プレアデスの伝説 姫たちの建国物語

のらしろ

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第五章 飛躍のために新たなる挑戦

第80話 ジャングル探索

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「なんだと思うのですか」

 ダーナが彼女に聞いている。

「正直自信がありませんが……もし、天使族がまだいるようでしたら、その天使族ではないかと」

「え?
 かなり前に属滅したと聞いている天使族ですか」

 彼女の報告を聞いたフランが、かなり恐ろしいことを言っている。
 属滅だと、確かにこの世界は物騒ではあるが、種別ごと消えるなんて、その生息している地域に核爆弾でも落とさない限りありえないだろうと俺なんかは考えてしまう。
 しかし、この世界にはこの世界なりの事情もあるのかもしれないかな。

「天使族ですか。
 確かに、あれらの暮らしていた国は人族の国によって滅ぼされましたが、多くは人族の手により奴隷とされたと聞いております」

 サーシャが、これまた物騒なことを言っている。

「奴隷ならば、属滅は免れたのでは」

「いえ、これも言い伝えですが、あまりの仕打ちで、ほとんどが奴隷にされて死に絶えたと聞いております」

 聞こえてくる会話の内容があまりに酷い。
 しかし、これならわかる。
 あのカミサマでも平和とか文化とか言いたくなるようなえらく物騒な世界のようだ、この世界は。

「サーシャ様。
 我々エルフ族も同じような目にあい、逃げておりましたので、ありえない話ではないでしょうか」

「確かにそうですね。
 それに伝説では天使族からもプレアデスの姫は出てきておりますしね」

「森の中を調べる必要がありますね、守様」

「俺たちに対して危険がないなら、それに迫害される危険性があるようならば俺たちが保護するのもありかな」

「そうですね。
 守様の言われる危険についても問題は無いかと」

「問題ない?」

「ええ、天使族にもプレアデスの姫の伝説は伝わっているはずですから」

「そういうことか……なら、明日からでも森の中を調査してみるか」

「明日からですか」

「ああ、本格的に調べるのはこちらも準備がいるだろうから、まずは森の中の様子を知る意味でも近くを探索していこう」

「わかりました。
 今回調査に協力した者たちを守様に付けますので、ご自由にお使いください」

「でしたら、私の方でも守様の護衛に数人付け、私が指揮を執ります」

 ケリーが俺を守ると言ってくれた。
 本当に令和日本ではありえないような待遇の変化だと俺は密かに喜んでいる。

 翌日には、すっかり準備の整った冒険隊が目の前にあった。

「え?
 これって……」

「初めて入る森ですから、準備だけはしっかりとしないと」

「ええ。私たちは守様のおかげで、食料についての準備が簡単でしたので」

「そうですね。
 キャラバンで一番頭を悩ますのが食料ですから。
 それをしないで済むのなら、準備なんか無いも等しいですね」

「そ、そんなものなんですか……」

 俺は思わず聞いてしまったが、どうやらこの世界では常識の範疇らしい。
 そもそも、冒険に出るような者たちは、日ごろからある程度自衛のための装備類は確保してある。

 準備と言えども、それらの装備の確認くらいで、その大半を食料調達に充てるとか。
 まあ、俺からしたら、知らない世界のことなので、お任せしかないが……そういえば俺も似たようなものか。

 防衛隊から支給品をあさるくらいしかしていない。
 今回は危なくなったら引き返すことを前提にしているので、傭兵時代での装備だけでもいいような気もするが、せっかくあるのならば使わない手は無い。

 と言っても、小銃程度しか俺は使い方を知らないので、それ以上は持ち出さなかったが、そう言えば俺にはあのカミサマからの恩恵があったのだ。
 触れば使い方をマスターできるといった恩恵が。

 だったら、それ以外の携帯ランチャーなんかもあっても良いかとも思うが、ドラゴンでも倒そうとしない限り、使わないだろうから、ただ重いだけなのでそのまま小銃と弾薬だけを持ち、一緒にキャラバンに加わった。

 俺たちは斥候役のダークエルフたちを先頭にジャングルに中に入っていった。
 浜からすぐは、付近を偵察していることもあり、ブッシュなどが刈り取られて歩きやすかったのだが、すぐにブッシュに囲まれる。
 この状態が、この辺りでのデフォルトなのだろう。


 先頭を歩くダークエルフたちが、じゅぶんたちの武器である短めの剣を使ってブッシュを買ってくれるので、その後を歩く俺やケリー達は前を歩くダークエルフたちよりはましなのだろうが、所詮俺は海の人間だ。
 すぐに顎が上がり始めた。

「大丈夫ですか、守様」

 俺が遅れがちになっているので、ケリーが心配して声をかけてきた。
 すでに拠点を出発してから2時間は経っているのだが、進んだ距離というのが甚だ情けない。
 多分、俺が足を引っ張っているのだろう。

「悪い、そろそろ休みを入れてほしいかな」

「そうですね。
 いい頃合いですね」

 ケリーはそういうと。部下に命じて前を歩くダークエルフに小休止の剣を伝える。
 すぐに先頭を歩いていたダークエルフが俺のところまで戻り詫びを入れてきた。

「すみませんでした、守様」

「すみません?
 なんでだ」

「守様のペースを考えずに行軍したことです」

「ああ、それはそれ……おれが情けなくなるからあまり大声では言えないが、こういうブッシュだらけの所を歩くのは初めてなんだ。
 こんなにも体力を消耗するなんて考えなかったよ。
 所詮、俺は海の人間だな」

「海の人間……よくわかりませんが、守様が森の中を歩きなれていないことだけはわかりました。
 休憩後はペースを落として進みますね」

「ああ、そうしてもらえると助かる」

「ええ、守様ほどではありませんが、私たちも慣れておりませんから、少々きつくはありましたね」

 ケリーが気を利かせて俺の情けなさをカバーしてくれたが、しかし、ダークエルフは凄いな。
 エルフ族って森の人って物語に描かれることが多いが、ダークエルフもそうなのだろうか。

 あ、ハイエルフのサーシャを守っていたのも彼女たちだったな。
 そういう意味では森にも長けているんだろう。

 そういえばそんな森の専門家が船で逃げ出すなんてどんなことがあったのかな。
 海にも森にも強い種族なんだろうか、いや、種族というよりも彼女たちが鍛えているからなのかな。

 そういえば俺のいた世界でも、海兵隊員もそんな感じだったような気がする。
 尤もこれは海兵隊員の友人から聞いた話だけだけど、そういう人たちもいるのだろう。

 俺も、この世界で生きていく覚悟を決めるのならば、鍛える必要がありそうだな。
 少なくとも、この島に拠点を置く以上、この島の地形くらいには精通しなければならないな。
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