Bの定義

bboy fuya

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第1章:7月の下旬、夏休み1週間前の話

第1話:メンバー枠

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良太は夏休み1週間前はいつもよりバカにされ陰口言われる日々だと思った。
いや実際はいつも以上だ。
というのは今日は良太にとって高校に入学してから初めての球技大会だったからだ。
良太の出るスポーツはバスケとサッカーだった。
この高校、県立 三本駒桜(さんぼんこまざくら)高等学校の球技大会の種目は、男女別バスケ、男女別サッカー、男子バレー、男女別卓球、男女混合ソフトバレーで中でもバスケとサッカーは花形の種目。
競争率が激しいためメンバーはまず教室内で日頃の体育の時間ではっきりする運動神経の優劣とクラスのヒエラルキー順で決められ、それでも埋められないメンバー枠は残りの参加したい面子の中から別室に行ってじゃんけんで決める。だから、決めるとき最初に出る話は中学時代の50m・100m走のタイムだったり、中学時代何の部活に所属していたかなんて話になる。なんて効率的で差別的で理不尽な決め方だろうと良太は思う。そんな良太は中学時代は陸上部に所属していた。長距離走が得意で大会で3000mを走ったり、駅伝でアンカーを務め見事入賞したりした。しかし、中学3年間をずっと陸上に注いでいたため、球技に関しては体育の時間で触れる程度だったために球技に必要な基本的運動神経が低下していた。かつ中学最後の中体連には間に合ったがその1か月前に両膝、両ふくらはぎ肉離れを起こして癖が残ってしまったため思うように走れなくなっていて高校に入学してからの体育の時間は足を引っ張ってばかりだった。それでもせっかくの高校生活。人生に一回しかない高校生活。それなりにクラスの人たちからの印象を今度こそ良くしたく、良いところ見せるぞと意気込んでバスケとサッカーに立候補した。しかし、良太は中学デビューと高校デビューを失敗している。中学のときは色々と独りよがりな行動を取ってしまっていたため中学3年間を通して周りから意味嫌われていた。最初は小学校のときの女子とかが味方してくれていたが、思春期が本格的に始まるとお互い恥ずかしさなどがありだんだん気まずくなって疎遠になった。陸上部の面子とは仲良かったがそいつらとはクラスが違った。しまいには中学の卒業アルバムはクラスの人たちからのメッセージはなく、陸上部の同期のメッセージしかなかった。それだけでもいいじゃないかという人も一定数はいるとは思うが。しかしそれだけではなく良太は高校デビューもやらかした。それは悪目立ちしてクラスのみんなから引かれてしまったというものだった。さらに、運の悪いことに良太のクラスには小学校からの付き合いである山田 瑞穂がいて僕が中学の頃しでかしたことを自分が所属するグループにベラベラ喋ったことにより中学での失敗談がすぐにクラス中に広まり、良太はクラスのみんなからいじられ、笑い者にされてしまった。こうして良太の高校デビューは華々しく散っていったのだった。それから3か月ちょっとが過ぎ球技大会を迎えた。良太は見事じゃんけんでバスケの補欠枠とサッカーのスタメン枠を手に入れた。補欠も含めまずメンバー枠に入れただけでも奇跡的だった。
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