謎を集めた短編集

喋る人面瘡

それは、
大海の奥底に眠る遺跡のようで
街の片隅に忘れ置かれた小石のような話。

あなたは、
こんな話を知っていますか？


人面犬は1989年から1990年に掛けて
主に小中学生の間で噂になった都市伝説で
1973年に連載が開始された
つのだじろうの怪奇漫画 うしろの百太郎 に
登場する 時々人間のような顔になる
霊能犬 ゼロ や
1978年の映画 SF/ボディ・スナッチャー に
人面犬が登場していて
そこがルーツと言う人がいる。

人面犬に似たものとして
人面樹や人面魚や人面猫もいて
新聞やニュースなどで
取り上げられたこともある。

ネット調べると
人面◯◯は沢山出てくる事があるが…
ところで
あなたは 喋る人面瘡 を知ってるだろうか？

人面瘡は、
金田一耕助シリーズや
ブラック・ジャックにも出ていて
妖怪や奇病の一種とされており
体の一部などに付いた傷が化膿し
人の顔のような形になり
物を食べたり 話をしたりするとされる
架空の病気と言われている。

普通の人面瘡なら
シュミラクラ現象みたく
腫れ物が人の顔のように
見える事もあるかもしれない。

けど、
あるホラー掲示板に
合成とは思えない
喋る人面瘡の動画が貼られた。

動画の内容は
ある中年男性のお腹に出来た
人面瘡が ずっと何かを言ってるのだが
小さい音ではっきりと聞き取れず
人面瘡の口の動きから
「きね きね」なのか
「いね いね」と喋っていた。

その後、
動画の投稿者に連絡を取ろうと
掲示板に書き込んだが
投稿者からの返事は無く
今現在も あの人面瘡の動画の詳細は
わかっていない。

そういえば、
人面瘡の話を調べてる時に
こんな話を聞いた。

人体に出来た人面瘡を
決して潰したり傷つけてはいけない。

人面瘡を潰したり傷つけたりすると
人面瘡が出来た人も
人面瘡と同じ状態になる…って。

おしまい