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第1話:勇者参上!
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202X年、月の裏に突如青い穴が出現した。月の裏側であるため、もちろん地球からは観測できない。
穴の中は青黒く空間が波打っていたが、不意にその中から黒い船が飛び出した。
穴から飛び出した黒い船は、月を避けて地球に向けて進路を取ろうとしたが、突然火を噴いて失速すると、月の重力に捕まりそのまま裏側に墜落してしまった。
人類があずかり知らぬ月の裏側で起きた墜落事故。それから数ヶ月経った時、月面に墜落した船から黒い影が飛び出した。
黒い影は羽を広げると、月を周回して地球に向かって飛び立った。
そしてそれが、宇宙機怪獣による地球攻撃の幕開けであった。
月の裏側から飛び立った黒い影。それはなぜか地球の神話に出てくる魔獣の姿を模していた。
アメリカ航空宇宙局や宇宙航空研究開発機構、欧州宇宙研究機構の科学者は、始めはそれを宇宙生物と主張した。
しかし、米国軍やロシア軍、NATO軍の交戦映像から、目の部分はクリスタルのような透明装甲に覆われ、体表のあちこちにリベットや蛇腹上の構造が有ることが判明すると、それは生物ではなく機械…つまり兵器であると結論づけられた。
メディアは最初はUFOや宇宙怪獣と言っていたが、いつの間にかネットではそれを宇宙機怪獣と呼ぶようになるのだった。
◇
初めて地球にやって来た宇宙機怪獣は、米国軍の迎撃を物ともせず、ニューヨークに来襲すると、三十分ほど市街地を破壊して再び宇宙に戻っていった。
それから週に一度のペースで、宇宙機怪獣は地球に襲来し、各国の都市を破壊するのだった。
もちろん襲撃を受ける各国の軍隊も指を咥えて見ていたわけではなく、宇宙機怪獣を迎撃した。
しかし、米国、EU、ロシア、インドなどの大国の軍事力を持ってしても、通常兵器では倒すことはできなかった。
ミサイルなどの誘導兵器、機関砲や戦車砲の砲弾も斥力場のような謎の力で軌道をそらされ、宇宙機怪獣にほとんど直撃させることができなかった。また直撃させることができても、宇宙機怪獣の装甲を破ることができなかった。
また宇宙機怪獣に対して、迎撃するだけではなくコミュニケーションを試みていた。各国の科学者は、音声に始まり、既存周波数の電磁波による通信、果ては手話や手旗信号といった手法まで持ち出して、コミュニケーションを試みたが、宇宙機怪獣はそれら全てを無視するだけだった。
◇
そして最初の襲来から何度目かの襲撃で、宇宙機怪獣は初めてアジアの某大国であるC国を襲来した。C国は、自国こそ最強であると示すために持てる戦力の全てをつぎ込んで宇宙機怪獣を迎え撃った。
しかし、当然のことながら他国と同様に迎撃は失敗し。宇宙機怪獣は無傷のまま都市に降り立つのだった。
都市の住民は、暴れる宇宙機怪獣から逃げ惑った。しかしC国の軍隊は住民の避難などお構いなしに宇宙機怪獣に攻撃を行った。C国の軍隊による攻撃は宇宙機怪獣以上の破壊を都市にと住民にもたらした。
そして破壊活動が三十分を過ぎ、宇宙機怪獣が宇宙に戻ろうとしたとき、C国の軍隊は戦術核を都市に撃ち込むのだった。
キノコ雲が上がり多くの人民を巻き込み都市は核の炎に包まれた。
核兵器による攻撃でさすがの宇宙機怪獣も破壊されたと思われたが、溶解した都市の残骸しかない爆心地に宇宙機怪獣が存在していることを偵察ドローンが発見した。
さすがに核攻撃を受けて無傷とはいかず、宇宙機怪獣はあちこちから煙を吹き出し破損箇所も見受けられた。
再度の戦術核の攻撃が行われたとき、宇宙機怪獣は辛うじてその核爆発の顎門から逃れ、空に飛び立った。
そして二度目の核の炎により電子産業で反映していた都市は、地図から消えることになるのだった。
もちろんC国が核を使用したことについて世界中から非難が集中したが、
『我が国の犠牲によって、世界に平和が訪れた』
C国の最高指導者は、国営放送を通じてそう宣言して世界を唖然とさせるのだった。
実際それから三ヶ月経った現在、宇宙機怪獣は地球に襲来せず、人々は平和が訪れたと安堵してしまっていた。
穴の中は青黒く空間が波打っていたが、不意にその中から黒い船が飛び出した。
穴から飛び出した黒い船は、月を避けて地球に向けて進路を取ろうとしたが、突然火を噴いて失速すると、月の重力に捕まりそのまま裏側に墜落してしまった。
人類があずかり知らぬ月の裏側で起きた墜落事故。それから数ヶ月経った時、月面に墜落した船から黒い影が飛び出した。
黒い影は羽を広げると、月を周回して地球に向かって飛び立った。
そしてそれが、宇宙機怪獣による地球攻撃の幕開けであった。
月の裏側から飛び立った黒い影。それはなぜか地球の神話に出てくる魔獣の姿を模していた。
アメリカ航空宇宙局や宇宙航空研究開発機構、欧州宇宙研究機構の科学者は、始めはそれを宇宙生物と主張した。
しかし、米国軍やロシア軍、NATO軍の交戦映像から、目の部分はクリスタルのような透明装甲に覆われ、体表のあちこちにリベットや蛇腹上の構造が有ることが判明すると、それは生物ではなく機械…つまり兵器であると結論づけられた。
メディアは最初はUFOや宇宙怪獣と言っていたが、いつの間にかネットではそれを宇宙機怪獣と呼ぶようになるのだった。
◇
初めて地球にやって来た宇宙機怪獣は、米国軍の迎撃を物ともせず、ニューヨークに来襲すると、三十分ほど市街地を破壊して再び宇宙に戻っていった。
それから週に一度のペースで、宇宙機怪獣は地球に襲来し、各国の都市を破壊するのだった。
もちろん襲撃を受ける各国の軍隊も指を咥えて見ていたわけではなく、宇宙機怪獣を迎撃した。
しかし、米国、EU、ロシア、インドなどの大国の軍事力を持ってしても、通常兵器では倒すことはできなかった。
ミサイルなどの誘導兵器、機関砲や戦車砲の砲弾も斥力場のような謎の力で軌道をそらされ、宇宙機怪獣にほとんど直撃させることができなかった。また直撃させることができても、宇宙機怪獣の装甲を破ることができなかった。
また宇宙機怪獣に対して、迎撃するだけではなくコミュニケーションを試みていた。各国の科学者は、音声に始まり、既存周波数の電磁波による通信、果ては手話や手旗信号といった手法まで持ち出して、コミュニケーションを試みたが、宇宙機怪獣はそれら全てを無視するだけだった。
◇
そして最初の襲来から何度目かの襲撃で、宇宙機怪獣は初めてアジアの某大国であるC国を襲来した。C国は、自国こそ最強であると示すために持てる戦力の全てをつぎ込んで宇宙機怪獣を迎え撃った。
しかし、当然のことながら他国と同様に迎撃は失敗し。宇宙機怪獣は無傷のまま都市に降り立つのだった。
都市の住民は、暴れる宇宙機怪獣から逃げ惑った。しかしC国の軍隊は住民の避難などお構いなしに宇宙機怪獣に攻撃を行った。C国の軍隊による攻撃は宇宙機怪獣以上の破壊を都市にと住民にもたらした。
そして破壊活動が三十分を過ぎ、宇宙機怪獣が宇宙に戻ろうとしたとき、C国の軍隊は戦術核を都市に撃ち込むのだった。
キノコ雲が上がり多くの人民を巻き込み都市は核の炎に包まれた。
核兵器による攻撃でさすがの宇宙機怪獣も破壊されたと思われたが、溶解した都市の残骸しかない爆心地に宇宙機怪獣が存在していることを偵察ドローンが発見した。
さすがに核攻撃を受けて無傷とはいかず、宇宙機怪獣はあちこちから煙を吹き出し破損箇所も見受けられた。
再度の戦術核の攻撃が行われたとき、宇宙機怪獣は辛うじてその核爆発の顎門から逃れ、空に飛び立った。
そして二度目の核の炎により電子産業で反映していた都市は、地図から消えることになるのだった。
もちろんC国が核を使用したことについて世界中から非難が集中したが、
『我が国の犠牲によって、世界に平和が訪れた』
C国の最高指導者は、国営放送を通じてそう宣言して世界を唖然とさせるのだった。
実際それから三ヶ月経った現在、宇宙機怪獣は地球に襲来せず、人々は平和が訪れたと安堵してしまっていた。
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