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第15話
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美月がいなくなった事に気づいたのは彼女が書き置きを残してから数分後のことだった。最初はただの所用かと思っていたが、いつまで経っても帰ってこないので何かあったのではと思った俺は探しに行くことにした。もちろん、イリスも一緒についてきてくれたので心強かった。
「美月さん、どこにいるんでしょう?」
不安そうにしているイリスに俺はわからないと答えた後で周囲を見渡した。今のところ怪しい人影は見当たらない。だが、油断はできないだろう。何せ相手はこの魔王にまで襲撃を掛けてこれる程の実力者なのだから……
「……魔王様」
不意に話しかけられてビクッとしてしまったが、なんとか平静を保ちながら返事をするとイリスは言った。
「もし、相手が襲ってきたらどうしますか?」
真剣な表情で問いかけてくる彼女に俺は言った。
「そうだな、その時は戦うしかないだろうな」
「勝てる見込みはあるのですか?」
その問いに対して、俺は首を横に振って否定した。確かに負けるつもりはないが、勝つ自信もなかったからだ。おそらく相手は神の武器を手にした転生者だ。
すると、彼女は俺の手を握ってきた。突然の事に驚いていると彼女と目が合った。その瞳には決意の色が浮かんでいたので、思わずドキッとした。
「大丈夫ですよ、何があっても私はあなたの味方ですから」
微笑みながら言う彼女を見て、俺も思わず笑みがこぼれてしまった。
「ありがとう、お陰で元気が出たよ」
礼を言うと、彼女は照れ臭そうに笑った。そんな彼女を見て可愛いと思いながらも俺は気持ちを切り替えた。これから待ち受けているであろう戦いに備えて気を引き締め直す事にしたのだ。
それから暫くの間、美月を探したのだが一向に見つかる気配はなかった。それどころか手がかりすら掴めずにいたので途方に暮れていたその時だった。突如として悲鳴が聞こえてきたかと思うと一人の男性がこちらに走ってきた。しかも、その顔は恐怖に満ち溢れており尋常ではない様子だった。
「何があったんですか!?」
慌てて駆け寄るイリスに続いて俺ともう一人の男性も駆け寄った。すると、男性は俺達の顔を見るなり縋り付くように言った。
「助けてくれ! あいつが、あいつが来たんだ!」
震えながら叫ぶ男の言葉に俺達は顔を見合わせた後で詳しい話を聞くことにした。すると、男は涙ながらに話し始めた。
なんでもその男はこの町に住んでいるらしく、今日は仕事が休みだったので散歩をしていたらしい。そして、帰ろうとした時に奴が現れたのだという。
それを聞いた俺はある確信を抱いた。それは間違いなく如月和馬の事だろうと確信した。何故なら、先程出会った男が言っていた特徴と一致していたからである。
間違いない、奴はここにいるのだ。そう思った次の瞬間、何処からか声が聞こえてきた。
『おーい、聞こえてる?』
声の正体はすぐにわかった。先程まで聞いていた男の声だったからだ。その声に反応するように周囲を見渡すと建物の上に立っている男の姿が見えた。それを見た俺は思わず舌打ちをした。まさか、こんな所にいるとは思わなかったからだ。
しかし、これで居場所は分かった。後はどうやって倒すかだが……俺が悩んでいると隣にいた男が急に走り出して行ってしまった。
「あっ、待て!」
咄嗟に止めようとするが間に合わず、男は建物の屋上に向かって行った。
「くそっ、仕方ない俺達もいくぞ」
「はい」
俺の言葉にイリスが頷くと俺達は急いで後を追った。その間にも、男と奴のやり取りが聞こえてくる。
「頼む、見逃してくれ! 俺にはまだやらないといけない事があるんだ!」
必死に懇願する男に和馬は冷たい声で言い放った。
『悪いけど、そういうわけにはいかないんだよね』
言いながら右手を天に掲げると掌に光が集まっていき球体の形へと変化していった。それを見て俺は冷や汗を流した。あれはまずい、下手をすれば町ごと消し飛ばされかねない威力があるように見えたからだ。
(どうする!?)
迷っている間にも事態はどんどん悪化していく一方だった。そんな中、ついに我慢できなくなったのか男は無謀にも飛びかかったのである。
「うおおおおおお!!」
叫びながら殴りかかる男を鼻で笑うと和馬は魔法を発動させた。すると、巨大な火の玉が現れて発射されたのである。その直後、凄まじい爆発音が響き渡ったかと思うと煙が晴れた先にあった光景を見て絶句した。
そこには瓦礫の山と化した街並みがあり、その中には血だらけになって倒れている男達の姿があった。恐らく先程の攻撃に巻き込まれたのだろう。
「おいっ、大丈夫か!?」
駆け寄って安否を確かめるが返事はなかった。どうやら既に事切れているようだ。
その様子を見た俺は怒りに震えていた。大切な部下を殺された上に無関係な人間まで巻き込むなんて許せる事ではなかった。
「許さない……」
「魔王様?」
心配そうに見つめるイリスをよそに俺は覚悟を決めると剣を抜いて奴と対峙した。
「なぜお前が神の武器を持って俺達を襲うんだ! 如月和馬!」
「ん? 君があまりに非協力的だったからね。僕を認めて協力してくれる方に付く事にしたんだ。これで君も少しは僕の話を聞いてくれるつもりになったんじゃないかな?」
和馬がさらに破壊の力を振るおうとするのを見て俺は駆け出した。
「やめろー!!!」
叫び声を上げながら勢いよく斬りかかるが、奴は慌てる様子もなく冷静に対処してきた。
「無駄だよ。この神の武器は素晴らしいね。もっと早く手に入れておけば良かったよ」
余裕の笑みを浮かべながら放たれた一撃によって俺は吹き飛ばされてしまう。
「ぐはっ……!」
壁に激突して口から血を吐き出すが、それでも諦めずに立ち上がろうとするが体に力が入らない。よく見ると右足が折れているようだった。
「くっ、くそっ……!」
痛みに顔を歪めながらもどうにか立ち上がると再び立ち向かっていった。だが、何度やっても同じ結果に終わるだけだった。
いくら攻撃を繰り出そうとも全て躱されてしまうしカウンターを受けて逆にダメージを受けるだけだったのである。そんな俺を見かねたのか奴が話しかけてきた。
「もう諦めたらどうだい? 神の力には魔王だって敵わないんだ」
その言葉に俺は首を横に振った。絶対に諦めるわけにはいかなかったからだ。ここで負けたら大勢の人間が犠牲になってしまう。それだけは絶対に避けなければならない事だと自分に言い聞かせると立ち上がった。そして、痛む体を引きずりながらゆっくりと近づいていった。
「……まだやるのかい? これ以上やったら死んでしまうかもしれないよ」
呆れるように呟く奴を無視して近づくと渾身の力を込めて剣を振り下ろした。すると、金属音が鳴り響き甲高い音が響いたかと思うと弾かれてしまった。その瞬間、腹部に強い衝撃を感じた直後激痛が走った。見ると拳がめり込んでいた。どうやら殴られたようだ。そのまま後ろに倒れそうになったところで襟首を掴まれて持ち上げられた後に壁へと叩きつけられた。背中を強打してしまい呼吸ができず苦しんでいると今度は顔面を殴られてしまい意識を失いかけたところで髪の毛を掴まれた状態で顔を引き上げられる形となった。
「どうだ? 苦しいだろ? これが君が戦おうとしていた敵の力なんだよ」
そう言って笑う男の顔を見た瞬間、頭の中で何かが切れたような気がした。同時に強い怒りが込み上げてきて無意識のうちに叫んでいた。
「ふざけるな!! お前だけは絶対に許さない!」
そう叫ぶと同時に魔力を集中させていく。やがて体が光り輝き始めたのを見た和馬は驚いた様子で叫んだ。
「なっ、何をするつもりだ!?」
「決まっているだろう、お前を殺してやるんだよ」
ニヤリと笑いながら答えると、両手に魔力を溜め込んでいく。その膨大な量の魔力を感じ取ったのか、奴は慌てた様子で逃げようとしたがもう遅い。次の瞬間、眩い光が周囲を包み込んだかと思うと大爆発が起きたのだった。
「美月さん、どこにいるんでしょう?」
不安そうにしているイリスに俺はわからないと答えた後で周囲を見渡した。今のところ怪しい人影は見当たらない。だが、油断はできないだろう。何せ相手はこの魔王にまで襲撃を掛けてこれる程の実力者なのだから……
「……魔王様」
不意に話しかけられてビクッとしてしまったが、なんとか平静を保ちながら返事をするとイリスは言った。
「もし、相手が襲ってきたらどうしますか?」
真剣な表情で問いかけてくる彼女に俺は言った。
「そうだな、その時は戦うしかないだろうな」
「勝てる見込みはあるのですか?」
その問いに対して、俺は首を横に振って否定した。確かに負けるつもりはないが、勝つ自信もなかったからだ。おそらく相手は神の武器を手にした転生者だ。
すると、彼女は俺の手を握ってきた。突然の事に驚いていると彼女と目が合った。その瞳には決意の色が浮かんでいたので、思わずドキッとした。
「大丈夫ですよ、何があっても私はあなたの味方ですから」
微笑みながら言う彼女を見て、俺も思わず笑みがこぼれてしまった。
「ありがとう、お陰で元気が出たよ」
礼を言うと、彼女は照れ臭そうに笑った。そんな彼女を見て可愛いと思いながらも俺は気持ちを切り替えた。これから待ち受けているであろう戦いに備えて気を引き締め直す事にしたのだ。
それから暫くの間、美月を探したのだが一向に見つかる気配はなかった。それどころか手がかりすら掴めずにいたので途方に暮れていたその時だった。突如として悲鳴が聞こえてきたかと思うと一人の男性がこちらに走ってきた。しかも、その顔は恐怖に満ち溢れており尋常ではない様子だった。
「何があったんですか!?」
慌てて駆け寄るイリスに続いて俺ともう一人の男性も駆け寄った。すると、男性は俺達の顔を見るなり縋り付くように言った。
「助けてくれ! あいつが、あいつが来たんだ!」
震えながら叫ぶ男の言葉に俺達は顔を見合わせた後で詳しい話を聞くことにした。すると、男は涙ながらに話し始めた。
なんでもその男はこの町に住んでいるらしく、今日は仕事が休みだったので散歩をしていたらしい。そして、帰ろうとした時に奴が現れたのだという。
それを聞いた俺はある確信を抱いた。それは間違いなく如月和馬の事だろうと確信した。何故なら、先程出会った男が言っていた特徴と一致していたからである。
間違いない、奴はここにいるのだ。そう思った次の瞬間、何処からか声が聞こえてきた。
『おーい、聞こえてる?』
声の正体はすぐにわかった。先程まで聞いていた男の声だったからだ。その声に反応するように周囲を見渡すと建物の上に立っている男の姿が見えた。それを見た俺は思わず舌打ちをした。まさか、こんな所にいるとは思わなかったからだ。
しかし、これで居場所は分かった。後はどうやって倒すかだが……俺が悩んでいると隣にいた男が急に走り出して行ってしまった。
「あっ、待て!」
咄嗟に止めようとするが間に合わず、男は建物の屋上に向かって行った。
「くそっ、仕方ない俺達もいくぞ」
「はい」
俺の言葉にイリスが頷くと俺達は急いで後を追った。その間にも、男と奴のやり取りが聞こえてくる。
「頼む、見逃してくれ! 俺にはまだやらないといけない事があるんだ!」
必死に懇願する男に和馬は冷たい声で言い放った。
『悪いけど、そういうわけにはいかないんだよね』
言いながら右手を天に掲げると掌に光が集まっていき球体の形へと変化していった。それを見て俺は冷や汗を流した。あれはまずい、下手をすれば町ごと消し飛ばされかねない威力があるように見えたからだ。
(どうする!?)
迷っている間にも事態はどんどん悪化していく一方だった。そんな中、ついに我慢できなくなったのか男は無謀にも飛びかかったのである。
「うおおおおおお!!」
叫びながら殴りかかる男を鼻で笑うと和馬は魔法を発動させた。すると、巨大な火の玉が現れて発射されたのである。その直後、凄まじい爆発音が響き渡ったかと思うと煙が晴れた先にあった光景を見て絶句した。
そこには瓦礫の山と化した街並みがあり、その中には血だらけになって倒れている男達の姿があった。恐らく先程の攻撃に巻き込まれたのだろう。
「おいっ、大丈夫か!?」
駆け寄って安否を確かめるが返事はなかった。どうやら既に事切れているようだ。
その様子を見た俺は怒りに震えていた。大切な部下を殺された上に無関係な人間まで巻き込むなんて許せる事ではなかった。
「許さない……」
「魔王様?」
心配そうに見つめるイリスをよそに俺は覚悟を決めると剣を抜いて奴と対峙した。
「なぜお前が神の武器を持って俺達を襲うんだ! 如月和馬!」
「ん? 君があまりに非協力的だったからね。僕を認めて協力してくれる方に付く事にしたんだ。これで君も少しは僕の話を聞いてくれるつもりになったんじゃないかな?」
和馬がさらに破壊の力を振るおうとするのを見て俺は駆け出した。
「やめろー!!!」
叫び声を上げながら勢いよく斬りかかるが、奴は慌てる様子もなく冷静に対処してきた。
「無駄だよ。この神の武器は素晴らしいね。もっと早く手に入れておけば良かったよ」
余裕の笑みを浮かべながら放たれた一撃によって俺は吹き飛ばされてしまう。
「ぐはっ……!」
壁に激突して口から血を吐き出すが、それでも諦めずに立ち上がろうとするが体に力が入らない。よく見ると右足が折れているようだった。
「くっ、くそっ……!」
痛みに顔を歪めながらもどうにか立ち上がると再び立ち向かっていった。だが、何度やっても同じ結果に終わるだけだった。
いくら攻撃を繰り出そうとも全て躱されてしまうしカウンターを受けて逆にダメージを受けるだけだったのである。そんな俺を見かねたのか奴が話しかけてきた。
「もう諦めたらどうだい? 神の力には魔王だって敵わないんだ」
その言葉に俺は首を横に振った。絶対に諦めるわけにはいかなかったからだ。ここで負けたら大勢の人間が犠牲になってしまう。それだけは絶対に避けなければならない事だと自分に言い聞かせると立ち上がった。そして、痛む体を引きずりながらゆっくりと近づいていった。
「……まだやるのかい? これ以上やったら死んでしまうかもしれないよ」
呆れるように呟く奴を無視して近づくと渾身の力を込めて剣を振り下ろした。すると、金属音が鳴り響き甲高い音が響いたかと思うと弾かれてしまった。その瞬間、腹部に強い衝撃を感じた直後激痛が走った。見ると拳がめり込んでいた。どうやら殴られたようだ。そのまま後ろに倒れそうになったところで襟首を掴まれて持ち上げられた後に壁へと叩きつけられた。背中を強打してしまい呼吸ができず苦しんでいると今度は顔面を殴られてしまい意識を失いかけたところで髪の毛を掴まれた状態で顔を引き上げられる形となった。
「どうだ? 苦しいだろ? これが君が戦おうとしていた敵の力なんだよ」
そう言って笑う男の顔を見た瞬間、頭の中で何かが切れたような気がした。同時に強い怒りが込み上げてきて無意識のうちに叫んでいた。
「ふざけるな!! お前だけは絶対に許さない!」
そう叫ぶと同時に魔力を集中させていく。やがて体が光り輝き始めたのを見た和馬は驚いた様子で叫んだ。
「なっ、何をするつもりだ!?」
「決まっているだろう、お前を殺してやるんだよ」
ニヤリと笑いながら答えると、両手に魔力を溜め込んでいく。その膨大な量の魔力を感じ取ったのか、奴は慌てた様子で逃げようとしたがもう遅い。次の瞬間、眩い光が周囲を包み込んだかと思うと大爆発が起きたのだった。
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