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第二章 軍団の誕生
第17話 シャワー後の食事会
しおりを挟む朝早くから作戦を開始したので、まだ外は若干冷える。
濡れた状態で、ここで待たせたのは少し気の毒になるので、すぐに対応を取る。
「姫様。
皆さんもきれいにしてもらいたいので、姫様からご説明願えませんか」
「かまいませんが、私と同じように大魔導士様がお手伝いくださるのですよね」
「ええ、お手伝いしますが、ミーシャと、そこの従者も方もお借りしたいのですが。
シャワーブースは十分に広くありますので、今度はここにいる5人の方を一遍に済ませたいかと考えております」
「それは良いお考えで、体も冷えているでしょうから助かります」
姫はそういうと、騎士たちに今あったことを説明して俺について行けと命じていた。
今度も姫は一緒に行動をしてくれている。
騎士たちが着ている服を抜き出したが、濡れていることもありしばらく時間がかかりそうだったので、姫を鏡の前まで連れていき、ドライヤーをかけて姫の髪を乾かす。
最初はおびえた表情を見せたが、髪が乾いていくうちに、嬉しそうに俺にされるがままの状態で待っている。
女性の髪のセットなど知らないので、半乾きの頃からブラシを使い、髪が跳ねるのだけを防いでドライヤーを終えた。
「ありがとうございます、大魔導士様」
こんなことだけで偉く感謝されたのがきまりが悪くなり、俺はシャワー室に逃げ出していった。
連れてきた騎士たちは全員、シャワーブースに分かれて入っているがお湯を出していない。
そういえば使い方を説明していなかった。
俺は一人ずつお湯を出しながら使い方を説明して回った。
後は姫たちの時と同じ作業をするだけだ。
途中まで俺が指導をしてからミーシャたちにヘルプを任せた。
ミーシャたち従者はジャージにしてあるが、騎士にはさすがにまずそうだ。
こちらの世界が中世ヨーロッパと同程度の文化水準と考えると彼女たち騎士はそれなりに立場もあるのだろう。
ここは姫と同様に……いや、さすがに姫とは差をつけないと彼女たちが納得しないかもしれないので作業着か戦闘服あたりを与えた方が無難だ。
本当は従者にもそれなりの服を貸し出したいのだが、あいにくめぼしいものはこの船にはない。
騎士たちは、俺の世界でいうところの兵士になるから戦闘服で問題は無いだろう。
聞かれたらそのように答えるつもりで、急ぎ近くに私室に入り、戦闘服を人数分そろえ、下着も同じように近くにあるものを持っていく。
幸い、この船はとにかく軍の規格に準拠しているので、海兵隊支給のフリーサイズのブラも多数ある。
船長や航海士のようなエッチぽい下着を着ている方がおかしいのだが、軍に準拠はしているが、下着まではうるさく言われていないことをいいことにおしゃれを楽しむ兵士もそれなりにいた。
本当はエッチぽいものを選んでつけてもらいたかったのだが、そろそろ面倒になってきたのもある。
この後、診療室にいるメンバーとも代わってもらい、あと4人は同じことをしないとまずい。
まあ、診療室は外と違い寒くはなっていないので、彼女たちのように体が冷えていることはないだろうが、それでも濡れた体だ。
できるだけ早く処理した方が、体調を維持するためにもその方がよさそうだ。
かなり急いだつもりだったのだが、診療室のメンバーまで含めて終わらせたのは船に戻ってから優に一時間は過ぎている。
いや、治療後からだけでも一時間は過ぎているから2時間近くは経っている。
別に時間に追われている訳でもないが、とにかく早く落ち着きたい。
この後交代で髪まで乾かしてもらってから、皆を食堂に連れていく。
診療室には一人以上残ってもらっているが、それでも昨夜まではミーシャと二人きりだったのとは違い偉くにぎやかだ。
今の船は、食堂に連れて行った人だけでも10名になる。
内訳は姫様の他にジャージを着た従者は二人、姫の護衛で一般兵士用の戦闘服を着せている騎士様が7名、それに俺だ。
まだ、昨日と同じ食事が使えるので、そのまま全員に食事を振舞った。
ミーシャには診療室で待機している兵士の分の食事を持って行ってもらった。
食事を振舞うと一様に驚きながら皆おいしそうに食べ始めた。
まずくはないが、俺はさすがに同じメニューで4食目になるので、今回は食べていない。
作戦開始前にも食事はしていたし、まだ昼間では時間がある。
朝5時過ぎから働いたので、十分に働いたと思っても昼にすらなっていない。
食堂の時計を見ても9時を回ったところだ。
俺は姫に一言断りを入れてから、一旦艦橋に戻る。
レーダーを確認したかったのだ。
さすがにあの海賊船はあれだけ壊したのでここまでは来られないだろうが、他にも海賊船などがいないとも限らない。
レーダーの検出範囲にいなければ、帆船しかないこの世界では1時間以上の安全は確保できる。
一応、風の向きと強さも確認しておくが、昨日の昼と同じで北東方向からの1~2mってところか。
夜にはほとんど無風になっていたが、これは季節的、それとも地域的な問題か、いや、たぶんたまたまなのだろう。
天気図が無いので予報もできないが、少なくともこの場所の気圧は快晴時のそれそのものだ。
尤も地球での話で、この世界では嵐の前触れってことは……ないか。
あまりあの人たちを放っておくこともできないので、知りたいことだけを調べてすぐに食堂に戻る。
食堂に入ると皆食事は済んでいたようだ。
「お食事は終わりましたか」
「ええ、船上でこれほどの食事を頂けるとは思ってもみませんでした。
祖国の宮中でもパーティーでもなければこれほどの物は食べられません。
大変感謝いたします」
「お世辞にしても褒められればうれしく思いますね。
この後、何か飲み物を召し上がりますか。
私も少し休憩がてら飲もうかと思いますので」
「え、そこまでして頂けるのですか」
「ええ、一人だけ飲むのも気が引けますし、どうしますか?
お酒は、あいにくこの船が軍艦であるので積んでおりませんが、それ以外なら大抵のご要望にお応えできますが、お茶でも入れますよ」
俺はそういってから、壁際にある自動サーバーで、紅茶を人数分入れた。
ティーカップを探すのも手間だったこともあり適当にマグカップに入れてお出しした。
「安物の紅茶ですのでお口に合うか心配です。
必要でしたら、ここに砂糖とミルクもありますからお使いください」
俺はそういってスティック状の砂糖をお出しして、冷蔵庫から牛乳パックを取り出した。
皇族相手に褒められた作法ではないことくらいは俺でもわかるいし、一応この船でもある程度立場のある方をお乗せすることも想定されているので、そういう食器類もあることは知っている。
ただ、どこに仕舞ってあるかまでは知らないだけだ。
なので、俺は使えない。
そのうちこの船を隅から隅まで調べないといけないか。
これも新たなミッションかな。
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