7 / 18
第7話
しおりを挟む
後ろから呼び止める声が聞こえた気がしたが無視して走り続けた。そして、しばらく進んだところで立ち止まった。辺りを見回すと誰もいないようだったので安心すると、その場に座り込んだ。
その時だった。突然目の前に何者かが現れたかと思うと、そいつはニヤリと笑いながら話しかけてきた。
「おやおや、こんなところで何をしているんだい?」
いきなり現れたそいつに対して驚いていると、さらに続けてこう言った。
「そんなに驚いた顔をしてどうしたんだい? もしかして私のことを忘れちゃったのかな?」
そう言われて思い出した。こいつは確か魔王軍の幹部の一人だったな……名前はなんだったか思い出せないけど、まあいいや。それよりも今はこの状況をどうにかしないとな……どうやって逃げようか考えていると、そいつは再び話しかけてきた。
「ねえ君、これからどうするつもりなんだい? よかったら私が助けてあげようか?」
その言葉に思わず反応してしまったがすぐに冷静になると断ることにした。
「いや、遠慮しておくよ」
「あら残念、振られてしまったわね」
そう言うとクスクスと笑った。何が面白いのか分からないがとりあえず無視することにして立ち上がろうとした時だった。突然体に力が入らなくなり倒れそうになったところを彼女に支えられた。
一体何が起きたのか分からず混乱していると、彼女がニヤニヤしながら話しかけてきた。
「どうしたのかな? 急にふらついてしまって」
「うるさい! それより早く離せ!」
怒鳴るように叫ぶと彼女は素直に離してくれた。ホッと胸を撫で下ろしていると、彼女は微笑みながら言った。
「ごめんね~ちょっと悪戯してみたくなっただけなんだ~」
そう言いながらもまだ笑っている彼女を見て怒りを覚えながら睨みつけると、彼女はようやく笑うのを止めた。そして真面目な顔になると、静かに尋ねてきた。
「それで、本当に帰るのかい?」
その問いかけに俺は迷った。確かにこのまま帰ってもいいのかもしれない……だが、ここで帰ったらもう二度と元の世界には帰れないような気がしたのだ。それに、ここには大切な人がいる……だから、俺は帰らないことにした。そう伝えると、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「そっかぁ~それじゃあ仕方ないね~」
彼女はそう言うと指をパチンと鳴らした。すると、俺の足元に魔法陣のようなものが現れたかと思うと光を放ち始めた。突然のことに戸惑っていると、彼女は笑みを浮かべながら言ってきた。
「じゃあそろそろお別れだね」
「え?」
「大丈夫さ、きっと上手くいくよ」
それだけ言うと手を振ってきたので振り返すと、目の前が真っ白になった。
気がつくとそこは自分の部屋だった。夢でも見ていたのだろうか? 不思議に思っていると扉が開いてイリスが入ってきた。
「おはようございます!」
元気よく挨拶してくる彼女に戸惑いながらも返事をすると、不思議そうな顔で見つめてきた。どうかしたのかと尋ねると、彼女は首を傾げた後なんでもないと言って部屋を出ていった。それを見届けた後、ふと窓の外を見ると綺麗な青空が見えた。
それを見て改めて自分が異世界にいるという実感を得たのだった……
それから数日後のこと、俺達は魔王城に戻っていた。あの出来事は一体何だったのか未だに分からないままだったが、それでも良かったと思っている。なぜなら、こうして彼女と出会えたのだから……
そんなことを考えながら隣を歩いている彼女の横顔を見つめていると、視線に気づいたのかこちらを見て微笑んでくれた。そんな彼女の笑顔を見てドキッとしたが、悟られないように平静を装いながら微笑み返した。そして、心の中で思った。
これからもずっと一緒にいたい……ずっと一緒にいよう……愛しているよ……
その時だった。突然目の前に何者かが現れたかと思うと、そいつはニヤリと笑いながら話しかけてきた。
「おやおや、こんなところで何をしているんだい?」
いきなり現れたそいつに対して驚いていると、さらに続けてこう言った。
「そんなに驚いた顔をしてどうしたんだい? もしかして私のことを忘れちゃったのかな?」
そう言われて思い出した。こいつは確か魔王軍の幹部の一人だったな……名前はなんだったか思い出せないけど、まあいいや。それよりも今はこの状況をどうにかしないとな……どうやって逃げようか考えていると、そいつは再び話しかけてきた。
「ねえ君、これからどうするつもりなんだい? よかったら私が助けてあげようか?」
その言葉に思わず反応してしまったがすぐに冷静になると断ることにした。
「いや、遠慮しておくよ」
「あら残念、振られてしまったわね」
そう言うとクスクスと笑った。何が面白いのか分からないがとりあえず無視することにして立ち上がろうとした時だった。突然体に力が入らなくなり倒れそうになったところを彼女に支えられた。
一体何が起きたのか分からず混乱していると、彼女がニヤニヤしながら話しかけてきた。
「どうしたのかな? 急にふらついてしまって」
「うるさい! それより早く離せ!」
怒鳴るように叫ぶと彼女は素直に離してくれた。ホッと胸を撫で下ろしていると、彼女は微笑みながら言った。
「ごめんね~ちょっと悪戯してみたくなっただけなんだ~」
そう言いながらもまだ笑っている彼女を見て怒りを覚えながら睨みつけると、彼女はようやく笑うのを止めた。そして真面目な顔になると、静かに尋ねてきた。
「それで、本当に帰るのかい?」
その問いかけに俺は迷った。確かにこのまま帰ってもいいのかもしれない……だが、ここで帰ったらもう二度と元の世界には帰れないような気がしたのだ。それに、ここには大切な人がいる……だから、俺は帰らないことにした。そう伝えると、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「そっかぁ~それじゃあ仕方ないね~」
彼女はそう言うと指をパチンと鳴らした。すると、俺の足元に魔法陣のようなものが現れたかと思うと光を放ち始めた。突然のことに戸惑っていると、彼女は笑みを浮かべながら言ってきた。
「じゃあそろそろお別れだね」
「え?」
「大丈夫さ、きっと上手くいくよ」
それだけ言うと手を振ってきたので振り返すと、目の前が真っ白になった。
気がつくとそこは自分の部屋だった。夢でも見ていたのだろうか? 不思議に思っていると扉が開いてイリスが入ってきた。
「おはようございます!」
元気よく挨拶してくる彼女に戸惑いながらも返事をすると、不思議そうな顔で見つめてきた。どうかしたのかと尋ねると、彼女は首を傾げた後なんでもないと言って部屋を出ていった。それを見届けた後、ふと窓の外を見ると綺麗な青空が見えた。
それを見て改めて自分が異世界にいるという実感を得たのだった……
それから数日後のこと、俺達は魔王城に戻っていた。あの出来事は一体何だったのか未だに分からないままだったが、それでも良かったと思っている。なぜなら、こうして彼女と出会えたのだから……
そんなことを考えながら隣を歩いている彼女の横顔を見つめていると、視線に気づいたのかこちらを見て微笑んでくれた。そんな彼女の笑顔を見てドキッとしたが、悟られないように平静を装いながら微笑み返した。そして、心の中で思った。
これからもずっと一緒にいたい……ずっと一緒にいよう……愛しているよ……
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。
敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。
結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。
だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。
「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」
謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。
少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。
これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。
【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる