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第九章 沙保里

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「スター、誕生」 大げさなタイトルだ。

深夜になって、net newsに今日のライブが取り上げられた。
沙織の代役の事が、結構細かく書いてある。
ドラマチックな話にしたい、プロデューサーの差し金かなと思えるほどだ。

コメント欄は、賛否両論だった。
「リハーサル無しで出すとは、客をナメている」
「緊急事態だ。ライブが止まって白けるよりマシだ」
「ヤラセだろう、あのプロデューサーならやりかねん」
今日もnetは、騒がしい。

栗栖千鶴がパーソナリティを務めるラジオに、沙織と美雪が出演した。
水無瀬結の卒業で、後継に白河寧々が選ばれていた。

「今日は研究生の出雲沙織ちゃんと月城美雪ちゃんが来てくれました」

「よろしくお願いします」

「沙織ちゃんは、ライブで茉里奈ちゃんの代役で歌いましたね」

「遥先輩からライブの全曲を練習するように言われていたので、練習してました」

「遥は代役でポジションを上げてきたから、怖いよね」寧々が言った。

「怖い?」沙織が聞いた。

「遥は、本人より上手く踊るから」

「遥先輩が自分のことのように、喜んでくれました」

「私は沙織を見て、自分の甘さを思い知らされました。
マネージャーに相談して、古田美那さんに指導して頂ける事になりました」
美雪がトークに参加した。

「美那ちゃん、ダンスも上手いし、トークも上手だからいいと思う」
千鶴がコメントする。

「沙織ちゃん、真凛ちゃんは何か言って無いの?」

「兄はライブに来てましたよ。
メガネで変装してファンに紛れてたけど、すぐに解りました」

「周りにバレなかったの?」

「男の格好でノーメイクでしたから、バレてなかったですね」

「褒めてくれた?」

「ご褒美をあげるっていうので、遥先輩とお揃いの靴をおねだりしました。
レッスン着とダンスシューズを2足、買ってくれました」

「真凛ちゃん、妹には甘いのね」

編集で上手く繋いで、放送されていた。

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