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第二章 軍団の誕生

第22話 みんなのシューズ問題

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 それらが済むころには全員の食事も終わっている。
 俺はミーシャとドーラに皆が食べた食器を洗浄機にセットするように説明して、一旦自分の部屋に戻りメジャーを探した。
 引き出しにしまってあるキーホルダーにメジャーは付いていることを思い出してそれをもって食堂に戻る。
 ついでに艦内Wi-Fiが使える端末も用意していく。

 それらを持って食堂に戻り、名前の順にメジャーで足のサイズを測った。
 フランからメジャーのメモリ部分を踏んでもらう。

「23.5cmか。
 まあ、予想通りだな」
「守様。
 何をなさっているので」
「ああ、皆の靴を用意ようかと考えている。
 見ると全員が裸足のようだし、当然持ち物も持っていないだろうからね」
「それはありがたいのですが……靴を用意できるのですか。
 私たちは店お抱えの職人に注文を出して靴を使っておりますが、守様は全員の靴をおつくりになされると」
「いや、あるもので間に合わせようかなと」
「え、そんなことが……」
「皆の今着ている服もそうだが、神様が私に用意してくれたものです。
 もとはこの船の乗員だった人たちと同じものを神様がこちらに船を持ってくる時に複製したと聞いております。
 なので、足のサイズの近いものを探そうかと」
「それでは偉く大変そうですね」
「いや、サイズさえわかれば元の所有者のデータもあるし、すぐにわかるから、それを集めれば良いだけだ」
 俺は彼女たちの疑問に答えながら全員のサイズを測定して、サイズごとのリストを作り直し、乗員データにアクセスして靴のサイズを探し出す。
 不思議と、乗員データにはアクセスできたというか、データーがそのまま残されていた。
 乗員データの他には在庫や備品などのリストや搭載武器に関する取説を含む各種データなどで、船長日誌を始め乗員の個人的なものまで含め日誌関連にはアクセスができないのは、前と同じだ。
 今回少し調べたのだが、乗員が個人的にしていただろSNSにもアクセスはできていないっていうか、作戦行動中だったはずなのに、個人所有の携帯端末も残っている。
 これ使えるかは不明だが、とりあえず集めて保管はしてある。
 でだ、アクセスできる乗員データからみんなの足のサイズに近い靴を探さないといけない。
 集めたデータを元にメモを取り、ミーシャとドーラを連れて船内を歩き回った。
 といっても食堂周辺だけで、11名分の靴は入手できた。
 複製なので、匂いは無いが、靴の傷み具合までもが正確に複製されている。
 尤も状態の酷いのは、元の船の特質上ありえないので問題ない。
 いくら民間だと言っても軍事に関することなので作戦行動中は支給品を使う。
 元の乗員の使用していた靴だが匂いがないのは助かるが、水虫の原因でもある白癬菌も無いよな。
 あれも生物の範疇のはずだし、それまでコピーされていると彼女たちに水虫をうつしてしまうからな。

 とにかく人数分、それもサイズまで問題なく集められたのは、集まった人が11名と少なく、また、標準体型だったことも幸いした。
 この場合前の乗員も、今回集まった人も例外なく標準体型だったことが、うまくいったのだが、この先さらに人が集まれば、そうもいかないだろう。
 服もそうだが、靴の方がよりシビアにサイズ問題が出てきそうだ。
 自分たちで作れるようにしていかないとまずいか。
 この世界に職人がいるようなので、その職人を仲間に抱えていくことも考えに入れておこう。

 全員に靴下と靴を渡して、履き方を教えて自分で履いてもらう。
 しばらくは、靴を脱いでは履く練習に時間を取った。

 本当に一から教えていかないといけないくらいに生活習慣が違いすぎる。
 もう少し落ち着いたら、俺の方もこの世界の習慣や常識といったものを学んでいこう。

 今日のところは移動をあきらめて、まず仲間になった人たちにこの船について学んでもらうことにした。
 まず、乗員用のプライベートスペースに割り振りたい。
 食堂近くのプライベートスペースは一般乗員用で、4人部屋になっている。
 なので、二部屋を確保するために中にある私物を片付けから始める。
 その前に、ケリーに部下の騎士たちを連れて艦橋に戻り、レーダー画面の見方を説明する。
「ケリー、この後私はみんなの寝床を用意するのでその間ここで、代わりを監視してほしい。
 まずは手分けしてこの画面を見ていく人を一人と、直接外を監視する人間を最低でも一人確保して、今後は交代で、この船の安全を守っていくことになる」
「安全……わかりました。
 守様、任せてください」
「わかったのなら、ケリーが直接監視するのではなく、部下にさせて、ケリーは……そうだな、その椅子にでも座って部下たちを見守ってほしい。
 それで何か変化があれば私を探してくれ」
「わかりました。
 それで、交代と申しましたが、監視をしない部下についてはどうしましょうか」
「今日は別になるが、自由にしてくれ。
 体を鍛える時間も必要だろう。
 もし組手や走るのならば後で後部デッキに案内するから、そこで自由にしてくれ。
 後は……そうだな、さっきの食堂あたりで休むのもいいかな。
 今日は後ろの部屋にソファーがあるからそこで休むなり仲間内での雑談でもしてもいいけど、艦橋で仕事中には勘弁してくれ」
「メリハリをつけるのですね、分かりました。
 それで守様は」
「ああ、ここをケリーたちに任せたのならば俺は食堂近くの部屋に騎士たちの寝床を用意する。
 準備ができたら、交代している者から案内するからそこで寝ていてもいいよ」
「わかりました、お任せください」

 とりあえず艦橋での仕事を割り振り、もう一度食堂に戻る。
 食堂にはミーシャの他に同僚のドーラとフランも俺のことを待っていた。
 まあ、これからすることは片付けなので、別にフランにも手伝っても大丈夫……本当に大丈夫なのかな。
 作業の監督だけなら問題ないだろう。
 俺は一緒に食堂を出て隣にある乗員部屋に入る。
 中にプライベート空間と言える各個人に与えられているロッカーがあるので、そのロッカーの中身をすべて出し、服や下着などは種類ごとにまとめてもらい、俺の部屋に運んでもらった。
 いや、元俺の部屋と言えばいいのか、今の俺は船長室を占領しているので、元居た俺の部屋をとりあえず備品部屋として使う。
 一応、ベッドや床に直置きなどして、集めた備品類と化した元の乗員が持ち込んだ服やその他私物を集めて整理していく。
 4人部屋だったので、ちょっとばかり量もあったが、それでも三人が手分けすればすぐに片付く。
 フランも種分けには手伝ってもらった。
 部屋からそれらをすべて出し終われば、隣の部屋も同様の作業をして、騎士たち8人分の寝床を確保した。
 かかった時間は二部屋でも2時間とはかかっていない。
 少し休憩後に、今度は砲術長の部屋に向かう。
 ここでも同じ作業をして部屋の中を片付けるが、一人分とはいえ、士官待遇のために私物の持ち込みが多いので、面倒だったが、それもすぐに終わる。
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