出た瞬間にバトンタッチ。我がパーティメンバーが尻拭いをする。それを確認できた段階で魔力を開放し、あまり魔物を近づけないようにもした。
サラサは非常に臆病だ。ただ一方で、それは勘の良さとも取れた。魔物のレベルの評価がかなり正確だ。さらにいえば、威力の低い魔法とはいえ悠々と使っている節がある。ガブリエラ家の子女として最低限の才能を備えているのもまた事実。まかり間違って花開く前にこの場所で処分できるのであれば、魔族にとって大きな意味を持つ。
ところでダンジョンの進行中に、どこからか冒険者の気配を感じた。それほど強くはない、とは思う。一人はDからCランク。もしCランクであれば多少警戒せねばならない。もう一人はE以下だ。レベル上げを課せられた新人だろうか。
そちらに気を配っていたものの、いつのまにか上位冒険者の気配は消え去り、雑魚の方のみ残された。どういうことか訝しんだが、なるほど自分たちと似たような理由があるのだろうと理解した。
障害が取り払われ、深部にも近づいてきた。
先述の低レベル冒険者の気配はあるが、それは無視していいだろう。あとはタルーノたちが姿を消せば、勝手にロードウルフに屠られる。
タルーノは魔力を遮断し、襲いかかってきた魔物の対処をサラサに任せ、その隙に仲間と共にその場所から離脱した。仲間を街に先に帰らせ、自分はダンジョンの入り口でサラサの気配が断たれるのを待つことにした。
驚くべきことに、サラサはいつまで経っても死ななかった。
それもロードウルフと戦闘したにも関わらず生き残っていた。どうやら前述の低レベル冒険者と合流し、なんらか対処したようだ。
しかし、タルーノの能力ではサラサの魔力の源泉を感じることはできても具体的に何が起こっているのかまではわからない。サラサと低レベル冒険者は時折休みながらも着実に出口に向かっていた。
おそらく自分であれば、その二人を殺すことは容易だとは思う。
ダンジョンに戻り対処してもいいかもしれないが、低レベル冒険者にはどんな能力があるのかわからない。
その冒険者の能力でロードウルフとの戦闘を逃れたのは懸念点だ。
万全を期すのであれば、サラサとその冒険者を別れさせた後にサラサの命を奪うことが確実である。ダンジョンの出口は一箇所のみなので、焦る必要もなかった。
もしその冒険者が有能であれば単騎でダンジョン脱出に成功するかもしれないが、しかし大抵は強力な魔物に屠られ命を落とす。冒険者の魔力はダンジョンに吸われ、あるいは対峙した魔物に吸われ、魔の者たちのエネルギーへと還る。
つまりそれこそが冒険者パーティ・グラハムの、あるいはそのリーダー・タルーノの仕事だった。
サラサ・グリムブラッド・ガブリエラに関していえば、潜在的な魔力の総量は恐ろしいものを感じる一方で、現状の能力は本当に大したことがなかった。
魔力を吸う特殊な魔法は使えるようだが威力は弱く、少し強い魔物がでれば物陰に隠れる始末である。
ガブリエラといえば名家であり、魔王期が近づく際には勇者排出のために尽力すべき義務があると庶民に見られる。また、それに応えることで諸侯は住民から尊敬を集める。
ただし、ガブリエラ家でその役割を担うのは兄、クラウスで充分だった。妹であるサラサにその才能はなく、だからこそ政略こそが彼女の使命だ。例えば有力者と婚姻を結ぶことができればそれが彼女の最大の成果と言えた。
しかしサラサはそれを投げ出し、冒険者になりたいと宣ったという。公爵家との縁談の直前に彼女は家出し、市中で参加できる冒険者パーティを探し始めた。
それはガブリエラ家にとっては唾棄すべき行為だからこそ、タルーノは仕事を得ることができる。
なかなかパーティに参加できないサラサに対し、タルーノは優しい顔をして近づくだけで不安がいっぱいの彼女はコロリと騙される。
ロードウルフの統べるダンジョンはとても良い。そのダンジョンの魔物は弱く、一方でロードウルフのみが場違いに強い。意気揚々と奥まで進んだ冒険者があっさりと最深部で屠られる。だからタルーノはこの場所を好んで利用していた。
今回もいつもと変わらない。手取り足取りパーティのみんなで力を合わせた体でダンジョンを進み、ロードウルフに近づいたところで姿を隠してサラサを一人にする。そうすれば勝手に鉢合わせになり、サラサは遊ばれた末に命を落とすだろう。
サラサの戦闘力はといえば事前の調査の通りで本当に大したことはない。雑魚敵は確実に倒せるが、少しレベルの高い魔物が出た瞬間にバトンタッチ。我がパーティメンバーが尻拭いをする。それを確認できた段階で魔力を開放し、あまり魔物を近づけないようにもした。
サラサは非常に臆病だ。ただ一方で、それは勘の良さとも取れた。魔物のレベルの評価がかなり正確だ。さらにいえば、威力の低い魔法とはいえ悠々と使っている節がある。ガブリエラ家の子女として最低限の才能を備えているのもまた事実。まかり間違って花開く前にこの場所で処分できるのであれば、魔族にとって大きな意味を持つ。
ところでダンジョンの進行中に、どこからか冒険者の気配を感じた。それほど強くはない、とは思う。一人はDからCランク。もしCランクであれば多少警戒せねばならない。もう一人はE以下だ。レベル上げを課せられた新人だろうか。
そちらに気を配っていたものの、いつのまにか上位冒険者の気配は消え去り、雑魚の方のみ残された。どういうことか訝しんだが、なるほど自分たちと似たような理由があるのだろうと理解した。
障害が取り払われ、深部にも近づいてきた。
先述の低レベル冒険者の気配はあるが、それは無視していいだろう。あとはタルーノたちが姿を消せば、勝手にロードウルフに屠られる。
タルーノは魔力を遮断し、襲いかかってきた魔物の対処をサラサに任せ、その隙に仲間と共にその場所から離脱した。仲間を街に先に帰らせ、自分はダンジョンの入り口でサラサの気配が断たれるのを待つことにした。
驚くべきことに、サラサはいつまで経っても死ななかった。
それもロードウルフと戦闘したにも関わらず生き残っていた。どうやら前述の低レベル冒険者と合流し、なんらか対処したようだ。
しかし、タルーノの能力ではサラサの魔力の源泉を感じることはできても具体的に何が起こっているのかまではわからない。サラサと低レベル冒険者は時折休みながらも着実に出口に向かっていた。
おそらく自分であれば、その二人を殺すことは容易だとは思う。
ダンジョンに戻り対処してもいいかもしれないが、低レベル冒険者にはどんな能力があるのかわからない。
その冒険者の能力でロードウルフとの戦闘を逃れたのは懸念点だ。
万全を期すのであれば、サラサとその冒険者を別れさせた後にサラサの命を奪うことが確実である。ダンジョンの出口は一箇所のみなので、焦る必要もなかった。
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