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第一章 始まり

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大学初日、俺は今日から始まるガイダンスに合わせて早めに登校した。

経営学部会場の大教室には、もう新入生たちが座っている。
面白い事に、前方と後方に別れて席が埋まっていた。
躊躇無く、前列3列目に陣取る。
入学式で受け取った資料を眺めていると、声を掛けられた。

「おはよう。ここ、空いてる?」
ド派手な金髪に見覚えがある、入学式で隣に座っていた女だ。

「おはよう、空いてるよ」
答えると、滑り込むように隣に座って来る。

「入学式で隣だったのは、あいうえお順で名前が並んでるのかな。
お名前を聞いていい?」
彼女が質問してきた。

「俺は伊王 蒼海いおう あおいだ」

「私は、一ノ瀬 聖苑いちのせ みそのよ」

入学式には一人で参加したので、誰とも話さなかった。
初めて言葉を交わしたのが、彼女だった。

午前9時になり、会場はほぼ満席だ。
最初に生活ガイダンスがあり、学生生活の注意事項が説明される。
消費者トラブルから始まって、飲酒、薬物、闇バイト、性犯罪、net詐欺と実際に有った事件を元に話があった。
事件、事故は、身近にある事を叩き込まれた。

休憩を挟んで、本命の教務ガイダンスが始まった。
自ら履修登録しなければ、大学の講義は受けられない。
登録についての説明を真剣に聞いていた。

最後に、登録前にチューターに相談出来る事が伝えられた。
自分で考えた登録プランを持ち込んで、チェックしてアドバイスを貰える。
あくまでアドバイスなので、最終決定は自分でしなければならない。

ガイダンスは時間通りに終わり、家に帰って登録のプランを考えようと思っていた。

「伊王くん、ランチご一緒しない?」

「じゃあ、カフェテリアに行ってみようか」

「良かった。朝御飯を食べてなかったので、お腹ペコペコなの」


ランチタイムのカフェテリアは、新入生でごった返していた。
彼女はパスタとサラダを選び、俺はカレーにする。
並んで料理を受け取り、空いてる席に並んで座った。

「一人で食事するのが、恥ずかしかったんだ。
蒼海くんが一緒にいてくれて、助かったよ」

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