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第一章 始まり
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「ベッドで、一緒に寝ていいよ」
風呂上がりに俺の顔をスキンケアしている聖苑が、無邪気に話しかけてくる。
お嬢様はお気楽なもんだ、横に抱ける女がいて眠れる訳がないだろう。
コイツは、絶対に男を知らない。
「一人でいい。sexしないんだから、別に寝るよ」
毛布を借りて、ソファで横になる。
自分でも不思議なほど早く、眠りに落ちた。
……
新入生オリエンテーションも後半、今日は健康診断だ。
聖苑が選んだミントグリーンのパーカーに、カーキのカーゴパンツを履く。
ノーメイクだが、UV乳液を顔と手に塗られて眉だけ書き足される。
唇が乾燥しないように渡されたリップクリームを、自分で塗った。
検査自体は、手続き時間を入れても1時間で終了した。
彼女は別会場なので、学食で待ち合わせている。
俺の方が早く着いたようなので、座ってiPhoneを色々試していた。
「こんにちは。新入生?」
男子3人組に、声を掛けられた。
無警戒だったので、一瞬パニックになる。
気を取り直して、声を出さずに顔を縦に振った。
「君、可愛いね。うちのサークルに入らない?」
女の子と勘違いしているようだ、自分の声で返事をしようか迷う。
下を向いて顔を見られないようにしてると、聖苑の声がした。
「カフェテリアでのサークル勧誘は、禁止されてるんじゃないですか?」
聖苑の毅然とした態度に、相手はたじろいだ。
「ゴメン、じゃあまたね」
そう言って、去っていった。
「ちょっと目を離すと、ナンパされてるんだから。
少しは自分が可愛いって、理解した?」
「俺をスタイリングのは君だろ」
「別に、スカートを履かせたわけでもないでしょう。
素顔でナンパされたんだから、蒼海はモテる才能があるんだよ」
彼女の言葉に、反論出来なかった。
だが自分のコンプレックスを、才能だと言い切ったのには驚いた。
帰宅して考え込んでると、彼女が話しかけてくる。
「今日の健康診断は男として受診したけど、講義を受けるのは男女関係ないでしょ」
「女装して、大学に通うって事?」
「女装じゃないよ、女の子として行くんだよ」
言ってる意味が、理解出来ない。
「違いが判らない」
「私が教えてあげる」
聖苑が女の怖い顔をした。
風呂上がりに俺の顔をスキンケアしている聖苑が、無邪気に話しかけてくる。
お嬢様はお気楽なもんだ、横に抱ける女がいて眠れる訳がないだろう。
コイツは、絶対に男を知らない。
「一人でいい。sexしないんだから、別に寝るよ」
毛布を借りて、ソファで横になる。
自分でも不思議なほど早く、眠りに落ちた。
……
新入生オリエンテーションも後半、今日は健康診断だ。
聖苑が選んだミントグリーンのパーカーに、カーキのカーゴパンツを履く。
ノーメイクだが、UV乳液を顔と手に塗られて眉だけ書き足される。
唇が乾燥しないように渡されたリップクリームを、自分で塗った。
検査自体は、手続き時間を入れても1時間で終了した。
彼女は別会場なので、学食で待ち合わせている。
俺の方が早く着いたようなので、座ってiPhoneを色々試していた。
「こんにちは。新入生?」
男子3人組に、声を掛けられた。
無警戒だったので、一瞬パニックになる。
気を取り直して、声を出さずに顔を縦に振った。
「君、可愛いね。うちのサークルに入らない?」
女の子と勘違いしているようだ、自分の声で返事をしようか迷う。
下を向いて顔を見られないようにしてると、聖苑の声がした。
「カフェテリアでのサークル勧誘は、禁止されてるんじゃないですか?」
聖苑の毅然とした態度に、相手はたじろいだ。
「ゴメン、じゃあまたね」
そう言って、去っていった。
「ちょっと目を離すと、ナンパされてるんだから。
少しは自分が可愛いって、理解した?」
「俺をスタイリングのは君だろ」
「別に、スカートを履かせたわけでもないでしょう。
素顔でナンパされたんだから、蒼海はモテる才能があるんだよ」
彼女の言葉に、反論出来なかった。
だが自分のコンプレックスを、才能だと言い切ったのには驚いた。
帰宅して考え込んでると、彼女が話しかけてくる。
「今日の健康診断は男として受診したけど、講義を受けるのは男女関係ないでしょ」
「女装して、大学に通うって事?」
「女装じゃないよ、女の子として行くんだよ」
言ってる意味が、理解出来ない。
「違いが判らない」
「私が教えてあげる」
聖苑が女の怖い顔をした。
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