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第十五章 引退

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「こんにちは出雲真凛です、今日は皆さんのレッスンを見学に来ました。
よろしく、お願いします」

加藤みさきたちが所属するcloud nineに、妹グループが出来る。
オーデションが終わって記者発表があり、今はデビューに向けてレッスン中だ。

私はJLWはvivacitasで出演すると決まった時から、ゲストモデルの選定を始めた。
三島悠花がイメージモデルに決まって、直ぐに足利プロデューサーに面会した。
まだデビューもしていないグループを、ゲストモデルに使うのは賭けだ。
だが圧倒的なフレッシュ感は、何者にも代え難い。
自分の眼を信じて、一人でレッスンの見学に来た。

solemnityのプロデューサーをしている人物が、突然レッスン場に来た。
ten strikeテン ストライクのメンバーからすれば、何かあると感じるのは当然のことだろう。
ダンスレッスンの緊張感が、見てる側にも伝わってくる。

12人のメンバーが、一心不乱に踊っていた。
上手い下手は関係ない、どれだけ目を引くかを基準に見ていく。

「はい、15分休憩します」
コーチの声が響いて、みんながタオルとドリンクを手にした。
ひと段落して、メンバーの一人が私のところに来た。

「出雲真凛さん、今日の見学の意味を教えて頂けませんか?
メンバーが不安がっています」

メンバー全員の前に今日の見学の目的を話す。

「プロデューサーの許可を頂いて見学に来たのは、Japan Ladys Fashion Weekのゲストモデルを探すためです。
ten strikeが使えるのか、自分の眼で確かめに来ました」
話した瞬間に彼女たちの眼が輝く、キラキラした表情が眩しい。

ダンスレッスンの終了前、30分を頂いていた。
一人づつ、ウォーキングをしてもらう。
先ず、自分で手本を見せる。
ハイヒールではなく、ダンスシューズなので難しくはないはずだ。

12人から、候補を6人に絞った。
落ちた6人が悪い訳では無い、vivacitasのコンセプトやターゲット年齢が違っただけだ。

特にセンターで踊っていた二人は、絶対売れる気がした。
今から押さえておきたい、そこまで思った。

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