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第1章
第5話
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翌日から毎日、放課後になると必ず会いに来るようになった彼を快く迎えていたある日のこと、突然こんなことを言ってきた。
「今度二人で出かけないか?」
もちろん断る理由などなかったので二つ返事で了承した。行き先については当日になってから教えると言われてしまったので仕方なく待つことにしたのだが、どこに行くのだろうか?
楽しみにしながら日々を過ごしていたが、ついにその日がやってきた。
待ち合わせ場所に着くと既に待っていた彼が手を振っていたので小走りに駆け寄っていく。すると、彼は優しく微笑みながら言った。
「今日は来てくれてありがとう」
それに対して私は笑顔で答える。
「どういたしまして!」
それから私たちは手を繋いで歩き始めた。目的地は教えてくれなかったが別に構わないと思った。それよりも彼とこうしていられることが嬉しかったのだ。
しばらくして到着した場所は大きな屋敷だった。どうやらここが目的地らしい。一体ここに何があるというのだろう?
そんなことを考えているうちに中へ案内されたので付いて行くことにする。廊下を歩いている最中、様々な絵画や彫刻などが飾られていたのを見て驚いた。どれも素人目から見ても素晴らしいものだとわかるものばかりだったからだ。
感心していると、いつの間にか目的の場所に辿り着いたようで立ち止まった彼が話しかけてきた。
「さあ、着いたよ」
見上げるとそこにあったのは大きな扉だった。おそらくこの先に何かあるのだろうが見当もつかない。首を傾げていると、彼は苦笑しながら教えてくれた。
「この先にはね、ある部屋があるんだ」
それを聞いてさらに疑問が深まるばかりだったが、今は黙って従うことにした。そして扉を開けて中に入るとそこに広がっていたのは異様な光景だった。
壁一面を埋め尽くすように飾られた人形の数々を見て思わず悲鳴を上げそうになる。
よく見ると全て女性を模したものだということがわかり、中には明らかに人間ではないと思われるものまであった。
あまりのことに呆然と立ち尽くしていると彼が説明してくれた。
「ここは歴代の女性当主たちが集めたコレクションを展示しているんだ」
つまり、ここにある全てのものが彼女たちの所有物だということだろうか?
そう考えると恐ろしくなってきた。すると、彼は私の肩に手を置いて微笑んだまま告げた。
「大丈夫だよ、僕が傍にいるからね」
その言葉を聞いた瞬間、恐怖心が和らいだような気がした。きっと気のせいではないだろう。何故なら彼に対する好意が増してきているのだから。
彼のことをもっと知りたいと思った私は思い切って尋ねてみた。
「あの……聞いてもいいかな?」
すると、彼は不思議そうな顔をした後で頷いてくれたので質問を続けることにした。
「あなたは一体誰なんですか? どうして私にそこまでしてくれるんですか?」
そう問いかけると、彼は困ったように笑いながら答えてくれた。
「うーん、そうだなぁ……強いて言うなら一目惚れってやつかな? 君の容姿はもちろんだけど、何より内面に惹かれたんだ」
照れたように話す姿を見て胸がときめいたのがわかった。彼の言葉はとても嬉しかったが、それと同時に不安もあった。
果たして本当に私のことが好きなのかどうかわからないからだ。そこで改めて聞いてみることにする。
「私のことを好きだって言ってくれたけど、それは本当なの?」
恐る恐る尋ねたのだが、彼は即答した。
「本当だよ!」
その迷いのない言葉に思わず見惚れてしまった。この人は嘘をついていないと確信した瞬間だった。
「だから僕と付き合ってほしいんだ」
真剣な表情で見つめられながら言われた私は迷うことなく頷いた。すると、彼は嬉しそうに笑って抱きしめてきた。私もそれに応えるように抱きしめ返すと唇を重ねてきた。
初めは軽く触れるだけのものだったが次第に激しくなっていく。何度も繰り返していくうちに頭がボーっとしてきたが構わず続けた。
しばらくすると満足したのかゆっくりと離れていく。名残惜しかったけど我慢することにした。代わりに彼の胸に顔を埋めるようにして抱きつくと、彼もまた私を抱き締めてくれたのだった――。
「今度二人で出かけないか?」
もちろん断る理由などなかったので二つ返事で了承した。行き先については当日になってから教えると言われてしまったので仕方なく待つことにしたのだが、どこに行くのだろうか?
楽しみにしながら日々を過ごしていたが、ついにその日がやってきた。
待ち合わせ場所に着くと既に待っていた彼が手を振っていたので小走りに駆け寄っていく。すると、彼は優しく微笑みながら言った。
「今日は来てくれてありがとう」
それに対して私は笑顔で答える。
「どういたしまして!」
それから私たちは手を繋いで歩き始めた。目的地は教えてくれなかったが別に構わないと思った。それよりも彼とこうしていられることが嬉しかったのだ。
しばらくして到着した場所は大きな屋敷だった。どうやらここが目的地らしい。一体ここに何があるというのだろう?
そんなことを考えているうちに中へ案内されたので付いて行くことにする。廊下を歩いている最中、様々な絵画や彫刻などが飾られていたのを見て驚いた。どれも素人目から見ても素晴らしいものだとわかるものばかりだったからだ。
感心していると、いつの間にか目的の場所に辿り着いたようで立ち止まった彼が話しかけてきた。
「さあ、着いたよ」
見上げるとそこにあったのは大きな扉だった。おそらくこの先に何かあるのだろうが見当もつかない。首を傾げていると、彼は苦笑しながら教えてくれた。
「この先にはね、ある部屋があるんだ」
それを聞いてさらに疑問が深まるばかりだったが、今は黙って従うことにした。そして扉を開けて中に入るとそこに広がっていたのは異様な光景だった。
壁一面を埋め尽くすように飾られた人形の数々を見て思わず悲鳴を上げそうになる。
よく見ると全て女性を模したものだということがわかり、中には明らかに人間ではないと思われるものまであった。
あまりのことに呆然と立ち尽くしていると彼が説明してくれた。
「ここは歴代の女性当主たちが集めたコレクションを展示しているんだ」
つまり、ここにある全てのものが彼女たちの所有物だということだろうか?
そう考えると恐ろしくなってきた。すると、彼は私の肩に手を置いて微笑んだまま告げた。
「大丈夫だよ、僕が傍にいるからね」
その言葉を聞いた瞬間、恐怖心が和らいだような気がした。きっと気のせいではないだろう。何故なら彼に対する好意が増してきているのだから。
彼のことをもっと知りたいと思った私は思い切って尋ねてみた。
「あの……聞いてもいいかな?」
すると、彼は不思議そうな顔をした後で頷いてくれたので質問を続けることにした。
「あなたは一体誰なんですか? どうして私にそこまでしてくれるんですか?」
そう問いかけると、彼は困ったように笑いながら答えてくれた。
「うーん、そうだなぁ……強いて言うなら一目惚れってやつかな? 君の容姿はもちろんだけど、何より内面に惹かれたんだ」
照れたように話す姿を見て胸がときめいたのがわかった。彼の言葉はとても嬉しかったが、それと同時に不安もあった。
果たして本当に私のことが好きなのかどうかわからないからだ。そこで改めて聞いてみることにする。
「私のことを好きだって言ってくれたけど、それは本当なの?」
恐る恐る尋ねたのだが、彼は即答した。
「本当だよ!」
その迷いのない言葉に思わず見惚れてしまった。この人は嘘をついていないと確信した瞬間だった。
「だから僕と付き合ってほしいんだ」
真剣な表情で見つめられながら言われた私は迷うことなく頷いた。すると、彼は嬉しそうに笑って抱きしめてきた。私もそれに応えるように抱きしめ返すと唇を重ねてきた。
初めは軽く触れるだけのものだったが次第に激しくなっていく。何度も繰り返していくうちに頭がボーっとしてきたが構わず続けた。
しばらくすると満足したのかゆっくりと離れていく。名残惜しかったけど我慢することにした。代わりに彼の胸に顔を埋めるようにして抱きつくと、彼もまた私を抱き締めてくれたのだった――。
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