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第十一章 激震

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土曜日の午後、羽田に両親と姉、弟を迎えに行った。
山内女史の運転で、滞在するホテルに向かう。

「沙織が東京に行ってから、上京する機会が増えた。その分、蒼海に会える」
母は嬉しそうだった。
考えたら、実家を出てもう2年半も帰ってない。

ホテルに荷物を預けて、会場に向かう。
関係者入り口から中に入り、楽屋裏の関係者控え室で待ってもらった。

俺は、聖苑の差し入れを見に行った。
キッチンカーをレンタルして、フルーツパーラーが鹿児島名物の白くまを出していた。
白くまとは、フルーツがどっさり入ったかき氷だ。
リハーサルが終ったメンバーが列を作って、出来立てを食べていた。

「みんな、聖苑社長の差し入れが大好きだよ」
春木プロデューサーが話しかけてきた。

「一ノ瀬流通グループ社内で、売り込みが凄いようですよ」俺が答えた。

「全社を、活性化させている。一ノ瀬社長もご満悦だろう」
春木プロデューサーは、ビジネスにも精通している。
最近は、話していて楽しい。

「2日間、楽しんでくれ」

「ありがとうございます、両親も喜びます」

控え室に戻ると、沙織が両親と会っていた。

「初めて楽屋に来てくれた」

「今まで沙織が緊張すると思って、ためらってた」

「大丈夫。考えなくても身体が動くくらい、レッスンしたから」

家族は関係者席に、案内されていった。
俺は聖苑のところに行った。
差し入れもほぼ終わり、片付けが始まっていた。

「好評で良かったね」

「フルーツが全部、無くなった」

メイクを終わった月奈が出てきた。

「白くま、美味しかったです」

「メイクはどう?」

「スタジアムはステージが遠いので、コントラスト強めです。
汗で流れないように、対策しました」

「最後まで頑張ってね」
声を掛けて、関係者席に向かった。

「真凛さん、こんにちは」
加藤みさきが、cloud nineのメンバーと一緒に来ていた。

「沙織ちゃんを見に来ました」

「千鶴や寧々ちゃんのほうが、いいんじゃないの」

「沙織はライバルですから」

「沙織は研究生だよ、みさきちゃんとはレベルが違うでしょ」

「それが本当かどうか、見極めに来たんです。
卒業する植木遥さんから、特訓されてるって噂もあるから」

彼女のライバル宣言は、本気だった。

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