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第13話:宇宙の果て
Dパート(4)
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『ここは艦載機の射出口か。このまま進めば格納庫に出るな』
『ええ、ここならアルテローゼが動き回れるだけの広さがありますわ』
レッドノーム号内部に潜り込んだアルテローゼとレイチェルは、自分対地がいるのが艦載機の射出口であることに気付いた。
『急がないと艦載機が出てくるかもしれませんわね』
レイチェルは今にも艦載機が前からやって来るのではと不安そうな顔だが、
『それは無いだろうな。レイチェル、周りを見てみろ』
『えっと、射出レールが有りますけど…壊れてますわね』
レイチェルはモニターを見て、レッドノーム号の内部が随分と荒れ果てていることに気付いた。
『うむ。恐らく破損した艦載機を無理に回収したのだろう。しかし、修理すらされていないとは連邦宇宙軍はそんなに貧乏なのか? 貧乏な軍隊ほど惨めな物はないぞ』
レイフは帝国時代に戦った小国の貧乏軍隊を思い出してた。たとえ兵がどれだけ精強でも装備と補給が無ければ、あっという間に蹴散らされてしまう。そんな戦いを幾度となくレイフは見てきた。
『連邦宇宙軍が貧乏なわけはありませんわ。木星方面軍は地球から遠いために補給が少ないでしょうが、修理すらままならないとは思えませんわ。それに…』
『それに?』
『木星方面軍の任務は小惑星帯の資源採集船護衛ですわ。一攫千金を目論んだ不法採掘者と戦いになることもあると聞きますが、ここまで酷く船が壊れるような戦闘があるとは思えませんわ』
レイチェルは人差し指をほっぺに当て、考え込んでいた。
『つまり、この船は火星に来る前に誰かと激しい戦闘を行っていたと言うことか。…っと話はここまでだ、格納庫に着いたようだぞ』
話をしている間にもアルテローゼは右腕とスラスターを使って射出口を進んでいた。そして前方に艦載機の格納庫である広い空間が見えてきた。
『…艦載機もほとんど残っておりませんわね』
『修理を行う整備ロボットも数が少ないな。…丁度良い、あの空いている格納スペースに入るぞ』
アルテローゼは空いている格納スペースに機体を滑り込ませる。
《警告、ここはパイクⅡ専用格納スペースです。他の機動兵器は収容できません》
『ええい、五月蠅い。そんな事分かっているわ!』
格納庫を管理しているAIが警告を出してきたため、レイフは残り少ない魔力を使いゴーレムマスター魔法を発動させAIを支配下に置いてしまった。
レイフは格納庫のAIに引き続いて、レッドノーム号のAIを支配しようとしたのだが、船の制御AIはレイフの魔法を知っていたかのように回線を切断してしまった。
『回線を切られたか。もっと魔力があれば何とかなるのだが、今は無理だな。それより今は格納庫を安全地帯にすべきだな。AIよ格納庫を閉鎖しろ』
《了解しました。格納庫をクローズド・モードに切り替えます》
レイフに命じられた格納庫のAIは、完全にレッドノーム号のAIとの通信回線を切断し通路の隔壁も下ろしてしまった。これでレッドノーム号の乗組員やガードロボットも格納庫に入ってくるのは難しくなってしまった。
『これで落ち着いて機体の整備と修理ができるぞ。AI、スラスターへの燃料の補給と機体の修理プランを出してくれ』
《了解しました》
格納庫のAIは、レイフからアルテローゼの設計データを受け取ると、すかさず修理プランを出してきた。格納庫のAIは木星圏での活動で艦載機の整備・修理の実戦経験を積んでおり、機動兵器においては魔法頼りのレイフより優れたエンジニアであった。
『なるほど、艦載機のエンジンを足の代わりに腰から下に接続するのか。宇宙空間であれば足など飾りだし、ゴーレムマスターの魔法を使わずとも整備・修理ロボットだけで何とかいけそうか。よしこのプランで作業に取りかかってくれ』
レイフはAIが提示した修理・改造プランを見て感心すると、直ぐに作業に取りかかるように命令した。レイフに褒められた格納庫のAIは何となく嬉しそうに《了解しました》と返事を返して、作業ロボットを集めて作業を開始した。
『レイフ、アルテローゼの修理も大事ですが、このままではレッドノーム号は火星軌道に戻って攻撃を再開してしまうでしょう。何とか私達でこの船を止めないと…』
アルテローゼの修理を開始するレイフに対して、レイチェルは焦った様子であった。
『その為にはアルテローゼの修理が必要なのだ。それともレイチェルは、沈黙する戦艦のコックのように、自分だけで艦橋を制圧するつもりなのか?』
レイチェルが映画の主人公のような戦闘力を持っていたとしても、全長二キロの宇宙戦艦をたった一人で制圧することは不可能である。レイフは少しでも可能性の高い方法を考えていた。
『大体、この船に一体何人の乗組員とガードロボットがいると思うのだ? 普通に無理だと分かるだろう』
《現在、この船には乗組員は二人だけです。ガードロボットは二百三十一体が稼働しています》
『ほれ見ろ、レイチェル一人では無理だろう。…何、乗組員が二人だと?』
『それは本当なのですか?』
AIから予想外の情報を聞かされたレイフとレイチェルは驚くのだった。
『ええ、ここならアルテローゼが動き回れるだけの広さがありますわ』
レッドノーム号内部に潜り込んだアルテローゼとレイチェルは、自分対地がいるのが艦載機の射出口であることに気付いた。
『急がないと艦載機が出てくるかもしれませんわね』
レイチェルは今にも艦載機が前からやって来るのではと不安そうな顔だが、
『それは無いだろうな。レイチェル、周りを見てみろ』
『えっと、射出レールが有りますけど…壊れてますわね』
レイチェルはモニターを見て、レッドノーム号の内部が随分と荒れ果てていることに気付いた。
『うむ。恐らく破損した艦載機を無理に回収したのだろう。しかし、修理すらされていないとは連邦宇宙軍はそんなに貧乏なのか? 貧乏な軍隊ほど惨めな物はないぞ』
レイフは帝国時代に戦った小国の貧乏軍隊を思い出してた。たとえ兵がどれだけ精強でも装備と補給が無ければ、あっという間に蹴散らされてしまう。そんな戦いを幾度となくレイフは見てきた。
『連邦宇宙軍が貧乏なわけはありませんわ。木星方面軍は地球から遠いために補給が少ないでしょうが、修理すらままならないとは思えませんわ。それに…』
『それに?』
『木星方面軍の任務は小惑星帯の資源採集船護衛ですわ。一攫千金を目論んだ不法採掘者と戦いになることもあると聞きますが、ここまで酷く船が壊れるような戦闘があるとは思えませんわ』
レイチェルは人差し指をほっぺに当て、考え込んでいた。
『つまり、この船は火星に来る前に誰かと激しい戦闘を行っていたと言うことか。…っと話はここまでだ、格納庫に着いたようだぞ』
話をしている間にもアルテローゼは右腕とスラスターを使って射出口を進んでいた。そして前方に艦載機の格納庫である広い空間が見えてきた。
『…艦載機もほとんど残っておりませんわね』
『修理を行う整備ロボットも数が少ないな。…丁度良い、あの空いている格納スペースに入るぞ』
アルテローゼは空いている格納スペースに機体を滑り込ませる。
《警告、ここはパイクⅡ専用格納スペースです。他の機動兵器は収容できません》
『ええい、五月蠅い。そんな事分かっているわ!』
格納庫を管理しているAIが警告を出してきたため、レイフは残り少ない魔力を使いゴーレムマスター魔法を発動させAIを支配下に置いてしまった。
レイフは格納庫のAIに引き続いて、レッドノーム号のAIを支配しようとしたのだが、船の制御AIはレイフの魔法を知っていたかのように回線を切断してしまった。
『回線を切られたか。もっと魔力があれば何とかなるのだが、今は無理だな。それより今は格納庫を安全地帯にすべきだな。AIよ格納庫を閉鎖しろ』
《了解しました。格納庫をクローズド・モードに切り替えます》
レイフに命じられた格納庫のAIは、完全にレッドノーム号のAIとの通信回線を切断し通路の隔壁も下ろしてしまった。これでレッドノーム号の乗組員やガードロボットも格納庫に入ってくるのは難しくなってしまった。
『これで落ち着いて機体の整備と修理ができるぞ。AI、スラスターへの燃料の補給と機体の修理プランを出してくれ』
《了解しました》
格納庫のAIは、レイフからアルテローゼの設計データを受け取ると、すかさず修理プランを出してきた。格納庫のAIは木星圏での活動で艦載機の整備・修理の実戦経験を積んでおり、機動兵器においては魔法頼りのレイフより優れたエンジニアであった。
『なるほど、艦載機のエンジンを足の代わりに腰から下に接続するのか。宇宙空間であれば足など飾りだし、ゴーレムマスターの魔法を使わずとも整備・修理ロボットだけで何とかいけそうか。よしこのプランで作業に取りかかってくれ』
レイフはAIが提示した修理・改造プランを見て感心すると、直ぐに作業に取りかかるように命令した。レイフに褒められた格納庫のAIは何となく嬉しそうに《了解しました》と返事を返して、作業ロボットを集めて作業を開始した。
『レイフ、アルテローゼの修理も大事ですが、このままではレッドノーム号は火星軌道に戻って攻撃を再開してしまうでしょう。何とか私達でこの船を止めないと…』
アルテローゼの修理を開始するレイフに対して、レイチェルは焦った様子であった。
『その為にはアルテローゼの修理が必要なのだ。それともレイチェルは、沈黙する戦艦のコックのように、自分だけで艦橋を制圧するつもりなのか?』
レイチェルが映画の主人公のような戦闘力を持っていたとしても、全長二キロの宇宙戦艦をたった一人で制圧することは不可能である。レイフは少しでも可能性の高い方法を考えていた。
『大体、この船に一体何人の乗組員とガードロボットがいると思うのだ? 普通に無理だと分かるだろう』
《現在、この船には乗組員は二人だけです。ガードロボットは二百三十一体が稼働しています》
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