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ある日某所でとんでもない事件が発生した。まったく不可解で謎が深い事件であったが何も手がかりがないわけではなかった。
現場に残された『カクヨム、トリ、五分』の文字。これがきっと事件の謎を解く手がかりとなるはずだ。
だが、まったくわけが分からなくて現場の警察官達は頭を抱えるばかりだった。
「この言葉に何の意味があるんだ。さっぱり分からん」
「こんな事も分からんのか今時の警察は無能だな!」
そんな時にバンッと扉を開け放ってやってきた少女がいた。彼女は名探偵のさつきさんである。この国で一番有名な名探偵なのだ。
「どうしたんですか? さつきさん」
「フン、名探偵が来た理由なんて決まっているだろう。事件を解決しに来たのさ」
「おお、あなたほどの名探偵が来たのならこの事件はもう解決したも同然ですね」
「ふむ、まずは何が起こったのか聞こうじゃないか」
「はい、実は……」
警官達はこれまでの経緯を話した。するとさつきさんはうーんとうなりながら腕を組んでいる。
「なるほどね。その言葉から考えるに犯人は男で、なおかつこの辺りに住んでいる人物になるな」
「ええ? そうなるんですか?」
「ふむ、『カクヨム、トリ、五分』これの意味するところを愚鈍な君達にも分かるように説明してやろうではないか。まずカクヨムとは小説家になろうとする者達の集まる場所。つまり小説投稿サイトの事だ。そしてトリとはその場所で見られる鳥の事で、つまりはカクヨムのトリの事。五分というのはそこで行われる『五分で読書』短編小説コンテストを示していると考えられる」
「さすが名探偵! 一瞬で事件が解決したぞ」
「まあ、待ちたまえ。わたしはまだ言葉の意味を述べただけで事件を解決していない」
「おお、そう言われてみれば確かに! 犯人はいったい誰なんですか?」
「そう急ぐな。順番に説明してやるから。じゃあ『カクヨム、トリ、五分』の言葉についてだが、これはカクヨムで『5分間』というキーワードを使って検索しろという意味だと解釈できる」
「え? 五分は『五分で読書』短編小説コンテストのことだったのでは?」
「だから、君は短絡的なのだ。物を作るのにはまず調べるものなのだよ。それで調べると出てきたのがこれだ」
「『カクヨム、トリ、5分、五分、時間、タイムリミット、制限時間、締め切り』…………ああ!?」
「分かったかね? これらの言葉を並べると『カクヨム、トリ、5分、五分、時間、タイムリミット、制限時間、締め切り』となる。つまり、犯人は締め切りに追われている人。すなわち小説家志望者だ」
「なるほど、名探偵は凄いなぁ」
「当然の結果だよ。さて、ここからさらに絞っていこうか」
「え? 犯人はもう分かって事件は解決したのでは?」
「馬鹿者。この世に小説家志望者が何人いると思っている? カクヨムの利用者も年々増えているのだぞ。君はこの言葉の中に5分と五分の二つがある事に気づいただろうか」
「本当ですね。5分と五分。数字と漢字の違いに何か意味があるのでしょうか?」「そうだ。それこそが今回の事件の真相だ」
「ほう、それはいったい?」
「いいかよく聞け。この事件の謎を解く鍵はここにある。ここに書かれている違いはたった一字だけ。それも数字と漢字の違いだけだ。しかしそれが意味するのは、ある人物にとってとても重要な意味を持つ言葉だったのだ」
「おおう、そこまで言われると名探偵の推理を聞きたいですな!」
「では話してやろう。この謎を解き明かす為にはまず『カクヨム』という言葉に注目しなければならない。この『カクヨム』という言葉は普通に読めば『カクヨム』となるが、これを『小説家になろう』と言い直せばどうなるだろう」
「ええ!? なぜそう言い直すんですか?」
「フッ、推理には時には遠回りも必要なのだ。教えてやろう。『カクヨム>小説家になろう』こう言う事だ。これで犯人は分かったな」
「え? 犯人は……ええっ!?」
警察官達が驚いている間にさつきさんは扉を開け放ち、颯爽と去っていこうとする。警察官達は慌てて呼び止めた。
「待ってください。本当に犯人はあの人なんですか?」
「ああ、トリという言葉もそれを示しているだろう?それに五分という言葉も犯人を指し示している。もう事件は解決したじゃないか」
「でも、犯人は男でしたよね? あの人は女性だから全然違うじゃないですか」
「君はいつからあの人が女性だと思っていた?」
「え? だってペンネームも書いている作風もプロフィールだって。ええ!?」
「だから君は甘いんだ。小説を書く上で性別なんて些細な問題さ。むしろ女性ネームの方が読者を釣りやすい」
「ええ? そんなものなんですか?」
「ああ、きっと、多分、そう、一般的にはそういうものだ」
「なんか歯切れが悪くないですか? さつきさんのくせに」
「ええい、それを論じるのは今回の事件とは関係が無い。事件の本質を見失うのは犯人を笑わせるだけの結果となるぞ」
「すみません」
「事件をもっと深掘りしていくか」
「ええ? 犯人が分かったのに続けるんですか? すぐ逮捕しに行った方がいいのでは」
「君がまだ疑っているようだからな。今のまま行っても犯人に言いくるめられるだけだろう。まずはこの証拠を見てみろ。これがこの作者さんのページだ」
「ええ? あれ? これって……」
さつきさんが指差した先にはこう書かれていた。
【近況ノート】
新作投稿しました!
『五分で解決、名探偵の事件簿』よろしくお願いします。
「それから作品のキャッチコピーを見てみろ」
「『5分で探偵が事件を解決するサクッとしたミステリーです』ああ!?」
「フッ、謎が解けた瞬間というのは気持ちいいだろう?」
「でも、彼女……いえ、彼には動機が」
「だから、『カクヨム>小説家になろう』だと言っただろう。彼にはカクヨムが大事だったのだろう。それにトリがな」
「トリかあ。そう言えば前にKACのお題になってましたね。KACのせいで小説が読まれないって愚痴もよく見ました」
「つまりそういうことだ」
「そういう……ああ」
犯人も動機も証拠も分かった。だが、警察官にはまだ腑に落ちないことがあった。
「凶器はなんなんでしょう。これはまったく謎の深い事件ですが、事件であるからには何か凶器があると思うのですが」
「君もほとほと疑い深い人間だな。それならそこにあるだろう。もう一度現場をよく見てみたまえ。わたしは来てすぐに分かったぞ」
「現場と言われても、ここには『カクヨム、トリ、五分』と書かれた三枚の紙しか……まさか!」
「そう、愚鈍な君にもさすがに分かったようだね。犯人は小説家志望者だ。まさにペンは剣よりも強いということを実践してみせたわけだね」
「でも、犯人はなぜこれを置いていったんでしょう。この三枚の手がかりが無ければ事件は完全に闇の中だったのに」
「時間が無かったのさ。君は知らないかもしれないが印刷は時間が掛かるんだ。小説家志望者である彼もそれをよく知っていた。だから、立ち去ったんだ」
「ありがとうございます。謎は全て解けました」
こうして事件は解決した。最後にさつきさんは教えてくれた。
「ちなみにわたしも最近カクヨムで書き始めたんだ」
「へぇーそうなんですね。カクヨムで書くのってそんなに面白いんですか?」
「さあ、それはどうだろうな。だが、『カクヨムで書く』とは小説家を目指す者の誰もが一度は通る道だ。君も興味があればやってみればいい」
「分かりました。今日はありがとうございました」
こうして彼女は去って行った。僕はお礼を言いながら彼女の後ろ姿を見送った。
そして、彼女が言った『カクヨムで書く』という事がどういうことなのか考え始めた。
「よーし、僕も何か投稿してみるか」
そして……
「PV0……うーーーん?」
カクヨム>小説家になろうとは何だったのか。謎がまだ残る気がするのだった。
現場に残された『カクヨム、トリ、五分』の文字。これがきっと事件の謎を解く手がかりとなるはずだ。
だが、まったくわけが分からなくて現場の警察官達は頭を抱えるばかりだった。
「この言葉に何の意味があるんだ。さっぱり分からん」
「こんな事も分からんのか今時の警察は無能だな!」
そんな時にバンッと扉を開け放ってやってきた少女がいた。彼女は名探偵のさつきさんである。この国で一番有名な名探偵なのだ。
「どうしたんですか? さつきさん」
「フン、名探偵が来た理由なんて決まっているだろう。事件を解決しに来たのさ」
「おお、あなたほどの名探偵が来たのならこの事件はもう解決したも同然ですね」
「ふむ、まずは何が起こったのか聞こうじゃないか」
「はい、実は……」
警官達はこれまでの経緯を話した。するとさつきさんはうーんとうなりながら腕を組んでいる。
「なるほどね。その言葉から考えるに犯人は男で、なおかつこの辺りに住んでいる人物になるな」
「ええ? そうなるんですか?」
「ふむ、『カクヨム、トリ、五分』これの意味するところを愚鈍な君達にも分かるように説明してやろうではないか。まずカクヨムとは小説家になろうとする者達の集まる場所。つまり小説投稿サイトの事だ。そしてトリとはその場所で見られる鳥の事で、つまりはカクヨムのトリの事。五分というのはそこで行われる『五分で読書』短編小説コンテストを示していると考えられる」
「さすが名探偵! 一瞬で事件が解決したぞ」
「まあ、待ちたまえ。わたしはまだ言葉の意味を述べただけで事件を解決していない」
「おお、そう言われてみれば確かに! 犯人はいったい誰なんですか?」
「そう急ぐな。順番に説明してやるから。じゃあ『カクヨム、トリ、五分』の言葉についてだが、これはカクヨムで『5分間』というキーワードを使って検索しろという意味だと解釈できる」
「え? 五分は『五分で読書』短編小説コンテストのことだったのでは?」
「だから、君は短絡的なのだ。物を作るのにはまず調べるものなのだよ。それで調べると出てきたのがこれだ」
「『カクヨム、トリ、5分、五分、時間、タイムリミット、制限時間、締め切り』…………ああ!?」
「分かったかね? これらの言葉を並べると『カクヨム、トリ、5分、五分、時間、タイムリミット、制限時間、締め切り』となる。つまり、犯人は締め切りに追われている人。すなわち小説家志望者だ」
「なるほど、名探偵は凄いなぁ」
「当然の結果だよ。さて、ここからさらに絞っていこうか」
「え? 犯人はもう分かって事件は解決したのでは?」
「馬鹿者。この世に小説家志望者が何人いると思っている? カクヨムの利用者も年々増えているのだぞ。君はこの言葉の中に5分と五分の二つがある事に気づいただろうか」
「本当ですね。5分と五分。数字と漢字の違いに何か意味があるのでしょうか?」「そうだ。それこそが今回の事件の真相だ」
「ほう、それはいったい?」
「いいかよく聞け。この事件の謎を解く鍵はここにある。ここに書かれている違いはたった一字だけ。それも数字と漢字の違いだけだ。しかしそれが意味するのは、ある人物にとってとても重要な意味を持つ言葉だったのだ」
「おおう、そこまで言われると名探偵の推理を聞きたいですな!」
「では話してやろう。この謎を解き明かす為にはまず『カクヨム』という言葉に注目しなければならない。この『カクヨム』という言葉は普通に読めば『カクヨム』となるが、これを『小説家になろう』と言い直せばどうなるだろう」
「ええ!? なぜそう言い直すんですか?」
「フッ、推理には時には遠回りも必要なのだ。教えてやろう。『カクヨム>小説家になろう』こう言う事だ。これで犯人は分かったな」
「え? 犯人は……ええっ!?」
警察官達が驚いている間にさつきさんは扉を開け放ち、颯爽と去っていこうとする。警察官達は慌てて呼び止めた。
「待ってください。本当に犯人はあの人なんですか?」
「ああ、トリという言葉もそれを示しているだろう?それに五分という言葉も犯人を指し示している。もう事件は解決したじゃないか」
「でも、犯人は男でしたよね? あの人は女性だから全然違うじゃないですか」
「君はいつからあの人が女性だと思っていた?」
「え? だってペンネームも書いている作風もプロフィールだって。ええ!?」
「だから君は甘いんだ。小説を書く上で性別なんて些細な問題さ。むしろ女性ネームの方が読者を釣りやすい」
「ええ? そんなものなんですか?」
「ああ、きっと、多分、そう、一般的にはそういうものだ」
「なんか歯切れが悪くないですか? さつきさんのくせに」
「ええい、それを論じるのは今回の事件とは関係が無い。事件の本質を見失うのは犯人を笑わせるだけの結果となるぞ」
「すみません」
「事件をもっと深掘りしていくか」
「ええ? 犯人が分かったのに続けるんですか? すぐ逮捕しに行った方がいいのでは」
「君がまだ疑っているようだからな。今のまま行っても犯人に言いくるめられるだけだろう。まずはこの証拠を見てみろ。これがこの作者さんのページだ」
「ええ? あれ? これって……」
さつきさんが指差した先にはこう書かれていた。
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『五分で解決、名探偵の事件簿』よろしくお願いします。
「それから作品のキャッチコピーを見てみろ」
「『5分で探偵が事件を解決するサクッとしたミステリーです』ああ!?」
「フッ、謎が解けた瞬間というのは気持ちいいだろう?」
「でも、彼女……いえ、彼には動機が」
「だから、『カクヨム>小説家になろう』だと言っただろう。彼にはカクヨムが大事だったのだろう。それにトリがな」
「トリかあ。そう言えば前にKACのお題になってましたね。KACのせいで小説が読まれないって愚痴もよく見ました」
「つまりそういうことだ」
「そういう……ああ」
犯人も動機も証拠も分かった。だが、警察官にはまだ腑に落ちないことがあった。
「凶器はなんなんでしょう。これはまったく謎の深い事件ですが、事件であるからには何か凶器があると思うのですが」
「君もほとほと疑い深い人間だな。それならそこにあるだろう。もう一度現場をよく見てみたまえ。わたしは来てすぐに分かったぞ」
「現場と言われても、ここには『カクヨム、トリ、五分』と書かれた三枚の紙しか……まさか!」
「そう、愚鈍な君にもさすがに分かったようだね。犯人は小説家志望者だ。まさにペンは剣よりも強いということを実践してみせたわけだね」
「でも、犯人はなぜこれを置いていったんでしょう。この三枚の手がかりが無ければ事件は完全に闇の中だったのに」
「時間が無かったのさ。君は知らないかもしれないが印刷は時間が掛かるんだ。小説家志望者である彼もそれをよく知っていた。だから、立ち去ったんだ」
「ありがとうございます。謎は全て解けました」
こうして事件は解決した。最後にさつきさんは教えてくれた。
「ちなみにわたしも最近カクヨムで書き始めたんだ」
「へぇーそうなんですね。カクヨムで書くのってそんなに面白いんですか?」
「さあ、それはどうだろうな。だが、『カクヨムで書く』とは小説家を目指す者の誰もが一度は通る道だ。君も興味があればやってみればいい」
「分かりました。今日はありがとうございました」
こうして彼女は去って行った。僕はお礼を言いながら彼女の後ろ姿を見送った。
そして、彼女が言った『カクヨムで書く』という事がどういうことなのか考え始めた。
「よーし、僕も何か投稿してみるか」
そして……
「PV0……うーーーん?」
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