無自覚だけどどうやら私は最強のようです

けろよん

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第15話 闇に染まる学園

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「ん……」

 少女がかすかにまぶたを動かす。

「目を覚ました……!」

 ユイちゃんがほっと息をついた。
 私たちは、学園の保健室に彼女を運び、目覚めるのを待っていた。

「大丈夫? 気分は……?」

 私が声をかけると、少女はぼんやりとした目でこちらを見つめた。

「……ここは?」
「学園の保健室。あなた、影に取り込まれてたんだよ」
「影……?」

 少女は眉をひそめ、ゆっくりと体を起こした。

「わたし……たしか、誰かに……」

 少女はハッとしたように目を見開く。

「逃げなきゃ……!」
「え!? ちょ、ちょっと待って!」

 私は慌てて少女を押しとどめる。

「逃げるって、何から?」
「……"影の主"」
「影の……主?」

 あの影に主なんているのだろうか。考えてみればいろいろ出てきていたから一番偉い統率する者がいても不思議ではないかもしれない。
 少女は震える声で続けた。

「わたし、あの人に呼ばれたの……"夜の学園に来い"って……」
「"あの人"って、誰?」

 少女は青ざめた顔で首を横に振った。

「わからない……でも、すごく怖くて……断れなかった……」
「それで、影に飲み込まれたってこと?」
「……うん」

 少女は不安そうに私を見つめる。

「お願い……もう一度、助けて……!」
「……!」

 私はぎゅっと拳を握った。

("影の主"……こいつが、黒い影の元凶なのかも)

 それと戦う事が学園を救い、この試練を終わらせる事に繋がるのかも。

「大丈夫、私たちが守るよ」

 私は少女の手をそっと握りしめた。



「まーた夜の学園を進むのかよ……」

 カケルがため息をつく。不思議に興味のある彼でもさすがに影の相手は疲れてきたのかもしれない。

「まったく……。この学園、絶対になんかあるよね。スキルを持つ人たちが集められるようになったのにも何か理由があるのかも」

 ユイちゃんも呆れたように言う。

「……気をつけて」

 御影先輩が静かに言った。

「"影の主"が何者かはわからない。だが、おそらくかなりの力を持っている」
「……それでも行かなきゃ」

 私は覚悟を決めた顔で言った。日頃はやる気のない私だけど私のせいで誰かに迷惑を掛けているならこれは終わらせないといけないから。

「影は私の試練が呼び寄せた結果かもしれないし。このままじゃ、また誰かが影に取り込まれる」
「……だな」

 カケルは肩をすくめる。

「ま、シズナがやる気なら俺もついていくよ」
「わたしも! シズナの活躍は見逃せないもんね!」

 ユイちゃんが笑顔で拳を握る。

「生徒会としても、見過ごすわけにはいかないね」

 御影先輩がすっと前に出る。

「行こう。"影の主"の正体を突き止める」



 その領域に足を踏み入れると、空気が一変した。

「……この先は、さらに重たい雰囲気だね」

 ユイちゃんが不安そうに言う。

「何かが……来る」

 御影先輩が剣を握りしめる。
 すると――

 ギギギギギ……

 校舎の奥、闇の中から"それ"は現れた。

 黒いローブをまとい、顔が見えない。
 しかし、その姿から発せられる圧倒的な威圧感――。

「ようこそ。我が時間の領域へ」

 低く響く声。

「……お前が、"影の主"か?」

 カケルが警戒しながら問いかける。

「そうとも。"試練"を乗り越える者よ……お前たちは、選ばれし者だ」
「試練って……影に飲み込んで、どうするつもり?」
「"覚醒"させるのさ。真に世界に選ばれし者を」

 影の主はゆっくりと手を上げる。

 ゴゴゴゴ……!!

 突然、地面から黒い手が何本も伸び、私たちを囲んだ。

「これは異界より招いた者達の手だ。お前達が選ばれし者ならこの手を逃れる事ができるはず」
「くっ……!!」

 私は反射的に影を照らすべく光の刃を作り出す。だが、それは影をより一層黒くするようにも見えた。

「さぁ、見せてもらおう。"選ばれし者"の力を――」

 影の主が手を振ると、黒い手が一斉に襲いかかってきた。

「くるよ!!」

 私は咄嗟に光の刃を振るい、影の手を弾く。

「うわっ、めっちゃ襲ってくるんだけど!!」

 ユイちゃんが慌てて飛び退る。

「こっちもやるしかねぇな!!」

 カケルが気合を入れて拳を構え、影を殴り飛ばす。
 御影先輩も剣を振り、影を切り裂いていく。

 しかし――

「無駄なあがきはよせ。破れた時間は戻され、再び始まりの時間は訪れる。"タイムループ"だ」

 影の主は余裕の態度を崩さない。散った影は時間を巻き戻すかのように復活していった。

「影は尽きることなく再び現世に現れる……」
「タイムループ現象の犯人もこいつなのか!」
「……そうみたいだね」

 私は影を見つめながら、考える。

(影をいくら倒しても意味がない……なら、本体を直接叩くしかない!!)

「みんな、影を無視して"影の主"を狙うよ!!」
「おう!!」

 カケルが叫びながら突進する。
 ユイちゃんは素早く影の手をかわしながら接近。
 御影先輩も素早く距離を詰める。

「……やるじゃないか。さすがはアリスの目を付けた連中だ。その実力には目を見張るものがある」

 影の主はゆっくりと腕を上げた。

「ならば……本気を見せてもらおう」

 その瞬間――
 影の主の体が、一気に巨大化した。

「な、なにこれ!?!?」

 ユイちゃんが驚きの声を上げる。

「これは……"影の暴走"!!」

 御影先輩が叫ぶ。

「"試練"などここで終わる。ここからが本番だ」

 影の主の声が響いた。
 私は光の刃を強く握りしめた。

「……だったら、こっちも全力でいくよ!!」

 次回、"決戦"へ――!!
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