ゴーレムマスターの愛した人型兵器

お化け屋敷

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第12話:宇宙へ

Aパート(2)

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 二発の『神の雷』が革命軍を消滅させた後、アルテローゼはその上を通り過ぎようとしていた。

『むごい状況だな』

「…ええ、そうですわ」

「ふええ、大きな穴が二つも開いてるよ~」

 レイフとレイチェル、アイラの三人は、その戦場を見て驚いていた。アルテローゼの眼下には、二つのクレーターが広がっていた。
 クレーターの一つは大量のロボット兵器の残骸で埋まっており、もう一つはわずかな残骸が有るだけだった。そして二つのクレーターの周囲には、連邦軍のロボット兵器の残骸が散らばっていた。わずかに動いてる物もあるが、その数も元の一割程度しか残っていないようだった。

『革命軍の部隊を全滅させたようだが、連邦軍こちらもほぼ壊滅状態だな。これだけ広範囲を殲滅できるメテオの魔法を立て続けに二発も使えるのは凄いが、その使いかたがおかしい。広域魔法を使うのであれば、味方を巻き込まないようにするのは当然だろう。力を持っただけの馬鹿に好き勝手させるとは、指揮官は何をやっているのだ』

「レイフ、あれは魔法ではなく軍の対惑星兵器ですわ。確かにもの凄い威力ですが、こんな使い方は間違っていますわ」

 戦場をみて連邦軍と革命軍双方に多数の死傷者が出たことを思い、レイチェルは顔をしかめた。

『燃料もないのだ、ヘリオス首都に戻るぞ』

「ええ、分かりましたわ」

 アルテローゼは戦場を通り過ぎ、ヘリオス首都にむかって飛び去った。


 ◇


「司令、革命軍は全滅しました。残存兵器も司令部が壊滅したため、その動きを停止したようです」

 アッテンボロー少佐は、アレクセイ中佐が送ってきた情報を精査して、革命軍の首都侵攻部隊が壊滅したことをオッタビオ司令に報告する。しかし戦闘に勝利した報告なのに、アッテンボロー少佐の顔は渋い物だった。

「そうか。木星方面軍がやっちゃってくれたのね」

 報告を受けるオッタビオ司令の顔も浮かない物であった。

「ええ、革命軍は文字通り全滅しました。…が、連邦軍こちらも人的な被害は出ていませんが、部隊の戦力は一割も残っていません。つまり、防衛部隊も全滅という事です」

「威力が分からない『神の雷』は使わないでねってお願いしたんだけどな~」

「通常の対地ミサイルで良かったのですがね…」

 オッタビオ司令が他人事のように言うのを見て、アッテンボロー少佐はため息を付いた。

 木星軍の宇宙戦艦には『神の雷』以外の対惑星兵器…通常のミサイルが搭載されていた。大戦以降、核弾頭は使用禁止となっているため通常弾頭のミサイルではあるが、今回の戦いであれば十分な威力を持つ物であった。

「まあ、やっちゃった事をとやかく言っても仕方ないから…」

「司令、厳重に抗議してください! 今回は反乱軍に荷担してたとはいえ、民間企業の関係者が死傷しているのですよ」

 なあなあで済ませようとしたオッタビオ司令をアッテンボロー少佐は睨み付けた。
 革命軍の野戦司令部が壊滅したということは、そこにいたGC社の社員も死亡している。連邦軍が民間人を殺したと言われても仕方のない状況なのだ。

「分かったよ、そんな睨まなくても良いじゃないか。木星方面軍に抗議を入れるから」

 アッテンボロー少佐に睨まれて、オッタビオ司令は冷や汗をかきながらそう答える。

「今すぐ抗議しましょう。君、レッドノーム号に通信をつなげてくれ」

 アッテンボロー少佐が、オペレーターに通信をつなげるように命令した時、

「アッテンボロー少佐、オッタビオ司令。 木星方面軍、宇宙戦艦レッドノーム号の艦長から通信が入っています!」

 逆にオペレーターからレッドノーム号の艦長から通信が入ったことを告げられるのだった。

「…」

「…つなげたまえ」

 一瞬、アッテンボロー少佐はオッタビオ司令は顔を見合わせたが、直ぐに通信をつなげるようにオペレータに命じた。

『こちら、連邦宇宙軍、木星方面軍所属、宇宙戦艦レッドノーム号艦長、トーゴー大佐。火星方面軍の司令に話がある』

 モニターに黒髪で左目をドクロの眼帯で隠した男が映し出された。

「私が地球連邦軍、火星方面軍司令のオッタビオ少将だが…」

 階級はオッタビオ司令の方が上なのだが、アッテンボロー少佐にはオッタビオ司令がトーゴー大佐に気圧されているように感じられた。

『我々は火星方面軍からの救援要請を受けてきたわけだが、木星軍は地上戦力を持っていない。つまり、援護と言っても衛星軌道上からの攻撃しかできないわけだ』

「それはこちらも分かっているが…」

「木星軍が衛星軌道上からの援護攻撃しかできない事は理解できる。が、先の『神の雷』のような戦略兵器の使用は止めてもらいたい!」

 気圧されているオッタビオ司令にはトーゴー大佐に抗議できない、そう思ったアッテンボロー少佐がそこで口を挟んだ。

『君は誰だ?』

 トーゴー大佐の目がアッテンボロー少佐に向くと、彼は何故かロボット兵器に見つめられているような気分になった。
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