蒼い海 ~女装男子の冒険~

灰色 猫

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第十七章 決断

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今年から一ノ瀬流通グループの方針が変更されて、一般ユーザー向けのHPはフィーデスに一本化された。
そのために年明け直後から、vivacitasの三島悠花、solemnityの北宮芽亜里、ガーデンズオフィスの出雲沙織の3人がフィーデスのHPを飾っている。
もちろん3人のスケジュールを田中社長が合わせて、撮影は年末前に終了していた。

元旦は、例年通りに写真撮影に臨む。
ただ今年から社長と一ノ瀬流通グループのHPを飾るのは、プロゴルファーの出利葉花蓮だった。
振袖を着つけられた花蓮に、月奈がメイクを施す。
日焼けした顔を、健康的で明るい表情に仕上げていった。

一ノ瀬社長との撮影が終わり、社長室の社員がテキパキとHPのTOPを変更していく。
晴着を着た出利葉花蓮から話しかけられた。

「伊王さん、私は今年からウェアがフリーになるんです。
solemnityでウェアを作ってくれませんか?」

「出利葉さんのウェアを作るだけなら、出来ない事じゃないけど。
それをビジネスベースに乗せるのは、難しい。
年明け一番に会議の議題にするけど、今は答えられない。ゴメンね」

「検討して頂けるだけでも、嬉しいです」
彼女の明るくて人懐こい表情を見ていると、何とかしてあげたくなる。
その後は家族写真の撮影を終えて、俺と聖苑は新幹線で東京に向かった。

東京駅に隣接するホテルに入ると、長崎から上京した両親と沙織が待っていた。
一緒にお昼を食べる約束だったので、レストランの個室を予約してある。
すぐに個室に案内されて、みんなが席についた。
お正月なので、お祝いのシャンパンを注文している。
オードブルと一緒に、サーブされた。

「明けまして、おめでとう。乾杯」
親父の音頭でみんながグラスを上げた。

「「かんぱ~い」」
皆が声を上げた。

「蒼海、聖苑さん。婚約おめでとう。
やっと直接、祝ってあげられるよ」
親父とおふくろは感無量の様子だった。
洋風懐石のお弁当が配膳されて、みんなが食事しながら話す。

「沙織が昨日の大晦日歌謡ショーで歌ってるのに、感動したわ」
ライブで歌い踊ってるのを見るだけで涙する母だ。
年末のビッグイベントに娘が出ているんだから、感動するのも当たり前だった。

「あの番組に出られるのも、fortunaの先輩たちが頑張ってくれたから。
私の力じゃない、感謝の気持ちでいっぱいだよ」

沙織の言葉に驚いた、俺の想像以上に成長している。
母も感動したのか、目頭を押さえていた。

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