3 / 34
第3話 勇者と遭遇
しおりを挟む
光が収まるとそこは異世界だった。
……かどうかはあたしにはよく分からなかったが、そこは薄暗い部屋のようだった。
光から完全に出ると転送の光は消滅した。戻る時はヘルプちゃんを呼べばいいだろう。まずは状況を確認する。
ベッドがあってタンスがあって木の匂いがする。ここは普通の一般家庭の木造家屋のようだった。
「ゲームの世界での民家よね、これ」
ゲームの知識であたしはそう推測する。この景観はそれっぽい。ゲームで見てきた光景だ。さて、これからどうしようか。
困ったことがあればヘルプちゃんを呼べということだが、それはそれでいきなり攻略法を訊くようで面白くない。
せっかくファンタジーの世界に来たのだ。冒険したい気分だった。
「導くのはヘルプちゃんじゃなくて、あたしの役目なんだからね」
とりあえずこの部屋を出て人を探してみよう。そう思ってドアに向かって歩いていって開けようとしたのだが、手を触れる前に勝手にノブが回って扉が開かれた。
自動ドアだったわけじゃない。向こうに人が来て開けてきたのだ。開けたのはあたしと同じ年ぐらいの少年だった。あたしも驚いたが向こうも驚いた顔をしていた。
立ち直るのは彼の方が早かった。疑問を言葉に乗せて発射してくる。
「あんた誰だ? 俺の部屋で何をしている?」
「えっと……」
ここで怪しまれるわけにはいかない。そもそもあたしは用があってここへ来たのだから。ちょうどいい機会。人を探す手間が省けた。そう前向きに受け取ってあたしは訊ねることにした。
「あたしは神様に頼まれてきた代理……じゃ冴えないわね。えっと、精霊。そう、精霊よ」
あたしはゲームの知識から神様に近しい者の立場として精霊を選んだ。ゲームでは精霊はよく神様に代わって主人公達の前に現れてお告げをしていったものだ。ちょうど今の自分のように。
精霊と聞いて、少年は驚いたように目を丸くしていた。
「あなたが精霊様……!?」
「そうよ。あたしは精霊のルミナ。証拠を見たい?」
あたしには神様から預かった特別な権限として様々な能力が与えられていた。
まだ詳しく調べたわけではないが、転送の間にウインドウを開いていろいろ見てみて何か凄いなとは思った。
まだ実行したことは無かったが、相手が見たいというのならば見せても良かった。
だが、彼は恐縮したように断ってきた。あたしとしてもまだよく知らない能力を行使せずに済むならこしたことは無かった。
この家が吹き飛んだり、変に注目されても困るもんね。
「いえ、滅相も無い。その神々しいお姿を見れば分かります」
「え? あたしって神々しいの?」
「はい、普通の者なら分からないかもしれませんが、俺には分かります」
「ふーん、そうなの」
どうやら神様にこの服を用意してもらった効果が出ていたようだ。あの冴えない私服のままだったらこうはいかなかっただろう。
あたしが気分よく鼻高になっていると、その場に年配の女性がやってきた。
「コウ、どうしたんだい? おや、その子は」
「母ちゃん、精霊様だよ。神様の元から来られたんだ」
「これは精霊様。ハハーッ」
二人は何と親子揃って床に膝をついて両手までつけて頭を下げてしまった。
この地には精霊信仰が根付いているのだろうか。ゲームの世界の旅立ちの村ならありがちなことだった。
あたしは最初は気分が良かったんだけど、さすがに気まずくなってしまった。同年代の男の子だけなら遊びで済むかもしれないけど、さすがに大人の人にまで頭を下げさせるのはちょっと遠慮したい。
それに後が怖い。あたしが本当は精霊ではなく、ただ神様に選ばれただけの一般人だと知られたら。
あたしは何とか言葉を探して話を進めることにした。
「頭を上げてください。あたしは用があってここへ来たのです」
「用と申されますと?」
顔を上げてくれる二人。あたしは気分を落ち着けるようにコホンと咳ばらいを一つしてから精霊らしく神々しさを意識して告げた。
「実はあたしは旅立とうとしない勇者を導くためにここへ来たのです」
「この子が旅立つ時が来たのですか?」
「え? 彼が勇者なの?」
「はい、俺が勇者のコウです」
「コウか……」
うちの犬と同じ名前だねという言葉は飲み込んでおいた。犬と一緒だと言われて良い気分になる人はいないだろうから。何も初対面から印象を下げる必要はない。
何か意識すると彼の真摯な瞳とか従順なところとか、尻尾を振って見上げてくるうちの犬と被って見えてしまうのだが……いやいやいや、失礼なことを考えるのはよしておこう。あたしは気持ちを切り替える。
それにしても彼が勇者だったとは。転送装置は意味も無くここへ繋いでくれたわけではなかったのだ。
勇者の部屋にダイレクトで連れてきてくれるなんて。ゲームの世界より親切だと思える。
顔を上げて勇者のコウが言う。
「俺は12の誕生日が来た時に旅立つように言われていたのですが、何分世界が平和でして」
「必要性を感じなかったというわけか。でも、この辺りは平和でも遠くでは魔王が復活しているよ」
「魔王が復活を!?」
あたしは神様に言われたから知っていたけど、彼は知らなかったようだ。とても驚いていた。
神様が伝えなかったんだろうか。どうでもよかった。もう伝えたのだから。
彼の隣で母親も慌てていた。
「大変! すぐに王様に挨拶に行かなければ。精霊様、もう大丈夫です。教えてくれてありがとうございました」
「すぐに準備して旅立ちます!」
「はい、どうかご武運を……じゃない! ちょっとお待ちなさい!」
「どうかされましたか? 精霊様」
彼らはすぐに行きたくてたまらない様子だったが、精霊の言葉は無視できず立ち止まって戻ってきた。
あたしはひとまずその慌てんぼを止めることにした。
「落ち着きなさいな。勇者ともあろうものが取り乱してどうします。そんな態度を見せれば町の人達も不安になりますよ」
「ですが、魔王が」
「まだ復活したばかりでたいした被害は出ていません。落ち着くのです」
「はい、申し訳ありませんでした。精霊様」
「うむ、旅は長く大変な物になるでしょう。だからこそ平常心が大事なのですよ」
「分かりました。ありがとうございました」
「うん、分かればよろしい」
さて、ペットのコウに言う事を聞かせる感じで勇者のコウを落ち着かせたところで、あたしは本題を切り出すことにする。
「あたしもあなたの旅に同行しましょう。何か不都合がありますか?」
「いえ、精霊様が一緒なら心強い。ぜひお願いします」
「うむ」
勇者を旅立たせるという目的は達成できた。このまま帰れば神様にお礼を言ってもらえてあたしの旅を終えることも出来ただろう。
だが、あたしにその気は無かった。それでは面白くないからだ。どうせ家に帰っても暇なのだ。
せっかく来た世界。このファンタジアワールドをあたしは満足するまで見ていきたかった。こんな狭い部屋を一つ見ただけで終わりにしてたまるか。そう思うあたしであった。
「王様のところに挨拶に行くんでしたよね? あなたの旅をしばらく見届けます。さあ、ともに行きましょう」
「はい」
コウと彼の母親はしばらく相談していたが答えは決まっている。
精霊の言葉を二人が断るはずがない。
肯定的な返事を受け取って、あたしは二人に続いて家を出ていった。
……かどうかはあたしにはよく分からなかったが、そこは薄暗い部屋のようだった。
光から完全に出ると転送の光は消滅した。戻る時はヘルプちゃんを呼べばいいだろう。まずは状況を確認する。
ベッドがあってタンスがあって木の匂いがする。ここは普通の一般家庭の木造家屋のようだった。
「ゲームの世界での民家よね、これ」
ゲームの知識であたしはそう推測する。この景観はそれっぽい。ゲームで見てきた光景だ。さて、これからどうしようか。
困ったことがあればヘルプちゃんを呼べということだが、それはそれでいきなり攻略法を訊くようで面白くない。
せっかくファンタジーの世界に来たのだ。冒険したい気分だった。
「導くのはヘルプちゃんじゃなくて、あたしの役目なんだからね」
とりあえずこの部屋を出て人を探してみよう。そう思ってドアに向かって歩いていって開けようとしたのだが、手を触れる前に勝手にノブが回って扉が開かれた。
自動ドアだったわけじゃない。向こうに人が来て開けてきたのだ。開けたのはあたしと同じ年ぐらいの少年だった。あたしも驚いたが向こうも驚いた顔をしていた。
立ち直るのは彼の方が早かった。疑問を言葉に乗せて発射してくる。
「あんた誰だ? 俺の部屋で何をしている?」
「えっと……」
ここで怪しまれるわけにはいかない。そもそもあたしは用があってここへ来たのだから。ちょうどいい機会。人を探す手間が省けた。そう前向きに受け取ってあたしは訊ねることにした。
「あたしは神様に頼まれてきた代理……じゃ冴えないわね。えっと、精霊。そう、精霊よ」
あたしはゲームの知識から神様に近しい者の立場として精霊を選んだ。ゲームでは精霊はよく神様に代わって主人公達の前に現れてお告げをしていったものだ。ちょうど今の自分のように。
精霊と聞いて、少年は驚いたように目を丸くしていた。
「あなたが精霊様……!?」
「そうよ。あたしは精霊のルミナ。証拠を見たい?」
あたしには神様から預かった特別な権限として様々な能力が与えられていた。
まだ詳しく調べたわけではないが、転送の間にウインドウを開いていろいろ見てみて何か凄いなとは思った。
まだ実行したことは無かったが、相手が見たいというのならば見せても良かった。
だが、彼は恐縮したように断ってきた。あたしとしてもまだよく知らない能力を行使せずに済むならこしたことは無かった。
この家が吹き飛んだり、変に注目されても困るもんね。
「いえ、滅相も無い。その神々しいお姿を見れば分かります」
「え? あたしって神々しいの?」
「はい、普通の者なら分からないかもしれませんが、俺には分かります」
「ふーん、そうなの」
どうやら神様にこの服を用意してもらった効果が出ていたようだ。あの冴えない私服のままだったらこうはいかなかっただろう。
あたしが気分よく鼻高になっていると、その場に年配の女性がやってきた。
「コウ、どうしたんだい? おや、その子は」
「母ちゃん、精霊様だよ。神様の元から来られたんだ」
「これは精霊様。ハハーッ」
二人は何と親子揃って床に膝をついて両手までつけて頭を下げてしまった。
この地には精霊信仰が根付いているのだろうか。ゲームの世界の旅立ちの村ならありがちなことだった。
あたしは最初は気分が良かったんだけど、さすがに気まずくなってしまった。同年代の男の子だけなら遊びで済むかもしれないけど、さすがに大人の人にまで頭を下げさせるのはちょっと遠慮したい。
それに後が怖い。あたしが本当は精霊ではなく、ただ神様に選ばれただけの一般人だと知られたら。
あたしは何とか言葉を探して話を進めることにした。
「頭を上げてください。あたしは用があってここへ来たのです」
「用と申されますと?」
顔を上げてくれる二人。あたしは気分を落ち着けるようにコホンと咳ばらいを一つしてから精霊らしく神々しさを意識して告げた。
「実はあたしは旅立とうとしない勇者を導くためにここへ来たのです」
「この子が旅立つ時が来たのですか?」
「え? 彼が勇者なの?」
「はい、俺が勇者のコウです」
「コウか……」
うちの犬と同じ名前だねという言葉は飲み込んでおいた。犬と一緒だと言われて良い気分になる人はいないだろうから。何も初対面から印象を下げる必要はない。
何か意識すると彼の真摯な瞳とか従順なところとか、尻尾を振って見上げてくるうちの犬と被って見えてしまうのだが……いやいやいや、失礼なことを考えるのはよしておこう。あたしは気持ちを切り替える。
それにしても彼が勇者だったとは。転送装置は意味も無くここへ繋いでくれたわけではなかったのだ。
勇者の部屋にダイレクトで連れてきてくれるなんて。ゲームの世界より親切だと思える。
顔を上げて勇者のコウが言う。
「俺は12の誕生日が来た時に旅立つように言われていたのですが、何分世界が平和でして」
「必要性を感じなかったというわけか。でも、この辺りは平和でも遠くでは魔王が復活しているよ」
「魔王が復活を!?」
あたしは神様に言われたから知っていたけど、彼は知らなかったようだ。とても驚いていた。
神様が伝えなかったんだろうか。どうでもよかった。もう伝えたのだから。
彼の隣で母親も慌てていた。
「大変! すぐに王様に挨拶に行かなければ。精霊様、もう大丈夫です。教えてくれてありがとうございました」
「すぐに準備して旅立ちます!」
「はい、どうかご武運を……じゃない! ちょっとお待ちなさい!」
「どうかされましたか? 精霊様」
彼らはすぐに行きたくてたまらない様子だったが、精霊の言葉は無視できず立ち止まって戻ってきた。
あたしはひとまずその慌てんぼを止めることにした。
「落ち着きなさいな。勇者ともあろうものが取り乱してどうします。そんな態度を見せれば町の人達も不安になりますよ」
「ですが、魔王が」
「まだ復活したばかりでたいした被害は出ていません。落ち着くのです」
「はい、申し訳ありませんでした。精霊様」
「うむ、旅は長く大変な物になるでしょう。だからこそ平常心が大事なのですよ」
「分かりました。ありがとうございました」
「うん、分かればよろしい」
さて、ペットのコウに言う事を聞かせる感じで勇者のコウを落ち着かせたところで、あたしは本題を切り出すことにする。
「あたしもあなたの旅に同行しましょう。何か不都合がありますか?」
「いえ、精霊様が一緒なら心強い。ぜひお願いします」
「うむ」
勇者を旅立たせるという目的は達成できた。このまま帰れば神様にお礼を言ってもらえてあたしの旅を終えることも出来ただろう。
だが、あたしにその気は無かった。それでは面白くないからだ。どうせ家に帰っても暇なのだ。
せっかく来た世界。このファンタジアワールドをあたしは満足するまで見ていきたかった。こんな狭い部屋を一つ見ただけで終わりにしてたまるか。そう思うあたしであった。
「王様のところに挨拶に行くんでしたよね? あなたの旅をしばらく見届けます。さあ、ともに行きましょう」
「はい」
コウと彼の母親はしばらく相談していたが答えは決まっている。
精霊の言葉を二人が断るはずがない。
肯定的な返事を受け取って、あたしは二人に続いて家を出ていった。
0
あなたにおすすめの小説
『ラーメン屋の店主が異世界転生して最高の出汁探すってよ』
髙橋彼方
児童書・童話
一ノ瀬龍拓は新宿で行列の出来るラーメン屋『龍昇』を経営していた。
新たなラーメンを求めているある日、従業員に夢が叶うと有名な神社を教えてもらう。
龍拓は神頼みでもするかと神社に行くと、御祭神に異世界にある王国ロイアルワへ飛ばされてしまう。
果たして、ここには龍拓が求めるラーメンの食材はあるのだろうか……。
生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!
mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの?
ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。
力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる!
ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。
誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。
流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。
現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇
此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
少年騎士
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。
【3章】GREATEST BOONS ~幼なじみのほのぼのバディがクリエイトスキルで異世界に偉大なる恩恵をもたらします!~
丹斗大巴
児童書・童話
幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。
異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)とアイテムを生みだした! 彼らのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅するほのぼの異世界珍道中。
便利な「しおり」機能を使って読み進めることをお勧めします。さらに「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です! レーティング指定の描写はありませんが、万が一気になる方は、目次※マークをさけてご覧ください。
転生妃は後宮学園でのんびりしたい~冷徹皇帝の胃袋掴んだら、なぜか溺愛ルート始まりました!?~
☆ほしい
児童書・童話
平凡な女子高生だった私・茉莉(まり)は、交通事故に遭い、目覚めると中華風異世界・彩雲国の後宮に住む“嫌われ者の妃”・麗霞(れいか)に転生していた!
麗霞は毒婦だと噂され、冷徹非情で有名な若き皇帝・暁からは見向きもされない最悪の状況。面倒な権力争いを避け、前世の知識を活かして、後宮の学園で美味しいお菓子でも作りのんびり過ごしたい…そう思っていたのに、気まぐれに献上した「プリン」が、甘いものに興味がないはずの皇帝の胃袋を掴んでしまった!
「…面白い。明日もこれを作れ」
それをきっかけに、なぜか暁がわからの好感度が急上昇! 嫉妬する他の妃たちからの嫌がらせも、持ち前の雑草魂と現代知識で次々解決! 平穏なスローライフを目指す、転生妃の爽快成り上がり後宮ファンタジー!
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる