サイクリングストリート

けろよん

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第一章 自転車になったお兄ちゃん

第12話 魔王を追って 4

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 気分の晴れない日が続いた。
 ある日の放課後。結菜が帰ろうとすると美久が声を掛けてきた。

「結菜様、お待たせしました。あたし達で魔王マッキーの現れた場所を調べてきました!」
「マッキー?」
「はい、あの魔王はそう名乗っていましたからね」

 魔王は黒田麻希と名乗っていたけれど。そう思っていると美久は大きな紙を取り出した。

「どうぞご覧になってください! これがあたし達の調査結果です。どーん」

 美久は自信満々でその大きな紙を机の上に広げた。
 それはこの町の地図だった。
 道路や建物や各種施設や山の場所などあらゆる情報が細かく書かれている。
 そのコピーした地図の上に魔王が現れた場所にペンで印が入れてある。結菜がぼんやりと黙って見ていると美久が話を続けてきた。

「あたし達で手を出そうかとも思ったんですけどね。勇者と魔王の戦いに横槍を入れるのも野暮というものですから、自重しました。どうぞこれを手助けに魔王マッキーの野望を打ち砕いてください!」
「ごめん、わたし勇者とか魔王とかもうそんな年じゃないから」
「勇者様!」

 美久の声を振り切って、結菜は教室を飛び出していった。


 結菜には美久がどうして自分に好意的に協力してくれているのか理解出来なかった。
 自分は彼女に何もしてやれていないと思う。クラスの仲だってそれほど良いわけじゃない。
 彼女は委員長で自分はクラスの一員だ。もしかしてそれで彼女に気を遣わせているのかもしれない。
 自分がクラスに馴染んでいないから、それでわざと道化のように明るく振る舞って接してきているのではないか。
 委員長になるほどの人望があり、頭の回転も良さそうな人だからありそうなことだと思った。
 美久のことだけじゃない。
 他にも考えたくないことはいろいろあった。
 兄が自転車になっていることもそうだ。でも、言うわけにはいかなかった。
 誰にも言えないことだから。
 兄は言わないで欲しいと言ってたし、自分も言うつもりのないことだから。
 それにどう言ったらいいのか分からない。
 兄が自転車だと話したら姫子や美久はどんな反応をするのだろうか。
 想像するのも嫌なことだった。すぐにその思考を振り払う。
 結菜は駐輪場に駆け込んで、自転車に乗って走り出す。兄がいつものように話しかけてくる。
 それはすっかり慣れたいつもの日常のように。
 
「結菜、どうした? 泣いてるのか?」
「泣いてない!」
「最近辛そうだぞ」
「だって、みんな魔王を捕まえることばかり考えて!」

 信号が赤になる。結菜は自転車を止めた。目の前を車が左右に横切っていく。
 日常の光景がどこか遠くに感じられる。
 兄は優しく話しかけてくる。

「いいことじゃないか。みんな協力してくれてるんだろ?」
「だって、魔王を捕まえたらお兄ちゃんが元に戻って……」
「だから、そのために頑張ってくれてるんだろ? ありがたいことじゃないか」
「それは……そうだけど……」

 結菜は口をつぐんでしまう。
 信号が青になる。結菜は走り出そうとして、止めた。
 交差点の向こうに姫子がいた。兄の大好きな彼女は結菜に一礼して自転車で軽く走って横断歩道を渡って来た。


 合流した結菜と姫子は近くの小さな公園に入った。
 公園の隅で二人で一緒に自転車を止める。
 結菜は姫子の自転車を見た。喋らない自転車を見て言う。

「姫子さんの自転車って良い自転車ですよね」

 褒められて姫子は嬉しそうに微笑んだ。

「はい、やっぱり走りやすい自転車の方が写真を撮りに行くのにも便利ですからね。少し高価でしたけど、頑張って奮発しちゃいました。通学用の指定があるのであまり派手な物を買うわけにはいきませんでしたけど。結菜さんのも良いと思いますよ」
「わたしのは新しいだけだから。それで今日はどうしてこっちに?」

 姫子と学校の近くで会うのは初めてだ。わざわざ会おうと思わなければ会うはずが無いと思った。

「結菜さんの学校を一目見ておこうかと思ったんです」

 姫子は普段は来ないこの辺りの地域へ来た目的をそう語った。

「見に行かなくていいんですか? わたしの学校」
「はい、結菜さんに会うのが一番の目的でしたから」

 今日の姫子はいつもと違った感じに見えた。ふんわりしていると言うか臆病な所が消えて達観しているようなところが感じられた。
 その理由を悠真は見抜いていた。

「姫子さん、疲れているな。俺が会えないでいつまでもこうしているからだな。姫子さん……」

 その言葉に結菜は言うことを決意した。姫子に向かって話しかける。

「姫子さん」
「なに?」
「お兄ちゃんのことなんてもう忘れたら?」

 結菜が決心して言ったその言葉に慌てふためいたのは悠真だけだった。

「何を言い出すんだ、結菜ああああ!」

 その叫びに結菜も姫子も耳を貸さない。結菜は聞くつもりはないし、姫子には聞こえていなかった。結菜は話を畳みかけることにした。
 これが一番良いと確信出来たから。

「姫子さんも高校生になったんだし、これから良い出会いがきっとあるよ。お兄ちゃんなんて全然もてない冴えない男子なんだし、姫子さんならもっとかっこいい人がきっといるよ」
「結菜あああ!」

 悠真は叫ぶ。姫子は優しく首を振っただけだった。

「ごめんなさい、結菜さん。わたしのためを思って言ってくれてるんですよね。でも、けじめは付けたいんです。悠真さんとの関係をこれからどうするにしても、きちんと会って話し合ってから決めたいんです」
「でも、そんなのいつになるか分からないし」

 結菜が食い下がると、姫子はおかしそうにくすくす笑った。

「いつまでもはわたしも待つ気はないですけどね。それでも今は……探しに行ってきますね」

 姫子は自分の自転車のところに歩いて行くと、それに乗って走り去っていった。
 その姿が見えなくなるのを待ってから、悠真がどなりこんできた。

「結菜、お前、お前、姫子さんが別れると言ったらどうするつもりだったんだああああ!」
「だって、問題がここまで解決しないなら身を引くのも一つの手じゃないの。お兄ちゃんだって姫子さんにこれ以上迷惑は掛けたくないでしょ?」
「それはそうだけど、それとこれとは別問題だああ! 姫子さんに捨てられたら俺は泣くううう!」
「もう泣いてるじゃない。全く」

 結菜は呆れつつ自転車をこぎ出そうとした。だが、その前によく知っている声に呼び止められて足を止めた。

「結菜、まだここにいたのだな。よかった」
「葵さん」

 自転車に乗ってやってきたのは葵だった。

「すぐそこで会ったんです。話があるって言うから」

 さっき別れたばかりの姫子まで連れてきている。結菜は気まずさを感じていた。
 葵は公園の隅のテーブルとベンチに目を留めた。

「ちょうどいい。ここで作戦会議といこう」

 結菜にとってはちょうどいい気分ではなかったが、自分の兄の問題のことで断るわけにもいかないので付き合うことにした。


 葵は公園の隅のテーブルに地図を広げた。町の地図にいくつかペンで印が入れてあり、美久が持ってきた物と似ていると結菜は思った。

「あれから町を走り回っていくつか黒い棒を見つけたんだ。それがこの印を付けている場所だ」

 姫子は葵が指し示したその地点をじっと見つめた。

「わたしもいくつか見つけたんですけど、こんなにあったんですね」
「ここからある法則が見つけ出される。魔王はこの町を狙っているということだ!」
「この町を!」

 結菜と姫子はびっくりした。麻希が何かを企んでいるとは思っていたけど、まさか町を狙っているとは思わなかった。
 姫子はその脅威を感じながら話をした。

「この町を狙って、それで悠真さんをさらったんでしょうか? でも、何のために?」
「何のためか。そうだな、何のためなんだろうな。あいつをさらってもたいして役に立つとは……いや、役には立つか」
「役に立つの?」

 葵の言葉を聞いて結菜は驚いた。兄が役に立つとは意外だったのだ。
 その理由を葵は腹を立てているように語った。

「ああ、そもそも奴がいればこのわたしが直接走り回って、この地図に書いたことを全部自分で調べるなんてことをする必要はなかったのだからな。9割ぐらいは丸投げしてやったのに、悠真の奴め、一体どこでさぼっているのか」

 葵は地図から結菜と姫子に視線を上げた。

「そう言えば君達にはまだ我がサークルがなにをしているのか話していなかったな」
「はい」

 結菜はうなずく。
 地図部とか言っていたのは聞いたが、具体的な活動内容までは聞いていなかった。

「地図を作っているとは聞いていたんですけど」

 姫子が知っているのもその程度の事のようだった。
 葵は説明した。

「姫子さんの言った通り、我々は地図を作っているのだよ」
「これをですか?」

 結菜はテーブルに置かれた地図を目で示した。
 葵は首を横に振った。

「こんな物じゃない。もっと壮大な、実際に現地のその場所の景色が分かるような地図だよ」
「そんなことが可能なんですか?」

 結菜と姫子は揃って目をぱちくりさせた。このことまでは悠真と付き合いのある姫子も知らないようだった。葵は話を続けた。

「君達は先生と呼ばれる人物を知っているだろうか」
「学校の先生ですか?」

 結菜にとってはそれぐらいしか思いつかなかった。
 葵にとってはそうではなかった。

「そうじゃない。ネット上で先生と呼ばれている人物だ」
「ネット上で……先生?」

 そう言われてもネットを見ていない結菜にとってはぴんと来なかった。
 姫子の方を見てもぴんと来ていないようだった。
 二人して少し不思議な気分になってしまう。
 でも、どこかで聞いた名前のような気がした。
 結菜が思い出すのを待たず、葵は話を続ける。

「先生はその景色が実際に見れる地図を作ったんだ。ネット上でもたいそう話題になったものだよ。だが、我々はそれを気に入らなかった。美しくなかったからだ」
「美しくない?」

 結菜は話についていけなくなってきた。美しくないから何だというのだろう。地図なんて道が分かればそれでいいのではないだろうか。
 だが、葵はそうは思っていないようだった。地図について力説する。

「そうだ。そこにあったのはただ風景を撮っただけの地図だったんだ。美しさも情緒も何もない景色が撮られたその地図を見て、わたしと悠真は複雑な気分になったものだよ」
「わたし分かります。写真にも綺麗に撮れる場所や時間がありますから、ただ何となく撮るだけではもったいないと思います」

 葵の意見に姫子が賛同する。結菜にはよく分からなかった。風景の写真をどう撮るかがそれほど重要なのだろうか。景色なんて見れればそれでいいと思うが。
 姫子の言葉に葵はうなずいた。

「さすが写真を趣味にしている者は話が早いな。そこで我々は先生とは別に独自に地元の地図を作ることにしたのだよ。それが我々、地図部の始まりなのだ」
「でも、それでどうして悠真さんがさらわれたんでしょうか」
「さあ、魔王の企みは何なのだろうなー」

 結局そこに戻ってしまう。葵も考え込んでしまった。だが、その沈黙の時間で結菜はひらめいた。

「そうだ、魔王だ」

 葵と姫子は顔を上げて結菜を見つめた。

「何か気づいたか?」
「結菜さん?」

 二人の視線に結菜は答えた。

「魔王が言っていたんです。先生がどうとか……言ってたような気が……?」
「他には何か?」
「悠真さんのことは?」

 二人に強く見つめられて、結菜は戸惑いつつ何とか思い出そうと試みた。

「うーん、お兄ちゃんの地図を先生が褒めていた……とか? うわああ!」

 葵は結菜の両肩を掴んで揺さぶった。

「なぜそれを早く言わないんだーーー!」
「だってーーー!」

 結菜としてはただ今まで言うような機会が無かっただけだった。今でもそれがたいして重要な情報だとは思わなかった。
 あの兄が褒められていたからと言ってそれが何だというのだろう。
 姫子は落ち着いて冷静に考えた。

「魔王はその先生の関係者だったんでしょうか?」

 葵の答えは固まったようだった。自信たっぷりに断言する。

「間違いない。奴ら自分達の地図作りのためにわたしの所から悠真を引き抜いたんだ。きっと今頃はいいように使われているに違いない。ちくしょう、悠真を使うのはわたしなのにー」
「悠真さん……」
「探すぞ!」
「はい!」
「待って!」

 飛び出そうとする二人を結菜は呼び止めた。

「どうした? まだ何か思い出したことがあるのか?」
「でも、早く悠真さんを見つけないと」
「違うんです。そういうことじゃなくて、もうこの問題には関わらないで欲しいんです。これはわたしのお兄ちゃんの問題だから」
「確かに君にとってはわたし達は他人かもしれない。だが、悠真に戻ってきてもらわないと困るのはわたし達も同じなんだ」

 葵の言葉に姫子もうなずいた。

「そうです。わたし達だって悠真さんを見つけたい気持ちは同じだから、何も悪く思うことはないんですよ」
「同じ……同じって……」

 迷う結菜を葵が見つめる。

「それとも君はお兄さんに戻ってきて欲しいとは思ってないのか?」
「それは思ってるけど、でも……葵さんは便利に使える人が欲しいだけでしょ。だったら、他の人を探してもいいじゃない。お兄ちゃんを好き勝手にこきつかわないでよ。姫子さんだって……姫子さんならもっと良い人がいくらでも見つかるだろうに……だから……」
「結菜さん……悠真さんは悠真さんなのよ。もっと良いとかそんなのじゃないの。それは結菜さんにだって分かるでしょ?」
「うん……」
「わたしも頑張るから……探しましょう」

 姫子は結菜を励まし、自分の自転車のところに向かった。

「まあ、なんだ。君は悠真に一番近い存在だ。取られたくない気持ちは分かるが、あまり思いつめるな。我々は仲間だ。そもそもあいつがいないと取り合いも出来んしな」

 葵も行く。結菜も自分の自転車のところに向かった。兄が声をかけてくる。

「結菜……」
「わたし何のために頑張っているのか分からない。お兄ちゃんはここにいて、話も出来るのにどうして探さないといけないのか分からない……」
「だが、俺はこのままではいられない。それはお前にも分かるだろ?」
「うん、それは分かるけど」
「先生や麻希の企みが俺がこうなった原因に直接関わっているかは分からないが、それでも頑張ってきたんだろ」
「うん」
「俺はお前のことをずっと見てきた。自転車になるよりも前からだ。お前は出来る奴だ。だったら最後まで頑張れるはずだ」
「……分かった」

 結菜はペダルをこぎ出す。公園の入り口で出発しようとする二人に声をかけた。
 気があまり乗らなくても、とにかくこの問題を解決しないと前には進めない。だったら決意をするしかなかった。
 やる気がなくても前に進む。結菜の道はそれしかない。だったらやる気を出す。無理やりにでもそう決めた。

「待って。手掛かりはあります」
「手掛かり?」
「わたしの友達も魔王のことを調べてくれたんです。取ってきますから待っててください」

 結菜は学校へ走った。校門の所で二人を待たせ、教室に駆け込む。
 探す人はまだ教室にいた。結菜は急いで話しかけた。

「高橋さん、あの地図を貸してください!」
「結菜様、魔王と戦う決意をされたんですか?」

 美久はぱっと顔を輝かせた。結菜は答えた。

「はい!」

 結菜の自信に満ちた態度と答えに、美久は嬉しそうに微笑んだ。

「それでこそ伝説の勇者! 頑張って! 応援してますから!」

 結菜は美久から地図を受け取って教室を飛び出していった。
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