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第二章 真理亜と古の王サラマンディア
第23話 狼牙と箒からの報告
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放課後になった。授業が終わって解放感に包まれる教室。これから部活に行く人もいれば帰宅する人もいる。ひかりは帰宅する方の側である。
鞄の中に荷物をまとめて帰ろうと思っていると、廊下の方からバタバタと騒がしい足音がした。
また二人が来たのかと思ったが、今度は一人しかいなかった。慌てた様子で入ってきたのは狼牙だ。
「師匠! 大変です!」
「どうかしたの? 狼牙君」
「真理亜の奴が……呼び出すって!」
「え? 誰を?」
何だか知らないが大変なことのようなので、ひかりは狼牙に案内されて付いていくことにした。その動きには同じ教室にいたクラスメイト達も注目していた。
「何だろう」
「夜森さんが連れていかれるなんて」
「行ってみようよ。面白そう」
「おう、行こうぜ」
みんな中学生らしく好奇心が旺盛だ。以前にはドラゴンとヴァンパイアの戦いを興味深く見ていたこともあった。
雑談していたクラスメイト達も急いで二人の後に続いていき、
「真理亜の奴、もう何かをするつもりなのか……?」
訝し気に様子を見ていた紫門も後に続いていった。
生徒会室の窓から辰也は外の様子を見ていた。ここからは校庭の様子がよく見える。
校庭に生徒達が集まって何かをしようとしている。中心にいるのは一年生の少女だ。
仏頂面で黙って見ている彼の背後から、部屋に入ってきた副会長の箒が声を掛けてきた。
「外の様子が気になるの? 辰也」
「フン、くだらん奴らが集まって学校の品位を落としたりしないかと心配しているだけだ」
「情報を聞いてきたんだけど、聞きたい?」
外で聞き込みをしていた箒は軽やかに椅子に座った。その瞳は聞いて聞いてと自慢気に輝いてうざかったが、情報収集だ。辰也は訊ねることにした。
「一応聞いておこうか。奴らは何をくだらんことをしようとしているんだ?」
「これは耳寄りな話なんだけどねえ……」
前置きしておいて、箒はもったいつけるように一呼吸置いてから続けた。
「ヴァンパイアを召喚しようとしているらしいよ」
「は……?」
思わぬ言葉に辰也はポカンとなった。箒はニコニコしながら座っている椅子を回して足をぶらぶらさせている。辰也は事態を飲み込んで言った。
「ひかりを呼び出してどうしようと言うんだ?」
「さあ、気になるなら辰也も現場に行ってくれば」
「フン、くだらん」
吐き捨てて辰也は箒から目を離し、踵を返して再び窓から校庭の様子を見下ろした。
「何かあれば向こうから言ってくるだろう。せいぜい今は王のお手並みを拝見しようではないか。俺を倒した奴のお手並みをな」
「うん、ひかりちゃんなら頑張れるよね。あたしも見ようっと」
仏頂面で見下ろす辰也の傍に箒はニコニコしながら駆け寄った。
鞄の中に荷物をまとめて帰ろうと思っていると、廊下の方からバタバタと騒がしい足音がした。
また二人が来たのかと思ったが、今度は一人しかいなかった。慌てた様子で入ってきたのは狼牙だ。
「師匠! 大変です!」
「どうかしたの? 狼牙君」
「真理亜の奴が……呼び出すって!」
「え? 誰を?」
何だか知らないが大変なことのようなので、ひかりは狼牙に案内されて付いていくことにした。その動きには同じ教室にいたクラスメイト達も注目していた。
「何だろう」
「夜森さんが連れていかれるなんて」
「行ってみようよ。面白そう」
「おう、行こうぜ」
みんな中学生らしく好奇心が旺盛だ。以前にはドラゴンとヴァンパイアの戦いを興味深く見ていたこともあった。
雑談していたクラスメイト達も急いで二人の後に続いていき、
「真理亜の奴、もう何かをするつもりなのか……?」
訝し気に様子を見ていた紫門も後に続いていった。
生徒会室の窓から辰也は外の様子を見ていた。ここからは校庭の様子がよく見える。
校庭に生徒達が集まって何かをしようとしている。中心にいるのは一年生の少女だ。
仏頂面で黙って見ている彼の背後から、部屋に入ってきた副会長の箒が声を掛けてきた。
「外の様子が気になるの? 辰也」
「フン、くだらん奴らが集まって学校の品位を落としたりしないかと心配しているだけだ」
「情報を聞いてきたんだけど、聞きたい?」
外で聞き込みをしていた箒は軽やかに椅子に座った。その瞳は聞いて聞いてと自慢気に輝いてうざかったが、情報収集だ。辰也は訊ねることにした。
「一応聞いておこうか。奴らは何をくだらんことをしようとしているんだ?」
「これは耳寄りな話なんだけどねえ……」
前置きしておいて、箒はもったいつけるように一呼吸置いてから続けた。
「ヴァンパイアを召喚しようとしているらしいよ」
「は……?」
思わぬ言葉に辰也はポカンとなった。箒はニコニコしながら座っている椅子を回して足をぶらぶらさせている。辰也は事態を飲み込んで言った。
「ひかりを呼び出してどうしようと言うんだ?」
「さあ、気になるなら辰也も現場に行ってくれば」
「フン、くだらん」
吐き捨てて辰也は箒から目を離し、踵を返して再び窓から校庭の様子を見下ろした。
「何かあれば向こうから言ってくるだろう。せいぜい今は王のお手並みを拝見しようではないか。俺を倒した奴のお手並みをな」
「うん、ひかりちゃんなら頑張れるよね。あたしも見ようっと」
仏頂面で見下ろす辰也の傍に箒はニコニコしながら駆け寄った。
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