9 / 41
家に来た奴らが騒がしい
第9話 俺の雑事
しおりを挟む
異世界において俺は魔王の力を見せつけた。
最初のうちこそ魔王を倒すぞと近隣の国々が息巻いて喧嘩を吹っ掛けてきたが、俺は次々とお手軽に返り打ちにしてやって、そのような愚かな行為も徐々になりを潜めてきた。
異世界の人々は知ることになった。ここに絶対強者の魔王あり、誰も魔王には敵わないと。
そうして騒がしかった俺の異世界ライフにも平穏が訪れてきた。
「しばらくはこの世界を任せても良さそうだな」
俺はここ最近ずっと学校から帰ってはすぐに異世界に行き、休日は朝ご飯を食べたらすぐに異世界に行って夜まで帰らないという生活をしていたが、いい加減それも止めようと思っていた。
「やりたいゲームや見たいアニメや漫画が溜まってるんだよな……」
ラノベの主人公ならずっと異世界にいて気ままな冒険旅行を続けるところだろうが、俺はやっぱりまだリアルでやりたいことがあるのだった。
俺は朝から異世界の魔王の玉座で熟考し、考えを決めて元王様と校長と生徒会長を呼んだ。
国の運営を任せている三人はすぐにやってきて俺の前でひざまずいた。
三人とも人を動かしてこの国を管理できる能力を持った者達だ。と言うか俺が国のまとめ方を知らん。
俺はいつも仕事を任せている彼らに向かって言った。
「しばらく留守にする。この国のことを任せてもいいか?」
「どこかへ行かれるのですか?」
元国王がそわそわして訊ねてくる。さすが国のことは校長や生徒会長よりも元国王の方が知っている。俺よりも知っている。後のことを任せるなら彼にだろう。
俺は魔王としての威厳をたっぷりと見せて言った。
「なに、向こうの世界でくだらぬ雑事が溜まっているのでな。そろそろ片づけたいと思っているのだ」
「おお」
溜まっているゲームやアニメや漫画を片づけたいんですと正直に言うとさすがに怒られそうなので俺は言葉を選ぶ。相手は上手く乗せられてくれた。
魔王の威厳たっぷりな発言に感心しきりの三人。
相談して生徒会長のフィリスが顔を上げた。フェリアのお姉さんでしっかり者の少女だ。
彼女の妹で召喚部の部員であるフェリアはいつも呑気そうに遊んでいるが、生徒会長のフィリスはとても真面目に仕事している。
これが姉妹というものだろうか。呑気な妹とは似つかない賢い眼差しを向けて言ってくる。
「思えばわたし達も魔王様には頼りっきりでした。最近は大きな戦乱もありませんし、どうぞごゆっくりなさってください」
「うむ、では後のことを任せたぞ」
俺は意識を現実世界へ向ける。俺の都合の良いように出来ている異世界はすぐに俺の希望を聞いてくれる。
俺は世界の境界を飛び越え、現実世界の自分の部屋に戻ってきた。
「あ、ヒナミに迎えにきてくれるように言ってなかったな。まあ、何かあったら向こうからくるか」
現実とはままならないものだ。俺が何かやりたいと思ってもこっちの世界はさっぱりと希望を聞いてくれない。
異世界に行くだけのことでもまだヒナミ達の召喚術の力が必要だった。
「それも仕方ないか」
こっちはこっち。よそはよそだ。
用があったら向こうから来るだろう。
俺は気にしないことにして、とりあえず録画しておいたアニメを見ることにした。
今日は土曜日、まだ午前中。
この二連休はこっちの世界で楽しく過ごすぞと気合いを入れるのだった。
最初のうちこそ魔王を倒すぞと近隣の国々が息巻いて喧嘩を吹っ掛けてきたが、俺は次々とお手軽に返り打ちにしてやって、そのような愚かな行為も徐々になりを潜めてきた。
異世界の人々は知ることになった。ここに絶対強者の魔王あり、誰も魔王には敵わないと。
そうして騒がしかった俺の異世界ライフにも平穏が訪れてきた。
「しばらくはこの世界を任せても良さそうだな」
俺はここ最近ずっと学校から帰ってはすぐに異世界に行き、休日は朝ご飯を食べたらすぐに異世界に行って夜まで帰らないという生活をしていたが、いい加減それも止めようと思っていた。
「やりたいゲームや見たいアニメや漫画が溜まってるんだよな……」
ラノベの主人公ならずっと異世界にいて気ままな冒険旅行を続けるところだろうが、俺はやっぱりまだリアルでやりたいことがあるのだった。
俺は朝から異世界の魔王の玉座で熟考し、考えを決めて元王様と校長と生徒会長を呼んだ。
国の運営を任せている三人はすぐにやってきて俺の前でひざまずいた。
三人とも人を動かしてこの国を管理できる能力を持った者達だ。と言うか俺が国のまとめ方を知らん。
俺はいつも仕事を任せている彼らに向かって言った。
「しばらく留守にする。この国のことを任せてもいいか?」
「どこかへ行かれるのですか?」
元国王がそわそわして訊ねてくる。さすが国のことは校長や生徒会長よりも元国王の方が知っている。俺よりも知っている。後のことを任せるなら彼にだろう。
俺は魔王としての威厳をたっぷりと見せて言った。
「なに、向こうの世界でくだらぬ雑事が溜まっているのでな。そろそろ片づけたいと思っているのだ」
「おお」
溜まっているゲームやアニメや漫画を片づけたいんですと正直に言うとさすがに怒られそうなので俺は言葉を選ぶ。相手は上手く乗せられてくれた。
魔王の威厳たっぷりな発言に感心しきりの三人。
相談して生徒会長のフィリスが顔を上げた。フェリアのお姉さんでしっかり者の少女だ。
彼女の妹で召喚部の部員であるフェリアはいつも呑気そうに遊んでいるが、生徒会長のフィリスはとても真面目に仕事している。
これが姉妹というものだろうか。呑気な妹とは似つかない賢い眼差しを向けて言ってくる。
「思えばわたし達も魔王様には頼りっきりでした。最近は大きな戦乱もありませんし、どうぞごゆっくりなさってください」
「うむ、では後のことを任せたぞ」
俺は意識を現実世界へ向ける。俺の都合の良いように出来ている異世界はすぐに俺の希望を聞いてくれる。
俺は世界の境界を飛び越え、現実世界の自分の部屋に戻ってきた。
「あ、ヒナミに迎えにきてくれるように言ってなかったな。まあ、何かあったら向こうからくるか」
現実とはままならないものだ。俺が何かやりたいと思ってもこっちの世界はさっぱりと希望を聞いてくれない。
異世界に行くだけのことでもまだヒナミ達の召喚術の力が必要だった。
「それも仕方ないか」
こっちはこっち。よそはよそだ。
用があったら向こうから来るだろう。
俺は気にしないことにして、とりあえず録画しておいたアニメを見ることにした。
今日は土曜日、まだ午前中。
この二連休はこっちの世界で楽しく過ごすぞと気合いを入れるのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる