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第二章 真理亜と古の王サラマンディア
第31話 追われる真理亜、骨の魔物の謎
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朝、登校してきた学校。教室に入って、ひかりはいつものように自分の席に着く。
昨日は夜遅くまで戦っていたので朝から眠かった。大きくあくびをしてしまう。まあ、ひかりにとって朝眠いのはいつものことだけど。
それよりも驚くべきことは学校にいるみんなだ。
夜遅くまで起きていたのはあの戦いを見物していたみんなも同じはずなのに、なぜみんなこんなに朝から賑やかで元気で活発なのか、秘訣があるなら教えて欲しいところだった。
紫門が来て隣の席につきながら挨拶してくる。
「おはよう、ひかり」
「おはよう、昨日はお互いに大変だったね」
「ああ、まったくだ。妹の奴まだ元気が有り余っててな。あれからも大変だったよ」
「あはは……」
どうやら真理亜もまだまだ元気らしい。気落ちしていないなら安心だ。
今何やってるのだろうかと思っていると騒がしい音を立てて本人がやってきた。
昨日の今日でどんな顔を見せてくれるのかと思っていたら、真理亜は何だかとても切羽詰まった顔をしていた。
「助けて、お姉さん! 追われているの!」
「ええ!?」
真理亜ほどの美少女が追われているなんて穏やかではない。どんな変態だ。いや、こんな強いハンターを追うなんてどんな危険人物かと思うべきだろうか。
真理亜は安全地帯に逃げ込むようにひかりの背後に回ってきた。追っ手はすぐにやってきた。
別に危険人物でもさらに物騒なハンターでも何でもなかった。ただのこの学校の一年生の生徒達だった。
「真理亜ちゃん、逃げないでよ!」
「あたし達と話をしようよ!」
「何があったんだ?」
紫門が上級生としての威厳を持ちながら一年生に問うと、下級生達は素直に答えてきた。
「僕達はただ真理亜ちゃんと友達になりたいだけなんです!」
「彼女すぐに教室を出て行っちゃうし、体育の時間でもすぐに一人で隅っこに行っちゃうから」
「昨日のこと教えてよ」
「もっと話をしよう」
「うるさい! あたしには友達なんていらないのよ!」
ひかりの背後からとんでもない爆弾発言を飛ばす真理亜。
友達になりたいと言われているのに断るなんてどんな上流階級様だろうか。いや、真理亜はまだ転校してきたばかりで慣れていないのかもしれない。
ひかりは頼られる上級生として下級生の間違いを放っておくわけにはいかなかった。
そっと彼女の手を優しく取って言った。
「真理亜ちゃん、そんなこと言っちゃ駄目よ」
「だって戦場では誰も頼れる人はいないのよ。自分の力で生きていかなきゃ駄目なの」
戦場とは穏やかではない。どんな教育を受けてきたのだろうか。ハンターとしての教育か。
ひかりはへこたれずに言葉を続ける。
「ここは戦場じゃなくて学校。ヴァンパイアがどうして強いか分かる? 彼女も一人では決して強くない。仲間がいるから強くなったのよ」
「仲間がいるから……」
「だから、真理亜ちゃんも強くなって。仲間を作ってクラスの王様になってよ」
「……お姉さんがそう言うなら……」
真理亜が仲間の方を見る。紫門がその背を強く押した。
「ほら、分かったらさっさと行け」
「お兄ちゃん、押さないでよ! わああああ!」
一年生にあっという間に囲まれてしまう真理亜。みんな笑顔でとても歓迎されている。
いくら凄腕のハンターでも多勢に無勢のようで、クラスメイトに向かって手を上げるわけにもいかないようだった。
真理亜が連れていかれる。せっかく友達が誘いに来てくれたんだから友達の中にいて欲しいとひかりは思う。
そして、出来ればリア充としての生活を教えて欲しいとも。
「失礼しました」
礼儀正しい挨拶を残して一年生達が去っていく。紫門も礼儀正しく挨拶を返していた。
「もう二度と来るなよー」
「お姉さん! あたしきっとまた来るからねー!」
そんな真理亜の声を残してチャイムが鳴った。朝の予冷のチャイムだ。もうすぐ一時間目の授業が始まる。
「夜森さん、さすがねー」
「えへへ」
クラスメイトからの称賛の声に何がさすがなのか分からなくて苦笑いで誤魔化しておく。
真理亜が明るく楽しい学校生活を送ってくれるなら何よりだと思うひかりだった。
真理亜は教室にいてさらに強固な自分の地盤を作ろうとしている。
その動きを感じ取った狼牙は進んで彼女の見張りにつくことを申し出てくれた。
ひかりには特に言うことはなかったので好きに任せておいた。
一年生が来なくなって平穏になった教室。昼休みに紫門が声を掛けてきた。
「ひかり、昨日のことだが」
「昨日のこと?」
「いや、やはり止めておくか。そちらはそちらで調べるだろうし、俺の手を貸すことでもないだろうからな」
「?」
疑問に思いながらも弁当を出すひかり。言いたくないなら無理に聞き出すような趣味は無かった。
紫門には思い出していたことがあった。あの骨の魔物。それをヴァンパイア祭りの時に学校に展示していた資料で見たことがあったのを。
あの時はヴァンパイアについて調べていたので他の事は流し見程度にしてしまったが、詳しく調べれば分かることがあるはずだった。
「さすがは地元の事は地元の人間の方が詳しいか」
放課後から調査にひかりを誘おうと思ったが止めておいた。魔物を倒すのはハンターの仕事だから。
それにあまりヴァンパイアに肩入れするのも真理亜に対して申し訳がないと思った。
チャイムが鳴って午後の授業が始まった。
昨日は夜遅くまで戦っていたので朝から眠かった。大きくあくびをしてしまう。まあ、ひかりにとって朝眠いのはいつものことだけど。
それよりも驚くべきことは学校にいるみんなだ。
夜遅くまで起きていたのはあの戦いを見物していたみんなも同じはずなのに、なぜみんなこんなに朝から賑やかで元気で活発なのか、秘訣があるなら教えて欲しいところだった。
紫門が来て隣の席につきながら挨拶してくる。
「おはよう、ひかり」
「おはよう、昨日はお互いに大変だったね」
「ああ、まったくだ。妹の奴まだ元気が有り余っててな。あれからも大変だったよ」
「あはは……」
どうやら真理亜もまだまだ元気らしい。気落ちしていないなら安心だ。
今何やってるのだろうかと思っていると騒がしい音を立てて本人がやってきた。
昨日の今日でどんな顔を見せてくれるのかと思っていたら、真理亜は何だかとても切羽詰まった顔をしていた。
「助けて、お姉さん! 追われているの!」
「ええ!?」
真理亜ほどの美少女が追われているなんて穏やかではない。どんな変態だ。いや、こんな強いハンターを追うなんてどんな危険人物かと思うべきだろうか。
真理亜は安全地帯に逃げ込むようにひかりの背後に回ってきた。追っ手はすぐにやってきた。
別に危険人物でもさらに物騒なハンターでも何でもなかった。ただのこの学校の一年生の生徒達だった。
「真理亜ちゃん、逃げないでよ!」
「あたし達と話をしようよ!」
「何があったんだ?」
紫門が上級生としての威厳を持ちながら一年生に問うと、下級生達は素直に答えてきた。
「僕達はただ真理亜ちゃんと友達になりたいだけなんです!」
「彼女すぐに教室を出て行っちゃうし、体育の時間でもすぐに一人で隅っこに行っちゃうから」
「昨日のこと教えてよ」
「もっと話をしよう」
「うるさい! あたしには友達なんていらないのよ!」
ひかりの背後からとんでもない爆弾発言を飛ばす真理亜。
友達になりたいと言われているのに断るなんてどんな上流階級様だろうか。いや、真理亜はまだ転校してきたばかりで慣れていないのかもしれない。
ひかりは頼られる上級生として下級生の間違いを放っておくわけにはいかなかった。
そっと彼女の手を優しく取って言った。
「真理亜ちゃん、そんなこと言っちゃ駄目よ」
「だって戦場では誰も頼れる人はいないのよ。自分の力で生きていかなきゃ駄目なの」
戦場とは穏やかではない。どんな教育を受けてきたのだろうか。ハンターとしての教育か。
ひかりはへこたれずに言葉を続ける。
「ここは戦場じゃなくて学校。ヴァンパイアがどうして強いか分かる? 彼女も一人では決して強くない。仲間がいるから強くなったのよ」
「仲間がいるから……」
「だから、真理亜ちゃんも強くなって。仲間を作ってクラスの王様になってよ」
「……お姉さんがそう言うなら……」
真理亜が仲間の方を見る。紫門がその背を強く押した。
「ほら、分かったらさっさと行け」
「お兄ちゃん、押さないでよ! わああああ!」
一年生にあっという間に囲まれてしまう真理亜。みんな笑顔でとても歓迎されている。
いくら凄腕のハンターでも多勢に無勢のようで、クラスメイトに向かって手を上げるわけにもいかないようだった。
真理亜が連れていかれる。せっかく友達が誘いに来てくれたんだから友達の中にいて欲しいとひかりは思う。
そして、出来ればリア充としての生活を教えて欲しいとも。
「失礼しました」
礼儀正しい挨拶を残して一年生達が去っていく。紫門も礼儀正しく挨拶を返していた。
「もう二度と来るなよー」
「お姉さん! あたしきっとまた来るからねー!」
そんな真理亜の声を残してチャイムが鳴った。朝の予冷のチャイムだ。もうすぐ一時間目の授業が始まる。
「夜森さん、さすがねー」
「えへへ」
クラスメイトからの称賛の声に何がさすがなのか分からなくて苦笑いで誤魔化しておく。
真理亜が明るく楽しい学校生活を送ってくれるなら何よりだと思うひかりだった。
真理亜は教室にいてさらに強固な自分の地盤を作ろうとしている。
その動きを感じ取った狼牙は進んで彼女の見張りにつくことを申し出てくれた。
ひかりには特に言うことはなかったので好きに任せておいた。
一年生が来なくなって平穏になった教室。昼休みに紫門が声を掛けてきた。
「ひかり、昨日のことだが」
「昨日のこと?」
「いや、やはり止めておくか。そちらはそちらで調べるだろうし、俺の手を貸すことでもないだろうからな」
「?」
疑問に思いながらも弁当を出すひかり。言いたくないなら無理に聞き出すような趣味は無かった。
紫門には思い出していたことがあった。あの骨の魔物。それをヴァンパイア祭りの時に学校に展示していた資料で見たことがあったのを。
あの時はヴァンパイアについて調べていたので他の事は流し見程度にしてしまったが、詳しく調べれば分かることがあるはずだった。
「さすがは地元の事は地元の人間の方が詳しいか」
放課後から調査にひかりを誘おうと思ったが止めておいた。魔物を倒すのはハンターの仕事だから。
それにあまりヴァンパイアに肩入れするのも真理亜に対して申し訳がないと思った。
チャイムが鳴って午後の授業が始まった。
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