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不自然な少女と僕と罪
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ここは、2020年。
スマートフォンという機械を持ち歩き、連絡を取り合う。
街行く人々はスマホと呼び、それを片手で操作しながら歩いていく。
その街の真ん中に少女は立っていた。
僕はそれを見逃せなかった。
なせなら、その少女の顔と手には、赤い液体が付いてあるからだ。
だが人々は、その少女に見向きもせず、歩いていく。
少女が見えていないのだろうか。
僕は、少女の方へゆっくり進む。
少女は僕に気付き、剣を振りかざす。
「来ないで」
僕は向けられた剣を見ながら聞いた。
「君はいったい、ここで何をしているの」
少女は答えない。まるで何かを待っているかのように。
すると、スマホに夢中になっていた男が、僕に気付かずぶつかってきた。
男は僕に向かって
「何突っ立ってるんだ!!邪魔だ!!」
と言い放ち、歩きだす。
すると、少女は何も言わず、その男に剣を振りかざし、あっさり殺してしまう。
そう、それは、一瞬の出来事だった。
街行く人々は、急に倒れた赤い血を流した男に驚く。通報する人、見て見ぬふりをする人、野次馬と、人だかりが出来る。
ただ、不思議なのは、誰も少女を見ていないことだ。
どうして、倒れて血を流しているのか、誰も分かっていないということだけが分かっている状態だっだ。
駆けつけた警官たちも、状況が掴めずにいた。
その現場を見ていた僕は、ある事に気付く。
少女がいない。身を隠したのだろうか。
僕は、関わるとめんどうだと思い、その場から立ち去ろうとした。
だが、少し遅かった。警察から事情聴取を受けることになった。
僕は、その時の状況だけを話し、少女のことは話さなかった。
警察は、僕を30分程拘束し、解放してくれた。
それから、周りを眺めながら歩いていると、まだ少女が剣を抱えたまま、パンを食べている。
コンビニのすぐ前だ。盗んだのだろうか。
そんなことはどうでも良かった。
僕は、少女のそばに行き、問いかけた。
「なぜ、殺した?ぶつかってきただけじゃないか」
少女は、言った。
「じゃあ、なんで怒らなかったの?自分からぶつかってきて、人のせいにしたんだよ?」
「だからって殺す必要は、、、」
少女は、答えた。
「お兄さん、本当に必要な人間はいないの。あの人はこの世界に必要がなかったの。お兄さんは優しいだけ。それじゃダメ。それは、ただのおせっかい。必要のない人間は消えてもらい、消した人の分だけ罪を背負う、それは、その人の分まで生きていくということ。それだけの覚悟は持たないと、もうこの世では生きていけないよ」
そういうと、僕に剣を渡してきた。
この剣は誰にも見えないみたいだ。
少女は、剣を渡すと微笑んだ。
そして、
「私はお兄さんにその剣を渡した。私の役目は終わり。あとは、お兄さん次第。」
そういうと少女は消えてしまった。
残された僕と、見えない剣。
少女が言った言葉。
僕は、呟いた。
「もう、普通に生きていけない時代なのか」
そう言って、僕はまた、人々の群れの中に紛れ込んでいった、、、。
スマートフォンという機械を持ち歩き、連絡を取り合う。
街行く人々はスマホと呼び、それを片手で操作しながら歩いていく。
その街の真ん中に少女は立っていた。
僕はそれを見逃せなかった。
なせなら、その少女の顔と手には、赤い液体が付いてあるからだ。
だが人々は、その少女に見向きもせず、歩いていく。
少女が見えていないのだろうか。
僕は、少女の方へゆっくり進む。
少女は僕に気付き、剣を振りかざす。
「来ないで」
僕は向けられた剣を見ながら聞いた。
「君はいったい、ここで何をしているの」
少女は答えない。まるで何かを待っているかのように。
すると、スマホに夢中になっていた男が、僕に気付かずぶつかってきた。
男は僕に向かって
「何突っ立ってるんだ!!邪魔だ!!」
と言い放ち、歩きだす。
すると、少女は何も言わず、その男に剣を振りかざし、あっさり殺してしまう。
そう、それは、一瞬の出来事だった。
街行く人々は、急に倒れた赤い血を流した男に驚く。通報する人、見て見ぬふりをする人、野次馬と、人だかりが出来る。
ただ、不思議なのは、誰も少女を見ていないことだ。
どうして、倒れて血を流しているのか、誰も分かっていないということだけが分かっている状態だっだ。
駆けつけた警官たちも、状況が掴めずにいた。
その現場を見ていた僕は、ある事に気付く。
少女がいない。身を隠したのだろうか。
僕は、関わるとめんどうだと思い、その場から立ち去ろうとした。
だが、少し遅かった。警察から事情聴取を受けることになった。
僕は、その時の状況だけを話し、少女のことは話さなかった。
警察は、僕を30分程拘束し、解放してくれた。
それから、周りを眺めながら歩いていると、まだ少女が剣を抱えたまま、パンを食べている。
コンビニのすぐ前だ。盗んだのだろうか。
そんなことはどうでも良かった。
僕は、少女のそばに行き、問いかけた。
「なぜ、殺した?ぶつかってきただけじゃないか」
少女は、言った。
「じゃあ、なんで怒らなかったの?自分からぶつかってきて、人のせいにしたんだよ?」
「だからって殺す必要は、、、」
少女は、答えた。
「お兄さん、本当に必要な人間はいないの。あの人はこの世界に必要がなかったの。お兄さんは優しいだけ。それじゃダメ。それは、ただのおせっかい。必要のない人間は消えてもらい、消した人の分だけ罪を背負う、それは、その人の分まで生きていくということ。それだけの覚悟は持たないと、もうこの世では生きていけないよ」
そういうと、僕に剣を渡してきた。
この剣は誰にも見えないみたいだ。
少女は、剣を渡すと微笑んだ。
そして、
「私はお兄さんにその剣を渡した。私の役目は終わり。あとは、お兄さん次第。」
そういうと少女は消えてしまった。
残された僕と、見えない剣。
少女が言った言葉。
僕は、呟いた。
「もう、普通に生きていけない時代なのか」
そう言って、僕はまた、人々の群れの中に紛れ込んでいった、、、。
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