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第九章 沙保里

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「真凛ちゃん、スイッチ入ってる」

「久しぶりじゃない、こんな真凛が見られるの」
月奈と聖苑が話していた。

「沙保里ちゃん効果かもしれないな」
田中氏が呟く。

この日まで、solemnityというブランドを背負ってるプレッシャーが半端なかった。
ランウェイに出た瞬間から解放されて、ステージを楽しんだ。

最後のドレスが終わって、バックステージに下がった。
モデル、ゲスト、一緒に頑張ってくれたスタッフ、全員が拍手で迎えてくれた。

「真凛ちゃん。すれ違った時、オーラが凄かった」
みさきが驚いていた。

「一緒にポージングしたけど、そこだけ空気が違ってた」
宮本晴夏が言ってる。

「みんな、秋の時より格段に良くなってた。自信満々だったし、表情が最高だった」
俺もゲストの5人を褒めた。

デザイナーの花鳥さんが、俺を抱きしめて言った。

「ありがとう」

「去年のリベンジが出来ました」

それだけで、全てが通じた。
再建までのこの1年、花鳥さんも辛かったんだ。

ECサイトでは、今日の為に用意されたJLW限定商品の全てが完売した。

……


翌週、首都湾岸スタジアムは、春の日差しが暖かい。
2日間、風は強いが雨の心配は無かった。

土曜日の午後1時、初日のステージが開幕した。
オープニング映像は、九州の有名な一本桜だった。
冬の寒風にさらされている映像からスタートして、満開になるまでの過程が流れている。
ドローンで撮影された映像が新鮮だ。
それにfortunaのovertureが被さっていた。

会場は爆発的な盛り上がりで、テンションMAXだ。

水無瀬結の卒業シングルから、5曲連続で披露された。
その後は、グループに参加した各期別に先輩から歌っていく。
水無瀬結は、残り少ない1期生だった。
2期生のセンターが栗栖千鶴で、3期生のセンターは坂井理乃だ。
4期は正規メンバーの渡辺由里香が努めた。

ここで、5期生の発表があった。
スクリーンに2名の映像が流れて、オーディション合格者の文字が踊る。

出雲沙織、長崎県出身、17歳。

月城美雪、北海道出身、16歳

二人がメインステージに出て来て、デュエット曲を歌った。
歌い終わると、そのまま捌けてインタビューも無かった。

後半はダンスが得意なメンバーによるカッコいい系のメドレー、歌が上手いメンバーのアカペラからコーラスなど飽きさせない。

最後にみんな大好き、シングルメドレーで終了した。

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